菅沼菜々、復活Vの裏に“信じた1本”

5月の「パナソニックオープンレディース」で2年ぶりの復活優勝を果たした菅沼菜々が、ツアーの合間を縫って三菱ケミカルの東海事業所を訪れた。自身が愛用する「TENSEI Pro White 1K」などが製造されている工場で、同社のシャフトがどのように作られているかを見届けるためだ。
昨季は不調によりシード落ちという苦い経験をしたが、見事に再起を遂げた陰には多くのサポートがあった。シャフトもそのひとつ。「想像以上に多くの人が携わっていることを知りました」と話し、愛用のTENSEIとともにさらなる飛躍を誓った。
理想の弾道にマッチした“ホワイト系”シャフト

菅沼が今のシャフトを使うようになったのは初シードを獲得した2020-21年シーズンの途中から。「プロになったばかりのころは真っ直ぐ飛べばいいかなという感じで、球筋は意識していませんでした。ただ、試合を経験する中で、だんだん(理想の弾道を)考えるようになって、その時に勧めていただいたのがTENSEIでした」。求めていたのはフェードを打った時に左へのミスが出ないシャフト。元調子でつかまり過ぎない性能の“ホワイト系”が、求める球にぴったりマッチした。

TENSEIシリーズはPGAツアーにも愛用者が多く「ハードヒッター向け」というイメージもあるが、そこは意識していない様子。「女子ツアーを含めて、誰がどのシャフトを使っているとかはほとんど知りません。新しいシャフトをテストする時も、ツアーレップの方からも何も説明されずに渡していただきます。それで、何球か打った後に、実はこういう性能のシャフトなんだよと説明してもらっています」
余計な先入観を持たず、実際の振り心地やショットの結果を重視する。それがシャフト選びのスタイルだ。データ面では主にミート率を重視しており、大きな変化がないか注視している。ただ、本人曰く「実は(ミート率の数値が)ほとんど変わらないんです」と、スイングが安定しているがゆえに、変化はそこまで顕著に出ないと教えてくれた。
「調子が良くなれば」と変えずに使い続けた相棒

調子が上がらなかった昨年、一時は最新モデルだった「Diamana BB」を使用した時期もあった。「Diamanaは飛距離が出ていたので、試合でも使ったことがあります。TENSEIは私の調子がいい時に良さを発揮してくれていたシャフトなので、自分の調子が良くなれば、また良い弾道が打てるようになると信じていました。実際、今年はかなり飛んでいると思います」
今季はツアー7試合を終え(5月25日時点)、ドライビングディスタンスのデータが241.21ydと伸びており、飛距離も戻ってきている。これは信頼を置いているTENSEIだからこそ、調子に合わせて飛んでくれているということだ。