ミニドラ界で最もミニ!地面からもイケる“2.5W”的存在 タイトリスト「GT280 ミニドライバー」
テーラーメイド、キャロウェイに続き、ついにタイトリストからもミニドライバー「GT280 Mini」が登場した。PGAツアーでは昨年から契約選手たちがプロトタイプをテストしており、話題となっていたが、このたび「GTシリーズ」として初のミニドライバーが製品化された。ヘッド体積は280ccと、ミニドライバーの中でもひときわコンパクトだが、その実力はいかに?製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感を探るべく、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
GT同様のコンポジット構造に新しいLカップフェース。PGAツアーで約1年間テスト
【ミタさん】
今回紹介するのはタイトリストのミニドライバー「タイトリスト GT280 Miniドライバー(以下、GT280)」です。
【シオさん】
「280」はヘッド体積ですよね。ミニドラとしてはかなり小さい。
【ミタさん】
テーラーメイド「バーナーミニ」のヘッド体積は304ccで、キャロウェイ「エリートミニ」は340ccなので、タイトリストは2回りくらい小さくなっています。長さは他メーカーと同じ43.5インチです。
【コウタロウ】
なぜ、そのサイズにしたのですか?
【ミタさん】
タイトリストのミニドライバーはPGAツアー選手をはじめとするゴルファーの声から生まれました。昨年からPGAツアーではTSRの2Wプロトタイプをキャメロン・ヤングやウィル・ザラトリスなどがテストしていましたが、選手たちからのフィードバックを収集した結果、280ccになったようです。
【コウタロウ】
このサイズだとクラウンは普通のチタンですよね。
【ミタさん】
いえいえ、最新のGTシリーズ同様にコンポジット構造にしています。
【コウタロウ】
シームレスすぎて全く境目がわからない。指でコンコンやってもわかりませんでした。
【ミタさん】
「GTシリーズ」を継承しているだけではなくて、鍛造のLカップフェースという新設計のフェースを採用しています。
【コウタロウ】
Lカップフェースの狙いは?
【ミタさん】
ミスヒットしたときでもボールスピード、スピン量を安定させ、小さいヘッドでも寛容性を高めるためです。もちろん、ヘッド体積460ccの大型ヘッドほどの寛容性は無理ですけど、小さいなりに限界に挑戦しています。
【コウタロウ】
「GTシリーズ」はすごく評価が高いだけに、ミニドライバーにも期待ですね。
【シオさん】
ただ、一般アマチュアゴルファーに280ccはハードルが高そうな気もするので、私はそれを確認したいです。
往年のタイトを彷彿させる美しい顔。FW感覚で地面から打てる
【コウタロウ】
まず顔が最高!90年代前半にタイトリストで名器と呼ばれたドライバーの顔ですね。シェイプが美しい。あの時代のタイトリストを使っていた人にはたまらない形状だと思います。
【ミタさん】
打った印象はどうでしたか?
【コウタロウ】
顔と同じく、打感も最高!大型ヘッドになる前のチタンドライバーのような良い音がします。これがコンポジットクラウンというのは信じられない。
【ミタさん】
方向性が安定していましたね。
【コウタロウ】
自分の思った方向に打ち出せる感覚がありました。最近の高慣性モーメントドライバーはとにかくストレートにズドン!という感じですが、「GT280」は右からドローで戻すとか、左に出してフェード回転をかけるという調整がしやすい。出球をコントロールできるのは中・上級者には安心感があると思います。さすがに飛距離は通常のドライバーに比べると落ちますけど、完成度の高さはさすがタイトリストです。
【ミタさん】
操作性の高い2Wといったところでしょうか。
【コウタロウ】
はい。飛距離的にもドライバーと3Wの中間に収まっています。それでいて3Wで打つより断然やさしい。これはコースに行ったら結構使いそう。短いミドルホールとか、朝イチのティショットなど、「GT280」の方が自信をもって打っていけます。
【ミタさん】
直ドラも行けますか?
【コウタロウ】
他メーカーのミニドライバーよりも直ドラは打ちやすい。ヘッドサイズが小さいのでフェアウェイウッドに近い感覚でボールが拾えて、打球が上がってくれます。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
コウタロウ君はナイスショット連発でしたけど、(ドライバーの)ヘッドスピード40m/sの私にはシャフトがかなりハードに感じました。しなっている感覚がなく、右に飛ぶ打球が多かった。つかまえ切れなかったです。
【ミタさん】
標準シャフト「TENSEI 1K BLACK」の重量は67グラムで硬さもしっかりあります。決してやさしいスペックではないかも知れません。
【シオさん】
ただ、高慣性モーメントドライバーよりもインパクト付近でのヘッドの動かしやすさは感じられました。
【ミタさん】
どういうゴルファーに向いていると思いますか?
【コウタロウ】
フェアウェイウッドを苦手としていない、中・上級者で堅実なティショットが打ちたい人。コントロールしながらフェアウェイをキープしてスコアメイクをしたいゴルファーに向いていると思います。
【シオさん】
高慣性モーメントドライバーが合わない人は結構いますので、そういう人は試して欲しい。あと、大型ヘッドで打球が上がりすぎてしまう人にも「GT280」はオススメです。
【ミタさん】
タイトリストの「GT280」はアスリートゴルファー、セミアスリートゴルファーをターゲットにしたミニドライバーです。ドライバーを小さくしたというよりも、フェアウェイウッドの延長線にあるミニドライバーかも知れません。フェースのスコアラインもフェアウェイウッドのようなラインの入り方で、地面からの拾いやすさを演出しています。ヘッド体積が280ccとコンパクトなので操作性能も高く、ソール形状も3Wに近いので直ドラもしやすいでしょう。
【コウタロウ】
ミニドラですが、2.5番ウッドといった印象です。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
タイトリスト GT280 Mini ドライバー
●ロフト角:13度 ●シャフト:TENSEI 1K BLACK 65 ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI-6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。