“粘り”と“鋭さ”のコラボ!?ドンッと加速する“今どきDI” グラファイトデザイン「ツアーAD DI ハイモジュラス リローデッド」
2009年に発売された「ツアーAD DI(以下、DI)」は、いまも多くのプロや上級者が使用するグラファイトデザイン社の代表的なシャフトだ。松山英樹が15年近く使い続けていることでも有名。今回紹介するのはその「DI」を最新の高弾性素材を使って作られた限定モデル「ツアーAD DI ハイモジュラスリローデッド(以下、DI HM)」。素材が変わることで、どのような変化が起きるのか。製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。飛び性能、弾道、打感を探るべく、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
2009年の「DI」に最先端の高弾性カーボンを“再装填”
【ミタさん】
今回紹介するのはグラファイトデザインの「ツアーAD DI ハイモジュラス リローデッド(以下、DI HM)」です。
【シオさん】
「DI」はもちろん知っていますけど、「ハイモジュラス リローデッド」って何ですか?
【ミタさん】
「ハイモジュラス」は高弾性、「リローデッド」は更新とか再装填するという意味があります。今回の「DI HM」は2009年に発売した「DI」を最新の高弾性素材を使って作り上げたシャフト。3000本限定での発売になります。
【コウタロウ】
2年前にも同じようなシャフトありませんでしたっけ?
【ミタさん】
よく覚えていますね。実は2023年にも3000本限定で発売したのですが、即完売しました。その後も販売を求める声があまりにも多かったので再販することになったそうです。
【シオさん】
高弾性の素材というのは何を使っているんですか?
【ミタさん】
まずシャフト全長に弾性率の高いトレカT1100Gを使って、積層にも高弾性カーボンシートを使っています。さらに先端側にはトレカM40Xを使っています。どれも2009年の「DI」では使っていなかった素材です。
【コウタロウ】
今回も人気出そうですけど、なぜ3000本しか発売しないんですか?
【ミタさん】
実は高弾性のカーボンシートというのは扱い方、巻き方がとても難しく、量産にはあまり向いていない素材。なので、通常のカタログ品のように安定した本数を供給できないため、限定という形で販売しているそうです。
「DI」のコントロール性にスピードとつかまりをプラス!
【コウタロウ】
私が最近使っているのが「DI」の「6X」です。クセのないシャフトですが、先端側はちゃんとしっかり感があります。今更ですが、ある程度ヘッドスピードが速い人にとっては決して難しいシャフトではないと思っています。
【ミタさん】
同じスペックの「DI HM」は打ってみてどうでしたか?
【コウタロウ】
正直、ワッグルしたときから「これはイイ」という感覚がありました。シャフト全体にハリがあってパキッとしています。打ってみると、やっぱり良かった。切り返しのフィーリングは「DI」とあまり変わらないけど、そこからのスピード感に差を感じました。
【ミタさん】
ボールスピードを比較すると1、2m/sくらい上がっていました。
【コウタロウ】
ダウンスイング以降、「DI」はググッと粘り続ける感じですが、「DI HM」はインパクト付近で急にドンッ!と加速する感じがある。同じエンジンにターボが搭載されたような。
【ミタさん】
「6S」を打ち比べたらどうでしたか?
【コウタロウ】
しなる量は大きくなりますが、挙動自体は「6X」と同じです。「DI HM」のほうがつかまる感じは強まりました。
【ミタさん】
どんなゴルファーに向いていますか?
【コウタロウ】
やっぱりベースは「DI」なので、大人しいシャフトで弾道をコントロールしたいタイプになってくると思います。また、高慣性モーメントヘッドと組み合わせると「DI」よりも低スピンになり、弾道が一段低くなるのでスピン量が多くて悩んでいる人に向いていると思います。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
私は「5S」で打ち比べましたが、「DI」はシャフト全体がゆったりしなる感じがして、シャフトが手助けしてくれる感覚がない。そこが上級者に好まれている理由だと思います。でも「DI HM」になるとゆったり感がなくなってシャープでスピーディな動きになりました。私のヘッドスピードでもこのフィーリングの違いは感じ取れます。
【ミタさん】
シオさんもスピンが減って、初速が出ていましたね。
【シオさん】
初速が安定して57m/sを超えているのは自分でも驚きです。「DI HM」は少しリリースが早くてもタイミングが合わせやすい。ただ、私は普段からスピン量が少ないので、これ以上減って欲しくないです(涙)。
【ミタさん】
ロースピンヒッターには厳しいですね。高慣性モーメントヘッドとの相性はやっぱり良さそうですか?
【シオさん】
すごく合います。中調子でありながら、走り系の雰囲気があることで、高慣性モーメントヘッドに負けないスピードが出せるところが魅力です。
【ミタさん】
高弾性素材を活用した「DI HM」はインパクト時のしなり戻りが鋭く、大型ヘッドでも強弾道が打てるシャフト。また、打感もシャープなのでフィーリングを重視するゴルファーにも応えられるでしょう。ねじれも少なく「DI」の特徴でもあるコントロール性の高さもしっかり継承されています。低スピンタイプのシャフトなので、弾道を低く抑えたいゴルファーには特にオススメです。
【コウタロウ】
まさに現代版の「DI」シャフト。再販してほしいという声の理由がよく分かりました。
コウタロウ 6S 比較データ
シオさん 5S 比較データ
■ 試打したクラブのスペック
グラファイトデザイン ツアーAD DI ハイモジュラス リローデッド
●モデル/フレックス/重量/トルク
5S/55g/3.6
6S/63g/3.2、6X/63g/3.2
●調子:中
■ マイクラブ情報
シオさん:スリクソン ZXi ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:ディアマナ BB ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI-6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。