“4人4バッグ”も楽勝の快適ゴルファーズ特急 マツダ「CX-80」/クルマはゴルフギアである#3

クルマはゴルフギアである
マツダ・CX-80

「仕事以外の時間に考えるのはクルマのことばかり」という稀代のクルマ好きである安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマ選びを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。第3回で氏が推すのはマツダの大型SUV「CX-80」である。(構成/編集部・中島俊介)

乗員は夢見心地になること必至

CX-80をゴルファーの皆様に推薦する理由は、ゴルファーズエクスプレスとしてのバランスの良さに尽きます。家からコースまでの移動時間を快適に過ごせ、荷物の積載性も抜群。さらに燃費もいいので、環境にもお財布にも低負荷なのがすばらしい点です。本モデルにはパワーユニットがいくつか用意されるのですが、私が特にいいと思うのが「XD-HYBRID」というディーゼルエンジンにMHEV(マイルドハイブリッド)が組み合わされた仕様です。

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クルマはゴルフギアである
コースまでの移動をゆったり快適に楽しめる

走行性能に関しては後述しますが、長い航続距離が特徴で、満タンで1000kmは走れます。ディーゼルですので燃料はガソリンよりも安い軽油です。7人乗りのモデルがおすすめで、3列シートを倒せば大きなゴルフバッグも余裕で積み込め、4人で乗り合わせてゴルフに行くのにも適していると思います。3列目へのアクセスは、便利ではないが不便でもないといった感じで、お子さんなら座れますし、170cmくらいの大人であれば体育座りを強いられるようなこともありません。

3列目シートは小さめ(3列シートを持つSUVはたいていそう)ですが、助手席や後席の乗り心地は非常に快適です。早起きしてコースに向かう往路やプレーで疲れた復路で、乗員はきっと寝てしまうでしょう。私は一向に気にしないのですが、乗せた人と会話を楽しみたい人にとってはいい選択肢ではないのかもしれません(笑)。

クルマはゴルフギアである
ベンチレーターを備えた後席(2列目)

前席だけでなく後席にもベンチレーター(換気機能)を備えているのも乗員の快適性を向上させるポイントです。以前のモデル「CX-8」の試乗会の時に、私はメーカーの方に後席のベンチレーター装備と、後席まで開くパノラマルーフを提言したのですが、なんとその通りにCX-80は仕上がってきたのです。広報の方から「これで(CX-80を)買わないとは言わせませんよ!」と迫られました(笑)。

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パノラマルーフはちゃんと“開く”タイプ

今では貴重な直6エンジン

エンジンは3.3Lの直列6気筒ディーゼル。CX-80の快適性は、このエンジンを抜きにしては成しえません。3.3Lというちょっと微妙な排気量に私は疑問を抱いたのですが、燃費を向上させるには3Lよりも3.3Lのほうがいいのだそうです。そして、今の時代には少なくなった直列6気筒(直6)というレイアウト。シリンダーが縦に6本並んでおり、各気筒の爆発間隔などから振動が非常に少ない形式とされています。

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クルマはゴルフギアである
3.3Lの直列ディーゼルエンジン

では直6がなぜ少なくなったのかというと、直6はエンジンが長くなってしまい、エンジンルーム内のスペース効率がよくないから。CX-80のような大柄なクルマだからこそ直6を採用できたとも言えます。このスムーズな直6はディーゼル特有のガラガラ音も少なく、取材車両を借り出した編集部のスタッフは、最初ディーゼルかどうか分からず不安になり、路肩に停めて車内の資料を確認したそうです(笑)。

クルマはゴルフギアである
明るく上品なインテリアデザインも見どころ

“マツダの走り”がATから見える

CX-80には他にもマニアックなポイント、トランスミッションがあります。スペック上は普通の「8速AT」ですが、実はクラッチを持っている。ちょっと専門的なので解説すると、普通のATはトルクコンバーター(トルコン)という流体によって動力を伝達します(CVTはトルコンとは別の無段階変速機)。ですがCX-80に搭載されるATはクラッチ板がつながることによって動力が伝わる。これは、“MTありき”で走りの楽しさを求めるマツダ車ならでは。マツダはトランスミッションを内製しており、かつては大型のステーションワゴン「MAZDA6」にもMTモデルの設定がありました。クラッチとギアを自社で作っている以上、新型車にもこれを生かさない手はないとマツダは考えたようです。

クルマはゴルフギアである
穏やかにも活発にも走れる、懐の深いSUV

クラッチとギアを使う以上わずかなギクシャク感はどうしても出てしまいます。しかしこれはマツダが考える運転の楽しさ。自動であってもギアがしっかり変わっていることをクルマが伝えてくれると解釈できて楽しいです。まあ、私はAT車であってもパドルやシフトノブを使い自分で変速するのでギクシャク感は皆無ですが(笑)。このあたり、トヨタの場合はリソースのある電気式自動変速機(CVT)を最善と考えたようです。メーカーによって思想や持っているノウハウに応じたクルマ作りが行われていることを知ると面白いと思います。

メーカーの良心が詰まっている

CX-80の車格的な競合には、ドイツ勢も入ってきます。マツダのエンジニアの方は、ドイツ勢は開発や素材にかけられるコストが格段に違うというようなお話をされていました。日本車に比べて多額の開発コストをかけ、日本車よりも高額で売る。このスキームが是とされるメーカーやブランドであればいいのですが、マツダは良くも悪くもそうではありません。細かいところが気になる私からすると、実はちょっと残念に思う個所も散見されます。しかし、与えられたコストやリソースの中で、今マツダにできることをやり切ってそれをこの価格で売っている。CX-80にはマツダの良心や、今までのフィロソフィーが詰まっていると感じます。こういうクルマこそが人の心に響くのではないかと、少なくとも私は思うのです。

クルマはゴルフギアである
ギア好きにはきっと刺さるはず!

<Specification>
●全長×全幅×全高:4,990mm×1,890mm×1,710mm
●乗車定員:6名
●車両重量:2,120kg
●駆動方式:AWD
●WLTCモード燃費:19.0km/L
●エンジン:3.3L直列6気筒ディーゼルターボ
-最高出力:187kw(254PS)/3,750rpm
-最大トルク:550Nm/1,500~2,400rpm
●モーター:MR型
-最高出力:12kw(16.3PS)/900rpm
-最大トルク:153Nm/200rpm
●車両本体価格:6,402,000円(税込)

取材協力:加茂ゴルフ倶楽部
写真:篠原晃一
イラスト:酒井恵理

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安東弘樹氏

安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール

元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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