カーボンフェース第2弾は驚きの“初速性能” ヤマハ「RMX DD-1/DD-2」ドライバー
「インプレス ドライブスター」でカーボンフェースを初採用したヤマハが、今秋発売「RMX DD-1/DD-2」でその技術をさらに進化させた。三菱ケミカルと共同開発した8軸カーボンフェースを搭載し、飛距離性能とフィーリングを大幅に向上。女子ツアーでは高木優奈が8月の試合で早くも投入し話題となっている。ギア知識が豊富なミタさんがヘッドの特徴を解説。飛距離性能、打感、構えやすさを、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
8軸カーボンフェースが初速を変える。新バルジ設計でミスにも強い
【ミタさん】
今回紹介するのはヤマハの「RMX DD-1/DD-2」ドライバーです。「RMXシリーズ」としては初のカーボンフェースを搭載したモデルとなります。一般的なカーボンフェースは4軸とか6軸ですが、ヤマハは三菱ケミカルと共同開発した8軸カーボンを使っているのが特徴です。
【コウタロウ】
8軸になると何がいいんですか?
【ミタさん】
カーボン繊維は1方向への強度(引っ張り強度)がすごく強い。それが4軸だと4方向、6軸だと6方向、8軸だと8方向になるのでフェースの広い範囲に向かって強度を出せる。結果としてはフェースの広範囲でのボール初速アップにつながっています。
【シオさん】
ヤマハと言えば昔から打感、打球音にこだわっていましたが、カーボンフェースにしても、打感は大丈夫?
【ミタさん】
もちろんです。ヤマハは開発段階で打球音も重視しながら、ヘッド内部にリブをつけ、心地良い打感に仕上がっています。
【コウタロウ】
他に前作から変わったことは?
【ミタさん】
今回の「RMX DD-1/DD-2」は、ヘッドスピード30~50m/sまでの幅広いゴルファーの実打や、ロボットテストをベースに新しいバルジ設計(フェースにある横方向の湾曲)を見直しました。打点がズレてスライスしたり、フックしてもフェアウェイに戻りやすいフェースになっています。
【コウタロウ】
それは安心してフェードが打てそう。
【シオさん】
「DD-1」と「DD-2」はデザインはかなり似ていますが、何が違うんですか?
【ミタさん】
形状と重心です。「DD-1」はヘッド体積450ccで、前作だと「RMX VD/M」の後継、「DD-2」はヘッド体積460ccで「RMX VD/X」を引き継いでいるので重心は深めです。
【コウタロウ】
私は昨年まで「RMX VD/X」を使っていたので、特に「DD-2」を打つのが楽しみですね。
操作性重視の「DD-1」、寛容性重視の「DD-2」。どちらも飛距離性能は高水準
【ミタさん】
前作を使っていたコウタロウにとって、新作の「DD-1/DD-2」それぞれどういう印象でしたか?
【コウタロウ】
まず、デザインがめちゃくちゃカッコイイ。赤いカラーリングを控えめにしたことで、とてもシック。アスリートドライバーという雰囲気が強くなりました。
【シオさん】
海外メーカーのツアーモデルみたいですよね。
【コウタロウ】
顔もカッコイイ。「DD-1」のシャープで引き締まったヤマハの伝統的なドライバーの顔です。「DD-2」は「RMX VD/X」に近い安心感がありますが、「RMX VD/X」よりクセがなくなってスマートになりました。
【ミタさん】
打った印象はどうですか?
【コウタロウ】
想像以上にアスリート感が強いですね。「DD-1」はつかまりを抑えていて、スピン量も少ない。私が打っても右に飛ぶ打球が多かったです。その分、ボールスピードは68~69m/s出ていて、純正シャフトとしてはかなり速め。「DD-2」も決してスライサー向けのつかまりの良いドライバーではなくて、しっかり打ったときに直進性の高いストレートボールが打てる。両モデルともヘッドスピードとしては42m/s以上は必要かなと思いました。
【ミタさん】
なるほど。更にやさしい「インプレス ドライブスター」との棲み分けが、しっかり出来ていますね。
【コウタロウ】
ただ、前作とは飛距離のポテンシャルが違います。「RMX VD/X」は曲がらない印象が強かったのですが、「DD-1/DD-2」はまさに飛び!打感も全然違う。カーボンフェースなのに弾き感がすごい。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
強い打球でボール初速が出ています。ヘッドスピード40m/sの私でもボールスピード60m/sを超えることもあったので、飛距離性能は高い。フェースに乗ってから一気に弾く打感も良かったです。
【ミタさん】
「DD-1」と「DD-2」の違いは?
【シオさん】
私が打つと「DD-1」の方がキャリーが出ていましたね。「DD-2」はやさしいですけど、スイング中にヘッド後方の重心を感じるのが気になりました。でも、ミスヒットに寛容なのは明らかに「DD-2」です。
【ミタさん】
どんなゴルファーに向いていますか?
【コウタロウ】
両モデルともある程度、自分のスイングでボールをつかまえられる中級者以上のゴルファーに最もマッチすると思います。特に「DD-1」はヘッドスピードが早くてフック系のミスに悩んでいる人が打つと飛距離が伸びそう。
【シオさん】
「DD-2」はアスリート系のゴルファーでも打点のズレがやや大きいタイプ。特に左右方向のミスに関してはかなりカバーしてくれます。色んな弾道を打ちたいというより、オートマチックにストレートボールを打ちたいタイプにオススメです。
【ミタさん】
「RMXシリーズ」は中級者以上のセミアスリート、アスリートゴルファーに理想的なドライバー。つかまりを抑えているので、ヘッドスピードが速くても左へのフック、チーピンが出ません。ヘッドスピードとしては42m/s以上は欲しいところです。2モデルとも比較的ボールは上がりやすく、大きな違いとしては操作性と寛容性です。「DD-1」はボールを操りながら、しっかり飛ばしていけるドライバー。「DD-2」はオートマチックにストレートの強いボールが打ちやすいでしょう。
【シオさん】
カーボンフェースになったことで、フィーリングもガラッと変わりましたが、初速性能の進化を感じられました。
まとめ/RMX DD-1
まとめ/RMX DD-2
■ 試打したクラブのスペック
ヤマハ RMX DD-1ドライバー
●ロフト角:9度(コウタロウ)、10.5度(シオさん) ●シャフト:三菱ケミカルTENSEI FR60 ●硬さ:S
ヤマハ RMX DD-2ドライバー
●ロフト角:9度(コウタロウ)、10.5度(シオさん) ●シャフト:三菱ケミカルTENSEI GR50 ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:スリクソン ZXiドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:ディアマナ BB ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LSドライバー
●ロフト角:9.0度 ●シャフト:Tour AD DI HM-6 ●硬さ:X
ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。