シャウフェレも着用 デサントの“本丸”で最先端ウェアのモノづくりを聞いてきた
■機能性を重視してデザインに落とし込む

スイングアークで最も伸び縮みの必要なパーツに素材と機能で応えるarcカットは、トップス、ボトムス、アウターといったすべてのアイテムに使用されている。そもそも、デザインの発想はどこから生まれてくるのか。
佐藤さんは「普通のアパレルやほかのブランドはトレンドやデザイン、色などから落とし込むのが一般的だが、デサントは機能性を重視しているので、それがデザインになるのが一番の特徴。シンプルで機能的。動きに追随できる分、スマートなスタイリングとスタイリッシュな見え方がデサントの持ち味」と説明する。
そのためにまず、具体的なシーンを想像することから始まる。「たとえば、雨が降ってきたときに最初にどこに(雨が)当たるか。その部分は一番撥水力のある素材を選ぶ。袖が動きにくくなるのでニット素材にしようといったように、想像しながら(アイデアは)生まれていく」
■シャウフェレからヒントを得て今後の商品開発へ

プロに限らず、ゴルファーは動きやすさを求める。特に寒い日や雨の日はウェアに気をつかう人も多いのではないか。佐藤さんによると、シャウフェレも「雨に対応するアウターウェアをあまり好まない」そうだ。ゴルフでの雨対策といえばレインウェアが一般的だが、シャウフェレは雨や風に見舞われることの多い全英オープンでもセーター姿が多かった。これを受けてデサントが始めたのが、“撥水セーター”の開発だという。
「ウールの撥水セーターは業界にはなく、難しいが、そこにデサント独自の要素も交えて、ほかではまねできないことをやろうと思っている」(佐藤さん)。DISCの技術を駆使した前例のない機能的なセーターが今後、登場することになりそうだ。
■デサント創業90年 g-arcのコンセプトは「ロングパフォーマンス」
1935年創業のデサントはことし、90周年を迎えた。国内に3つ、海外に1つある自社工場は大きな強みのひとつだという。「開発から生産現場まで自分たちのハンドリングで管理しているのが大きな特徴。だからこそ、いろいろなテクニックを盛り込んだ、難しい商品も自分たちの管理のもとでつくることができる」(松井さん)
佐藤さんは「デサントは先進的なテクノロジーと職人技術が組み合わさった唯一無二のブランド」と自負。「いまのトレンドでもあるロングライフを意識しながら、ユーザーに対してのメリットを考え、長く着られる、へたれないといったことを追求。g-arcでは長く機能性が持続するロングパフォーマンスを目指していきたい」と話す。

「トップアスリートが、最大限のパフォーマンスを発揮できる商品を作ること」を商品開発のベースに、常にモノづくりの限界に挑戦しているデサント。「選手を勝たせるウェア」は、想像を創造するDISCから生まれている。
撮影:落合隆仁