メジャータイトル防衛へ 「デサント」2年目の挑戦/ザンダー・シャウフェレ特別コラム

日本の皆さんこんにちは。ザンダー・シャウフェレ(Xander Schauffele)です。
2025年シーズンも4月のマスターズでメジャーシーズンが始まりました。PGAツアーはフェデックスカップが中盤に入り、争いはいよいよ本格化。夏場のプレーオフ、秋のシリーズに向かって熱を帯びます。
■ツアー離脱中に出合った、日本漫画が原作のドラマ
今年の序盤戦、僕は思わぬアクシデントに見舞われました。肋骨の故障により、1月のハワイでの開幕戦が終わってから、約2カ月のあいだ試合を欠場しました。痛みがなくなり、何も気にせずに過ごせるようになったのはこの春のことです。
今となっては、原因は僕自身がケガのサインを見落としたことにあると感じています。ジムにいても、スイングをしていても、負傷の兆候に気づかないまま、悪いタイミングが重なった。昨年12月、トレーナーがビザを取得するため母国に帰っていた時期に、僕はひとりでトレーニングとゴルフに励んでいたんだ。
身体に特別な負荷をかけたわけではないけれど、誰の手も借りずにコンディションを整えられると、自分を甘く見ていたとしか言いようがない。離脱、そして休養を余儀なくされたのです。
ホントはナイショにしておこうと思ったんだけど…ツアーから離れているあいだ、思いがけず妻との大切な時間を過ごせたのは幸運でした。愛犬とPGAツアーをテレビで観たり、映画にも夢中になったりもした。皆さんはApple TVで放送される『Drop of God』というドラマを知っていますか? ワインとソムリエを題材にした、お気に入りになった物語の原作が日本のマンガ『神の雫』だとは思いもよりませんでした(笑)
医師の許可が出てからはトレーニングを再開しました。最近はグリーン上のスタッツがいまひとつだったので、部屋でもパッティングのストロークをチェック。試合に出られない2カ月という期間は、あまりに長く感じられました。自分自身が、ライバルたちと競い合うこと、そしてゴルフがこれほど好きなんだと改めて気づかされた思い。ケガをしたことはやはり僕のプロ意識の欠如によるもので、周囲の人々やファンのみんなに無責任だったと感じ、これからはいっそう自分の行動に注意を払わなくてはいけないと痛感しました。

■デサントのウェア2年目 「全米プロ」でメジャー連覇へ
復帰後1カ月で臨んだマスターズ。やっぱり、本当に難しかった。同じアイアンで30ydの距離をコントロールしたり、風に逆らってボールを曲げたりと、別のコースでは必要のないショットを試されるのがあの舞台。もちろんパッティングも大変で、ショットが狙い通りいかないと、2mの下りのパットで1m近く曲がるラインを打つことさえある。それが素晴らしき、オーガスタなのです。
今シーズンでデサントのウェアを着て2年目になりました。ブランドの「スピリットマーク」は、米国では僕よりも年上の世代で、スキーやゴルフが好きな人々にとっては昔から馴染みがあるロゴなんです。若い世代にはまだ知らない人もいて、僕はそのたびにDESCENTEの発音からたずねられ、その度にウェアをほめてもらうことが多くなりました。
5月には昨年、メジャー初タイトルを手にいれた「全米プロゴルフ選手権」(ノースカロライナ州シャーロット)が行われます。3月に復帰してから試合に出場したのはまだ5試合。自信を再び取り戻せるように、努力し続けなければなりません。
どれほど望んでも、朝、目覚めたときに1年前のような気分とは違うけれど、一つひとつのナイスショットが自信として積み重ねっていく。とにかく今はたくさんプレーして、1打でも良いスコアで回りたいと強く願っています。
ザンダー・シャウフェレ(Xander Schauffele)
1993年10月25日、米カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。サンディエゴ州立大を経て2015年にプロ転向。17年に2勝を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝く。21年「東京五輪」の男子ゴルフ競技で金メダルを獲得。24年5月「全米プロゴルフ選手権」でメジャー初優勝。7月の「全英オープン」でメジャー2勝目を挙げた。PGAツアー通算9勝。