スズキ初のBEV「eビターラ」は目の肥えた大人のゴルフクルーザー/クルマはゴルフギアである #10
先日は自宅のある関東圏から北海道までドライブを楽しんだというクルマ好きの安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマ選びを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。今回は、スズキのBEV(電気自動車)「eビターラ」である。(構成/編集部・中島俊介)
スタイリングの妙
eビターラをご覧になって、読者の皆様はどうお感じでしょうか?軽自動車を得意とするスズキが初めてリリースするこのフル電動SUVは、良い意味で“スズキらしからぬ”というか、上質感や高質感を湛えていると私は思うのです。BEVのデザインには各社工夫を凝らし、先進性やエンジン車との差別化を強く打ち出すケースが多いのですが、eビターラはある意味で正統派。従来のカーデザインから大きくは変えずとも、細かな部分に新しい造形を持ち込み、全体を上手にまとめあげています。
特に内装が白眉。タンカラーでまとめられ、安っぽさがありません。自分で運転しても大切な人を乗せても、非常に落ち着ける室内空間がeビターラの大きな美点でしょう。スズキがこんなデザインのクルマを作れることに、正直驚きました。サイズ感は国産コンパクトSUVと同等か少し大きいくらいです。全幅1,800mmは都市部でも運転しやすいサイズだと思います。何より“人とかぶりにくい”のが良いですね。じっくりモノを選ぶ、目が肥えたオーナーであることを静かに主張してくれそうなクルマです。数少ない難点を挙げるなら、助手席にパワーシートが装備されないくらいです。
“ゴルフ使い”に適した装備
eビターラはゴルフクルーザーとしても優秀です。まず、後席が真ん中だけ倒せる「4:2:4分割」であること。この機構は実はコストがかかるもので、国産車に普通に見られる「6:4分割」とは基本的な車体構造が異なるのです。この機構を気にしている人は、実は意外と多いですね。4WDモデルを試乗したスタッフは、足回りがしっかりしていて高速走行時の安定感に優れていると感じたそうです。
グレードは「X(2WD)」「Z 2WD」「Z 4WD」の3種類。高速走行時の安定感や悪路走破性などから4WDモデルがおすすめです。そもそも、このクラスのBEVで4WDを選べるのは大変貴重な存在。カタログ値の航続距離は、Z 2WDが520km、Z 4WDが433km、Xが433km。4WDモデルであれば、満充電で実質350kmくらい走るでしょう。ゴルフ場でプレー中に充電するのであれば、帰りにはどれも満充電になっているはずです。
電気自動車には補助金が出る
価格は、FWDモデルが399万円から、4WDは490万円ほど。電気自動車に対する補助金が最大127万円(2026年4月1日時点)出ると考えれば、魅力的に思えてくるのではないでしょうか?
<SPECIFICATION>
eビターラ Z 4WD
●全長×全幅×全高:4,275mm×1,800mm×1,640mm
●乗車定員:5名
●車両重量:1,890kg
●駆動方式:4WD
●航続距離:472km ※WLTC
●原動機:交流同期電動機(前後とも)
-合計最高出力:135kW
-合計最大トルク:307Nm
●総電圧:381V
●総電力量:61kWh
●車両本体価格:4,928,000円~(撮影車両価格:5,071,440円)
イラスト:酒井恵理
写真:尾形和美
取材協力:上総モナークカントリークラブ
安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール
元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。