アッ!と驚く球が出た! HS40m/s以下でも味わえるスピード体験 タイトリスト「GT1」試打
2018年以降、PGAツアーで7年連続ドライバー使用率No.1を継続しているタイトリスト。昨年8月末に発売された「GTシリーズ」では、これまでゴルフクラブに使用されたことのない新素材を採用し、タイトリストのドライバー設計において史上最大の飛躍を遂げたと言えるであろう。「GT4」「GT3」「GT2」が大ヒットしているなか、今回軽量設計の「GT1」が発売され、これでシリーズとしては全て出揃う形となった。「1シリーズ」はどのように生まれ変わったのか。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
GTシリーズ最軽量モデルの「1」。隠れコンポジット構造は同じ
【ミタさん】
今回紹介するのはタイトリスト「GT1」です。ひと言で説明すると「GTシリーズ」で一番やさしいドライバーです。
【シオさん】
どういうところがやさしいんですか?
【ミタさん】
まず軽い!純正シャフトは40グラム台後半からあって、クラブ総重量が270グラム台なので楽に振れます。
【コウタロウ】
「GT2/GT3」とは全然違うドライバー?
【ミタさん】
スペック的には違いますが、前作「TSR1」に比べると今回の「1」は幅広い層が使えそうなヘッドに仕上がっています。
【シオさん】
軽さ以外に違うところは?
【ミタさん】
ヘッド設計も全く違います。「GT1」は「GTシリーズ」の中で最も重心が深いので、打ち出し角が高いです。「GT2」と比べてもかなり高弾道です。
【コウタロウ】
共通点はありますか?
【ミタさん】
もちろん。「GT2」「GT3」で驚かされたコンポジットに見えないコンポジット構造は「GT1」にも継承されています。
【シオさん】
「GT1」も複合素材のシームレスクラウンなんですね。
【ミタさん】
はい。「GT2/GT3」同様にクラウンに新素材ポリマーを採用したことで軽量化しています。「GT1」ではその余剰重量をヘッド後方に配置しました。そのため、前作の「TSR1」よりも低重心になっています。
【コウタロウ】
「GT2」「GT3」はボールスピードが速かったので、「GT1」も期待できますね。
HS40m/sのシオさんは今年NO.1のボールスピード。でもHS50m/sだと…
【シオさん】
アドレスした印象は確かに「GT2」「GT3」より大きく見えるけど、構えにくさはありません。むしろ、タイトリストとは思えないくらいの安心感があります。
【ミタさん】
打った印象は?
【シオさん】
すごい振りやすいし、インパクトでは弾き感が強い。いきなりボールスピードが58、59m/sくらい出ました。60m/s近い数字が出たのはビックリしましたし、今年打ったドライバーではトップクラスのデータです。今回、ロフト9度のモデルではありましたが、「GT2」よりもう一段しっかりとボールが上がってくれて、直進性がありながら適度につかまってくれるところも好印象です。
【ミタさん】
標準設定となる軽量シャフト「フジクラ エアスピーダー Next Gen」の印象は?
【シオさん】
中間から先端部にかけてしなる感じがあります。また、このシャフトはどことなく“芯”のようなものを感じられて、軽いんだけどタイミングが合わせやすい。軽量ヘッドとの相性が良いのか、暴れる感覚は一切なく、私のヘッドスピードだとちょうどいい振り感でした。
【ミタさん】
コウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
私は自分のヘッドスピード(50m/s)に合わせて試しにシャフトを「TENSEI 1K BLACK 65(S)」にしてみましたが、シャフトを重くするとヘッドが軽く感じてしまって逆に振りにくい。
【ミタさん】
純正の「エアスピーダー」に戻したら?
【コウタロウ】
自分には軽すぎると思いながら打ちましたが、結果的には「エアスピーダー」の方が振りやすい。やっぱりヘッドとシャフトのバランスがすごく良いと思います。
【ミタさん】
ボールスピードはどうでしたか?
【コウタロウ】
シオさんみたいに今年イチの数字ではなかったです。僕の場合は「GT2」「GT3」の方が安定してボールスピードは出ていました。ただ、明らかに前作の「TSR1」より初速も出ているし、より高打ち出し、低スピンの弾道が打ちやすくなっています。「GT2」をシンドイと思った人はタイトリストを諦める前に「GT1」を試してほしいですね。
【シオさん】
これはシニアゴルファーでも使えますよ。
【ミタさん】
タイトリストのドライバーは中・上級者向けという印象が強いですが、「GT1」は深重心設計になっており、高弾道のボールが打ちやすくシニアゴルファーからアベレージゴルファーまで幅広いゴルファーが扱いやすいでしょう。また、振りやすさを重視した軽量モデルのため、ボールスピードの向上が見込めます。ヘッドスピード38~40m/sのゴルファーにとっては飛距離が伸びる可能性が高いドライバーです。
【シオさん】
軽量ドライバーですが、ちゃんと“タイトリストのドライバー”に仕上げられていて、形状、打感、振りやすさ、飛距離、安定感のトータルパフォーマンスが高いです。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
タイトリスト GT1 ドライバー
●ロフト角:9度(写真は10度) ●シャフト:フジクラ エアスピーダー Next Gen 40 ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。