領域展開!? キャロウェイ新ドライバー「ELYTE」を深掘り
業界初のチタン製3Dプリンター導入で75回の試作

フェース開発にかけたソフトウェア以上に「莫大な投資」というのが、チタン製パーツをつくれる3Dプリンターの導入だ。もちろん業界では初めて。「どうやったら見た目のやさしさを保ったまま、スピードを上げていけるのか、形状を見直すために導入。これにより、リードタイムは(従来比)90分の1になり、これまで年間3~5個しかプロトタイプをつくれなかったのが、いまは数日で打てるサンプルをつくれます」
ロボットテストで空気抵抗実験ができる「ファイナルのヘッド」を短期間でつくれるようになったことで、約75回のヘッド形状の試作とテストを実現。「見た目のやさしさを維持しながらもスピードが出る形状にたどりついた」という。

空気抵抗については、「試打したプロからインパクトからフォローにかけて振り抜きがしやすく、とにかく振りやすいという印象をいただいた。ヘッドスピードも上がっているのが見てとれるので、結果としても表れていると思います」
新しいクラウン素材を採用して打球音は?

ヘッドのクラウンに使用されるカーボン素材には、新たに「サーモフォージドカーボン」が採用された。航空宇宙分野でも使用されるそうだが、いったいどんなものか。
「基本的にはAiスモークのフォージドカーボンと、カーボンの繊維自体は同じで、樹脂を変えています。75回のプロトタイプをより高い精度でつくりあげるため、成形しやすいこのカーボンを採用しました」
エリートになくてはならない素材だというが、気になる打球音はどうか。「響きが良くなると思っていただいていいと思います」
「禁断の飛びを超えた」に込められた意味

キャロウェイユーザーに限らず、ギアに関心のあるゴルファーなら、そのカラーリングから過去の大ヒットモデルを連想したかもしれない。そこにはこだわりがある。
「CEOのチップ(・ブリューワー氏)も歴代ドライバーをみてきたときに、2本の柱(ジェイルブレイク)を内蔵した2017年のエピックが最大のヒット作であると言っています。今回、ついにそれを超えるような作品ができたのではないか、ということでカラーにあえて緑を入れています」
発表前のティザー動画でエピックを彷彿させる仕掛けをつくり、当時のコピーを使って「禁断の飛びを超えた」とした意味がそこにある。ただし、エピックの進化系でも後継でもない。突き抜けた「E」であることは間違いない。