ゴルファーこそ体感したい!進化を続ける先進機能と収納力 テスラ「モデルY」/クルマはゴルフギアである #7

クルマはゴルフギアである
テスラ モデルY

「電気自動車に乗る時はインバーターによる電流の切り替えのことなどを考えています」という類まれなクルマ好きの安東弘樹氏に、大人ゴルファーの“持ち物”としてのクルマ選びを提案いただく本連載。車体価格や維持費だけでなく、所有し使うことでオーナーが豊かになれるクルマが選出条件だ。今回氏は、電気自動車専門メーカーテスラの「モデルY」を提案する。(構成/編集部・中島俊介)

クルマはゴルフギアである
シンプルですっきりしたエクステリアはゴルフ場とも好相性

電動で操作できる「4:2:4分割」のリアシート

ゴルファーの皆様にモデルYを推薦する理由は、何をおいても“電動で倒して起こせる”4:2:4分割のリアシートを持っているからです。リアのラゲッジスペースにスイッチがあり、ゴルフバッグやその他荷物の大きさや個数に応じて、簡単にシートをアレンジできます。倒せるだけのクルマは割とありますが、起こせるのは意外と少ないんです。

実は私のクルマにはこの機構が付いておらず、この便利さを知ってしまってからは少し悔しい気持ちにさえなります(笑)。また、リアのラゲッジスペースの底面カバーを外すと大きな窪みが現れ、ゴルフバッグを縦にも積めるのも特徴のひとつ。スタッフが試したところ、後席を倒すことなく2~3本入ったそうです。床下にはバッテリーしかない電気自動車専用プラットフォームのなせる業ですね。

オンラインでどんどんアップデートされる

クルマはゴルフギアである
新たな機能がオンラインで次々と実装されていく

テスラのすごいところは、改善や進化(新化)のスピードです。従来の自動車メーカーのペースとは比較にならないスピード感で、クルマがどんどん変わっていくのです。他の自動車メーカーが「マイナーチェンジ」と呼ぶ変更を、テスラは特に告知もせずにどんどんアップデートしていきます(公に告知が無くてもユーザーには個々にメッセージが送られてきます)。このモデルYも、私が以前に試乗会で乗ったものと本記事用に撮影したものが、ある部分において全く異なる可能性すらあります。

ソフトウェア開発に秀でているので、コンピューターで制御できるものはどんどん新しくなります。スマホのOSやアプリをアップデートするかのように、クルマの性能が変わっていく。もはや従来の常識は通じません。つまり、新しければ新しいほど良いのです。じゃあいつ買えばいいんだという話になりますが、テスラは「欲しい時が買い時だ」と言います(笑)。

ほぼすべての操作はタッチパネルで

このモデルYは内外装ともにシンプルなデザインが特徴です。人によってはシンプル過ぎると感じることもあると思いますが、とにかくムダがありません。物理ボタンは本当に少なく、ハンドルのダイヤルとウインカーレバー、バックミラー付近にあるハザードスイッチくらいしかないのです。エアコンやヘッドライト、ワイパー操作までタッチパネルで行います。

前進と後退を切り替えるのもタッチで操作。初めてテスラに乗ったスタッフは、初めのうち戸惑って何度か間違えたそうですが、慣れればすべての操作がとても快適だと言っていました。後席にもタッチパネルがあり、前席同様の操作が可能です。

航続距離が長く、「ロングレンジAWD」のカタログ値は682kmですが(2025年10月現在)、電気自動車に不利な山道を駆け回っても試乗会での経験上500kmは走れそうです。ロングレンジAWDモデルの最大トルクは理論上600Nmほど。ガソリンエンジンで言えば5リッターV8くらいの出力で、一級スポーツカーも舌を巻く数字です。この大トルクを生かして山道を走るのも楽しいですよ。

高速道路で急速充電ができないが…

クルマはゴルフギアである
大トルクでコーナーを駆け抜ける

クルマの出来は非常に良いのですが、我が国におけるテスラを取り巻く環境は本国アメリカに比べて芳しくはありません。まず充電環境。テスラのスーパーチャージャーは大変高性能で、アメリカの自動車メーカーは電気自動車にテスラ式の充電システムを採用することを表明しています。しかしこのチャージャーは日本の高速道路には設置されておらず、本来の性能で充電するには一度高速道路を降りなければならないケースもあります。もちろんサービスエリアにあるチャデモ(※)でも(アダプターを使えば)充電できるのですが、時間がかかる…。ここが改善されれば私もテスラを購入する可能性が一気に高まります。

※チャデモ(CHAdeMO)日本が主導して開発した急速充電規格

クルマはゴルフギアである
モデルYの充電口

次に自動運転。アメリカではテスラが言うFSD(直訳すると自動運転)が運用されており、大渋滞にハマったとしてもドライバーは出発から車庫入れまで何もせず過ごせます。それを可能にするのが双方向通信です。いまこの瞬間に道を走っているテスラのクルマとヘッドクォーターのコンピューターが常につながっており、交通状況や車両の状態、ルート上の障害物など膨大な情報が本社に蓄積され、分析された後に各車にフィードバックされるのです。バーストしたタイヤの破片は避けるが、飛んでくるビニール袋は避けずに進み続けるなど、恐ろしいまでのシステムがアメリカでは構築されているのですが、日本では法律など様々な制約があって、現状、実現できないようです。

多額の補助金も魅力

テスラが登場した当初、クルマそのものの造りには正直未熟な部分が散見されました。しかし今ではそんなことはなくなり、他社に比肩しある部分では凌駕する性能を有するまでになりました。新興メーカーが、電気自動車界をリードするようになったのです。

また、購入時の補助金も魅力的。自治体によって異なりますが、例えば東京都在住の場合はクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)と合わせて125万~187万円程度の補助金が出るので、場合によってはAWDモデルは500万円前後、2WDモデルなら400万円前後での購入が可能。従来の概念を覆すテクノロジーを手に入れやすい価格で享受できる、貴重なクルマだと思います。

※補助金についてはお住まいの自治体の制度をよく確認ください

クルマはゴルフギアである
車内に響く“音”も選択できる…!

<SPECIFICATION>
モデルY ロングレンジAWD
●全長×全幅×全高:4,800mm×1,920mm×1,625mm
●乗車定員:5名
●車両重量:1,990kg
●駆動方式:AWD
●航続距離:682km(WLTP)
●フロントモーター:ACインダクションモーター
-最高出力:158kW
-最大トルク:240Nm
●リアモーター:AC永久磁石同期モーター
-最高出力:220kW
-最大トルク:350Nm
●充電キャパシティ:250kW
●車両本体価格:6,476,000円(税込)

イラスト:酒井恵理
写真:尾形和美
取材協力:日本長江ゴルフクラブ

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安東弘樹氏

安東弘樹(あんどう ひろき) プロフィール

元TBSアナウンサーにして大のクルマ好き、いや“クルマ狂”。50台ほどのクルマを乗り継ぎ、TBS勤務時代から自動車ローンが途切れたことがないという。独自の視点から切り込む自動車関連のコラムを各種媒体で連載中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員で日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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