シャフト全体がしなって高い球連発!今どきヘッドと相性抜群な赤 三菱ケミカル「ディアマナ RB」
「ディアマナ」といえば、白・青・赤の3系統で展開され、長年にわたり多くのゴルファーに支持されてきた人気シャフト。かつてPGAツアーで使用率No.1を記録し、いまも国内外のトッププロが信頼を寄せている。2024年には第六世代ディアマナとして「WB(白)」と「BB(青)」が発売され、そして今年、赤マナ系の最新モデルとして「RB(赤)」が登場した。伝統ある“赤マナ”のフィーリングを継承しつつ、現代の大型ヘッドに適した設計が施されたというが、どのように変わったのか。飛び性能、弾道、打感を探るべくアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
剛性率が約15%アップ!新チップ構造で高打ち出し・適正スピン
【ミタさん】
今回紹介するのは三菱ケミカル「ディアマナ RB(以下RB)」です。色から分かるとおり、赤マナの系譜です。
【シオさん】
赤マナ系って久しぶりですよね。
【ミタさん】
前作の「ディアマナ RF」は2017年だったので、約8年振りです。令和になってからは初の赤マナです。
【コウタロウ】
赤マナって先調子のイメージがあるんですが、中調子なんですよね。
【ミタさん】
はい。メーカーの表記は中調子。ただし、剛性分布としては手元を硬くしつつ、先端をややゆるめにしているので、フィーリング的には先中調子くらいに感じると思います。2024年に発売した白マナ系の「WB」と、青マナ系の「BB」に続いて、今年の「RB」で第六世代の3色が揃いました。
【コウタロウ】
ちなみに「R」というのはREDという意味ですか?
【ミタさん】
もちろん、そういう意味もありますが、実は今回の「R」には打ち出しを高くする「RISE」というメッセージを込めています。シャフト先端部の剛性を下げることで打ち出しを高くしているのですが、先端部のねじれを最適化する「NEW TIP TEC」設計によって高打ち出し角・適正スピンを実現しています。
【コウタロウ】
そう言えば、シオさんは最近「BB」を使ってますよね。
【シオさん】
はい。すごく気に入っています。ロースピンヒッターの私が打っても、適正なスピン量になってくれて、切り返しからインパクトまでのタイミングが合わせやすい。
【ミタさん】
「RB」にも「BB」同様のクロスリンクテック構造を採用しています。クロスリンクテック構造は原材料からシャフトの成型まで一貫してできる三菱ケミカルならではの技術。クロスリンクテック構造によって強度、弾性率を約15%も高めています。
【シオさん】
「BB」もすごく力強くしなるので飛距離が伸びました。先調子系に近い「RB」は、さらに飛距離のポテンシャルは高そうですね。
高慣性モーメントヘッドとの相性抜群!「BB」よりスピーディにしなる
【シオさん】
私は「BB」の5Sを使っているので、同じ5Sの「RB」を打たせてもらいましたが、シャフトの走り感が全く違います。明らかに「RB」の方がインパクト付近のスピード感があります。
【ミタさん】
先端が動く感じですか?
【シオさん】
いえ、そんなに先端がビュンビュン動く感じはなくて、中央部から大きくしなる感じです。
【ミタさん】
飛距離も出ていましたね。
【シオさん】
ドローボールが打ちやすく、気持ちよく振れました。また「BB」同様に、高い打ち出し角とある程度のスピン量が入ってくれるので、ロースピンヒッターの私でも極端にスピン量が少ない結果にはなりません。今回は「G440 MAX」のヘッドと組み合わせて打ちましたが、高慣性モーメントのヘッドとすごく相性がいい。つかまりの良いシャフトなので右にプッシュアウトするミスが出ませんでした。
【ミタさん】
「5SR」はどうでしたか?
【シオさん】
「5S」よりもさらにつかまり感があって、こちらは先調子に近いしなり方でした。ヘッドスピード40m/sだと「SR」より「S」の方が安定していました。
【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
私は「6S」を打ちましたが、中間部からの動きがあって、とてもオーソドックスなシャフトです。しっかりしたメーカー純正シャフトのような印象で、高慣性の大型ヘッドでもスムーズに動いてくれます。
【ミタさん】
コウタロウが使っていた「ベンタス TR レッド」と比較するとどうですか?
【コウタロウ】
同じ“赤系”ですけど全然違いますよ。「ベンタス TR レッド」に比べるとシャフト全体のしなり量が圧倒的に多いです。「ベンタス TR レッド」は先中のポイントだけがしなる“ゴツさ”があるんですけど、「RB」はシャフト全体がキレイにしなって“上品”に走る感じ。
【ミタさん】
「6X」はどうでしたか?
【コウタロウ】
手元の硬さを感じられるので、ダウンスイングで力強くヘッドを走らせることができます。これはタイミングが合えば飛びそう。それでも「ベンタス TR レッド」ほど手元の硬さは強調されていません。
【ミタさん】
どういうタイプのゴルファーに「RB」は向いていると思いますか?
【シオさん】
「5S」「5SR」のフレックスだとスイングテンポがゆったりしていて、タメが少ないタイプ。どちらかと言えば、大人しいスイングの人ほど飛距離と安定性が向上するようなシャフトです。
【コウタロウ】
「6S」はヘッドスピード42m/sくらいあれば、様々なタイプのゴルファーが扱えると思います。「6X」になるとアスリート好みのハリ感があり、ヘッドスピード45m/sくらいでもしっかり押し込んでいけます。シャフト自体のつかまりはいいので、フェードバイアスでつかまり過ぎないヘッドとも相性は良さそうです。
【ミタさん】
赤マナを継承する「RB」はシャフト全体のしなりが大きい高打ち出しタイプのシャフト。中調子ですが「5SR」「5S」「6S」までは先中調子くらいのフィーリングに感じるかも知れません。近年、主流となっている高慣性の大型ヘッドに適した設計となっており、従来の赤マナよりもハーフウェイダウンからインパクトにかけてのしなり戻りの強さとスピード感が感じられるでしょう。
【シオさん】
プッシュアウトやスライスのミスに悩んでいる人にも使って欲しいシャフトです。
■ 試打したクラブのスペック
三菱ケミカル ディアマナ RB
●モデル/フレックス/重量/トルク
53SR/51g/4.3、53S/52g/4.3
63S/62g/3.2、63X/63.5g/3.2
●調子:中
■ マイクラブ情報
シオさん:スリクソン ZXi ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:ディアマナ BB ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI-6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。