「DS-ADAPT」はロフト別でぜひ試してほしい!野仲茂は「LS 10.5度」がドハマり/外ブラ1W比較研究(コブラ編)
25年モデルの大手外ブラドライバーが出そろい、どれを購入するか迷っている読者も多いことだろう。本特集では5メーカーの新作ドライバーを、ドライバー職人・野仲茂がコースでテストし、弾道計測器でデータを測定した。商品購入の際に参考になれば幸いだ。4回目は、コブラの「DS-ADAPT」シリーズの4モデルを打った。
今回のテストは、中調子でクセがない藤倉コンポジット「SPEEDER NX VIOLET(スピーダー エヌエックス バイオレット)」(60・X、長さは45インチ)を挿し、ボールはタイトリスト「PRO V1x」で統一。本コースで球を打ち、弾道追尾式の計測器「トラックマン」でデータを測った。シャフトとボールをテスター・野仲茂が実際に使う仕様にできるだけ合わせ、ヘッド特性の違いをあぶり出した。
大手外ブラのなかで知名度やユーザー数ではやや劣勢かもしれないが、球の強さや飛びという点で一目置かれるコブラのドライバー。その25年モデル「DS-ADAPT」シリーズの4機種を、元シード選手の野仲茂がテストしつつ、弾道計測器でデータを測った。
今回はコブラのニューモデル「DS-ADAPT」シリーズの「X」と「LS」の9度と10.5度、さらに「MAX-K」「MAX-D」という4モデル6個のヘッドを用意した。
つかまった高弾道でキャリーを出したMAX-D
初めに打ったのは“ドローバイアス”を謳う「MAX-D」(10.5度)。
「ネックが少し引っ込んでややグースに見えるぶん、球がつかまりそうな印象です。実際に打つと、イメージよりも球がつかまるし、高い弾道でストレート気味に伸びていく。スライサーでもやさしくつかまえて飛ばせるモデルですね」(野仲、以下同)
ヘッドの実測データを見ると、ライ角がかなりアップライト(63度)で、重心距離が平均的(39.9mm)なこともあり、大型ヘッドでもつかまりやすさが備わる。意外だったのは、重心深度が浅い(36.7mm)わりに、打ち出しが高めでスピンが程よく入っていたこと。この辺りは、リアルロフトが表示ロフトとほぼ同じ(10.6度)で、立っていないことが関係しているのか。
ヘッド実測値の詳細はこちらの記事を参照
「DS-ADAPT」ドライバーを一斉計測 “ロフト別重心設計”に見られるコブラの地力
右へ抜けにくい「MAX-K」
続いて「10K」(上下・左右のMOIの合計が1万 g・cm2を達成)を思わせるモデル名の「MAX-K」(10.5度)を打つ。すると、どストレートな高弾道で、キャリーが242ydを超えた。
「フェースが少しかぶって見えて、このモデルも球がつかまります。ヘッド後方の“頂点”が真ん中にあって、そのイメージのままストレートに飛んでいく。MOIが大きいだけあって球がネジれないし、打点ミスをカバーしてくれます」
ヘッドの実測データを見ても、重心深度が深くて(45.8mm)、MOIの大きさ(5657 g・cm2)が証明されている。それでいて野仲が言うように、フェースアングルがややフック(1.5度)で、大MOIヘッドにありがちな右へのすっぽ抜けが出にくい。
Xのロフト9度はスピンを抑えたフェードに
スタンダードモデルの「X」はどうなのか、ロフト違い(9度、10.5度)を打ち比べた。すると、どちらもフェードボールになりつつ、9度はスピンが少なくてランが出て、10.5度はスピンが適度に入ってキャリーを稼いだ。
「このモデルは見た目がカッコよくて、プロが使うのも分かります。打感がしっかりしていますね。ボクとしてはロフト9度のほうが、抑え込むように上から打ちやすくて振りやすい。とはいえ、9度にしては球が上がりやすく感じました。一方で、逃がし気味の顔になったし、ライ角がちょいフラットになったように感じます。球が左に行きにくくて、左サイドにOBや池があってもフェードで攻めやすいです」
本モデル、ロフトが9度と10.5度で重心設計が異なる。それはヘッドの実測データにも表れていて、9度のほうが重心深度(39.5mm)や重心距離(41.4mm)が抑えられているし、重心高2が長い(24.1mm)のでスピンが少ない球を打ちやすい。
また、野仲が指摘したように、ロフト9度のほうがフェースアングルがストレートに近くて(0.5度)、ライ角が少しフラットに(58度)、しかも重心角が抑えられて(23.9度)、球のつかまりがセーブされている。
左のミスを消し、安心して叩けるLS
公称値445㏄という小顔でロースピンを強みとする「LS」。そのロフト10.5度を打つと、スピンを抑えたフェードになる。
※ウエートポジションは出荷時の、トウ3g/ヒール10g/バック3gで固定
「シャープな顔で操作しやすいです。そして、球がゼッタイに左へ行きません。“ガンバって打ってストレート”という感じ(笑)。これなら『左のミスはない』と安心して振りにイケるので、試合でも使えます。アスリート好みのドライバーですね」
ここでコブラが今回満を持して搭載してきたカチャカチャ機構「FutureFit33」を試してみる。ロフト角とライ角を独立して±2度まで調整可能で、他社を大きく引き離す33通りというキメ細かな弾道調整ができるのだ。
野仲の打球傾向と希望を汲み、まずは「C2」のポジション(ロフト角/+0.3度、ライ角/+0.7度)に動かして打つと、打ち出しが高くなってフェードが収まり、飛距離が6ydアップ。さらに「D3」のポジション(ロフト角/-0.3度、ライ角/+0.7度)に動かして打つと、スピンがさらに減りつつストレート弾道になった。
続いて、ロフト9度のスタンダードポジション(A1)を打ってみた。
「ちょっと横スベりするように球が逃げて、引っかかりません。そして、球の高さやスピンが抑えられる。叩けるドライバーですね」
このモデルも、ロフト9度と10.5度は重心設計が異なる。ヘッドの実測データによると、9度のほうが重心深度がより浅くて(35.1mm)、重心高2がかなり長い(25.7mm)し、リアルロフト角が立っている(8.5度)こともあって、ロースピンの弾道になった。と同時に、フェースアングルがオープン(-1.9度)で重心角がより小さい(20.8度)ことで、球のつかまりが抑えられている。
“つかまり度合い”でモデルを選ぶのもアリ
4モデルを打ち比べて分かったことは「MAX-D」と「MAX-K」は球がつかまりやすくて「X」と「LS」は球が左に行きづらいこと。つかまりやすさの順番で言えば「MAX-D」→「MAX-K」→「X」→「LS」となった。左のミスをなくしたい人にとっては、逆の順番で打ちやすくなると言える。
何より「DS-ADAPT」シリーズの大きな売りと言えるのがFutureFit33。自分の弾道を補正するもよし、ホームコースに合わせるもよし、その日のコンディションにフィットさせるもよし。非常に細かく、かつ幅広いチューニングができるので、納得いくまで使い倒してみるべきだ。
取材協力:横浜カントリークラブ