まるでブレード、でもやさしい!“格子構造”による進化を体感せよ コブラ「3D プリンテッドツアー」アイアン
革新的なプロダクトを提供し続けているコブラから、3Dプリント技術を用いて製造された画期的なアイアン「3D プリンテッドツアー」が4月に発売される。昨年6月に世界限定500セットで発売されて瞬く間に完売した初代「LIMIT 3D」アイアンの後継モデルとなるのだが、果たしてどのような性能なのか。製品の特徴はギア知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
ヘッド内部を格子状にすることで余剰重量が最大100g
【ミタさん】
今回紹介するのは3Dプリンターで作られたアイアンの2代目となる「3D プリンテッド ツアー」です。
【シオさん】
ついにそういう時代になってきましたか。
【ミタさん】
鍛造でも鋳造でもない3Dプリンターを用いた製法です。
【コウタロウ】
バックフェースにある細かい格子は何ですか?
【ミタさん】
格子状にすることでヘッド重量を約33%も削減して、最大100グラムの余剰重量を生み出すと同時に、適切な強度と剛性を維持しながらソリッドなフィーリングを実現しています。これは鍛造や鋳造では出来ない画期的な利点です。
【シオさん】
100グラムってすごいですね。
【ミタさん】
自由に使える重量が100グラムあることでヘッドのヒール側、トウ側、さらにホーゼル内にもタングステンを配置して慣性モーメントを大きくしています。
【コウタロウ】
この形状で慣性モーメントが大きいんですか?
【ミタさん】
サイズ感はコブラのアスリートモデル「キング ツアーアイアン」とほとんど同じですが、さらにブレード長を短くしてトップラインも薄くしています。まさに上級者が好む外観なのに、高い寛容性を備えているのが特徴です。
【コウタロウ】
形状だけを見ると、PGAツアーの選手が使うタイプのアイアンですね。
【シオさん】
これで寛容性が高いというのが想像つかない。本当にその通りになっていたら大ヒット間違いなしじゃないですか?
【ミタさん】
そうですね…。ただ、価格が1本あたり6万円を超えていて、6本セットで37万6200円(税込)です。初代は世界500セット限定で45万円を超えていたので、着実に量産化できているんだと思います。
【コウタロウ】
37万!? お金がかかっている構造だとは思いますけど…。
【シオさん】
どういうアイアンなのか気になりますね!
中空アイアン以上に顔と性能のギャップが大きい!打感も◎
【シオさん】
顔がいいですね。本当にオーソドックスなツアーモデル。
【コウタロウ】
確かに「キング ツアーアイアン」によく似ていますが、こちらのほうがトウ側が若干高くて、“和顔”っぽさがありますね。洗練されていてクセがない。マッスルバックを使っている私でも違和感がありません。
【ミタさん】
打った印象はどうでしたか?
【シオさん】
ビックリしました。この形状でホントにやさしい。構えたときはマッスルバックなのに、大型ヘッドのフルキャビティみたいな感覚で打てます。高さも出てミスヒットにも強い。一番驚いたのは飛距離性能も高いこと。私は飛び系のアイアンを使っていますが、7番の飛距離は飛び系アイアンとほぼ互角でした。
【ミタさん】
シオさんのヘッドスピードで打っても7番で150ヤードを超えていましたね。
【シオさん】
しかも打感がイイ。弾き系ではなくて、フォージドアイアンみたいな食いつき感があります。
【ミタさん】
内部にウレタンやラバーなどのフォームを一切入れずしてこの打感はすごいですよね。コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
打感が違う意味で気になりました。見た目が完全にブレードアイアンなので、マッスルバックのようなもっと柔らかい打感を期待してしまいました。正直、そこまでの柔らかさには届いていないかも。
【ミタさん】
性能はどうでしたか?
【コウタロウ】
5番がめちゃくちゃ良かったです。これは1本6万円でも欲しい。5番のシビアな感じは全くなくてフェースの下側で打っても飛距離が出ますし、操作性も高い。7番はもう少しフェースに乗る感覚が欲しいけど、5番なら、この打感は全然アリです。ユーティリティや中空アイアンを入れるくらいなら、この5番を使いたいですね。
【ミタさん】
中空アイアンとも違う性能ですか?
【コウタロウ】
最近の中空アイアンも見た目と性能のギャップが大きくなってきましたが、これはもう別格。こんなに難しそうな見た目で、こんなにやさしいアイアンは初めてです。
【ミタさん】
コブラはアイアン以外にも3Dプリント技術を用いてパターも作っていますから、多くの実績と経験から改善してきたんだと思います。
【ミタさん】
3Dプリンターで開発されたアイアンは、ツアーモデルの形状とフルキャビティの寛容性を融合したようなアイアンです。80台からアベレージまで幅広く対応できると思いますが、バックスピンがやや少ないので力のあるゴルファーのほうが扱いやすいでしょう。「カッコイイけど難しくないアイアン」を探しているタイプにピッタリです。7番でロフト31度なのに、飛び系アイアンと互角の飛距離性能を誇ります。
【シオさん】
まさに一般アマチュアゴルファーが使えるブレード型アイアンです。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
コブラ 3D プリンテッドツアーアイアン
●ロフト角:24度(5I)、31度(7I) ●シャフト:N.S.プロ モーダス3ツアー105 ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI-6 ●硬さ:X
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。