ドライバーの“代わり”ではなく“お共に”したい キャロウェイ「ELYTE MINI」ドライバー試打
昨年7月に発売されたキャロウェイの「パラダイム Ai SMOKE Ti 340 ミニドライバー(以下、Ai SMOKE ミニ)」は、一般的なドライバーより長さが短く、ティショットでの安定感が多くのアマチュアゴルファーから支持された。その後継モデルとなる「ELYTE(エリート) MINI ドライバー」が、4月18日に発売される。“ミニドラ”の進化はいかほどか。製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
3Dプリンターで作ったミニドラ!ウエート調整が可能になった
【ミタさん】
今回紹介するのは昨年話題になったミニドライバーの新作「エリート ミニ」です。
【シオさん】
えっ、もうミニドライバーを発売? 今までは2月に主力モデルを発売して、夏にミニドライバーみたいなスケジュールでしたけど。
【ミタさん】
ことしのキャロウェイは春からミニドライバーです。
【コウタロウ】
スペック的には何が変わったんですか?
【ミタさん】
ヘッド体積が340ccで、長さが43.5インチなのは前作と同じです。ただし、「エリートシリーズ」のドライバー同様にAIフェースのコントロールポイントが10倍以上になっているそうです。
【コウタロウ】
コントロールポイントね。10倍になっているかどうかはわからないけど、たしかに「エリート」ドライバーの直進性は高かった。
【シオさん】
他に変わったところは?
【ミタさん】
ウエートが変わりました。前作は前方に4グラム、後方に12グラムでしたけど、今作は前方に5グラム、そして後方はニュートラル、ドロー、フェードの3つのポジションで調整できる13グラムのウエートが搭載されています。
【コウタロウ】
ウエートの微調整ができるのは良いですね。
【シオさん】
ロフトは?
【ミタさん】
ロフトも前作と同じ11.5度と13.5度の2タイプです。
【コウタロウ】
スペックだけを聞くと、前作から進化したという感じはしないのですが…。
【ミタさん】
それは打って体感してほしいところなのですが、開発体制が大幅に進化しています。キャロウェイはゴルフメーカーとしてはおそらく初めてのチタン素材を使える3Dプリンターを本社の開発部門に導入しました。その結果、試作品のヘッドを作る時間を90分の1に短縮することができました。開発期間に今までよりも多くの試作品を作ってテストできたことによってミニドライバーも進化しました。
【シオさん】
90分の1のリードタイムはスゴイですね!
【ミタさん】
進化を体感してもらうために、今回は前作と打ち比べて試打をしてみましょう。
顔、弾道、打感がよりドライバーに!初速性能も高い!
【コウタロウ】
私は11.5度で比較しようと思いますが、「Ai SMOKE ミニ」より形状がディープになって顔がよくなった。「Ai SMOKE ミニ」は3番ウッドに近い顔でしたが、「エリート ミニ」はドライバーの顔です。クラウンがマット仕上げになったのもいいですね。
【ミタさん】
打った印象は?
【コウタロウ】
振りやすいし、やさしい。これはイイかも!前作も打球が上がりやすかったけど、「エリート ミニ」の方がさらに上がりやすくなって初速も出ています。使っている3番ウッドよりも飛んでいるし、曲がりません。もう完全に“2番ウッド”として確立していると思います。
【ミタさん】
低重心になり、打球が上がりやすくなった恩恵なのかも知れませんね。
【コウタロウ】
打感も良くなった。「Ai SMOKE ミニ」は弾き感が強かったですけど、「エリート ミニ」は分厚い打感で玄人好み。打感にこだわる人が好きなフィーリングだと思います。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
私は13.5度を打ちましたが、普段使っているドライバーと飛距離はあまり変わりません。ヘッドサイズが340ccなので、ヘッドが近く感じられて3Wよりも短く感じます。この圧倒的な安心感はすごいですね。ドライバーの代わりに使うゴルファーの気持ちがよく分かりました。
【ミタさん】
60グラム台の純正シャフトはどうでしたか?
【シオさん】
ヘッドスピード40m/sの私でも、まったく重く感じなかったですし、振りやすいです。
【ミタさん】
45.75インチのドライバーだったら60グラムは重く感じるかも知れませんが、43.5インチならそれほどハードに感じませんよね。
【シオさん】
コウタロウ君も言っていたけど、打感は確実に良くなった。クリアな打感が心地良いです。
【コウタロウ】
これは打ちたくなるし、コースで使いたい。狭いコースで朝イチのティショットとか3番ウッドで打っていたけど、「エリート ミニ」で打てたらゴルフがもっと楽でしょうね。
【ミタさん】
ヘッド体積、長さ、ロフトは前作と同じですが、「エリート ミニ」はミニドライバーとしての性能が大幅に進化しています。初速性能は高いまま、低重心化によって打球は上がりやすく、形状もシャープになり、打感も良くなっています。13.5度はヘッドスピード40m/s前後のゴルファーでも十分に使えますし、11.5度もヘッドスピード42m/s以上あれば問題なく扱えるでしょう。ただ、各社からミニドライバーが発売されているなか、「エリート ミニ」はヘッド体積が大きめなので、ティショットで扱いやすい反面、地面からのショットではボールが拾いにくいかも知れません。
【コウタロウ】
ドライバーの代わりじゃなくて、ドライバーと「エリートミニ」を入れたいです。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
キャロウェイ エリート ミニ ドライバー
●ロフト角:11.5度、13.5度 ●シャフト:TENSEI GREEN 60 for Callaway ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI-6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。