本当にポケキャビ?僕らでもイケちゃうツアーアイアン ブリヂストン「258CBP」試打
昨年9月に発売されて大ヒットしているブリヂストン「Bシリーズアイアン」の「241CB」「242CB+」。その追加ラインアップとして新機種「258CBP」アイアンが登場した。シリーズとしては一番やさしいモデルになるが、実は昨シーズンの終盤戦で阿部未悠や鶴岡果恋、宮里優作らツアープロがテストして話題になっていた。気になるそのヘッドの特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
複合素材でヘッド内部に「360度ポケットキャビティ」設計
【ミタさん】
今回紹介するのは大ヒットしている「Bシリーズアイアン」の追加モデル、ブリヂストンの「258CBP」です。
【シオさん】
「241CB」「242CB+」ときて、ことしは「258CBP」ですか?「P」というのは?
【ミタさん】
「P」はポケットという意味です。「241CB」「242CB+」は軟鉄鍛造一枚モノのハーフキャビティタイプでしたが、「258CBP」は低重心でやさしさを持たせたポケットキャビティタイプ。フェースがクロムモリブデン鋼、ボディは軟鉄という2ピースの複合構造になっています。
【コウタロウ】
フェースは軟鉄じゃないんですね。「241CB」「242CB+」の軟鉄フェースの打感が良かったけど…。
【ミタさん】
軟鉄ではありませんが、「258CBP」のクロムモリブデン鋼も外周部を薄くしつつ打点部分を厚くすることによって、弾きながらも柔らかい打感を持たせています。
【シオさん】
形状がスッキリしているのでポケットキャビティに見えないですね。
【ミタさん】
バックフェースに大きな空洞があるのではなくて、ヘッド内部360度に薄い隙間(スリット)が入ったようなポケットキャビティ構造になっています。
【コウタロウ】
ソール形状は「242CB+」に近いですね。
【ミタさん】
そうですね。ソールのラウンド角は「242CB+」と同じですが、ソール幅は0.5mm厚くして、トレーリングエッジ側を少し削っています。抜けの良さもありつつ、ダフリのミスに強いソールです。
【シオさん】
「241CB」「242CB+」とどう違うのかが楽しみですね。
「242CB+」に飛距離・寛容性をプラス。オリジナルシャフトの出来が良い!
【シオさん】
アドレスしたときの顔は「242CB+」とほとんど変わらない。少しトップラインに厚みがあるくらい。
【ミタさん】
「258CBP」も「242CB+」も7番アイアンのフェース長は79mmで全く同じです。ロフトも1度しか変わりません。形状を大きく変えないことによって、コンボセットにしやすくなっています。
【シオさん】
打感も「242CB+」と似ていますが、「258CBP」の方が弾き感があります。その分、飛距離が出る気がしますね。一番違うのは寛容性です。明らかに「258CBP」の方がやさしい。フェースの下側で当たっても打球が上がってくれるし、つかまりもいい。あと、シャフトもタイミングがとりやすかったです。
【ミタさん】
このシャフトはオリジナルです。「N.S.プロモーダス3 ツアー105」を「258CBP」に合わせてアレンジしています。さらに番手別フロー設計になっていて、ロングアイアンは軽め、ショートアイアンとPWは重めになっています。
【シオさん】
標準の「N.S.プロモーダス3 ツアー105」よりも良い意味でゆるみがあって、タイミングをとりやすかったです。飛距離もちょっと伸びて、高さも出てつかまりも少し良くなった感じがピッタリでした。
【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
僕が打つと7番アイアンはつかまりすぎて、飛びすぎてしまう。想定より5ヤードから10ヤードくらい飛距離が出てました。やさしいのは間違いないですが、本音を言うと僕は「241CB」が一番良かったです。
【ミタさん】
5番アイアンはどうでした?
【コウタロウ】
5番は最高!スピンも入りつつ、飛距離が出て、寛容性もある。これだけやさしい5番アイアンがあるならユーティリティより絶対いい。ロングアイアンとして1本バッグに入れる男子プロもいそう。
【シオさん】
アベレージゴルファーだと5番と6番を「258CBP」にして、7番からPWを「242CB+」という組み合わせも良さそうですね。
【ミタさん】
フィッター目線で言うと、100切りを目指すゴルファーやアベレージゴルファーに最もハマる可能性が高いのは「258CBP」。ツアーアイアンでありながらやさしい設計なので、長く使えるアイアンだと思います。
【ミタさん】
「258CBP」は女子プロに好まれるタイプのポケットキャビティアイアンですが、幅広いアマチュアゴルファーが使えます。「242CB+」と比較するとキャリーは5~10ヤードくらい飛んでいて、寛容性もあります。平均スコア100前後のゴルファーから80台のゴルファーまで使えますし、競技ゴルファーでも長い番手を「258CBP」にするのもアリだと思います。
【シオさん】
飛び系ではなく、あくまでツアーアイアンのカテゴリー内に収まったやさしいアイアンです。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
ブリヂストン 258CBP アイアン
●ロフト角(7I):30度 ●シャフト:N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DUAL FLOW シャフト ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。