出たぞ!最高到達点 「ただの飛び系」と言うには失礼なアイアン タイトリスト「T350」
今秋リニューアルされる新「Tシリーズ」は、すでにツアーで多くの選手が使用を開始。早くも話題を集めている。今回取りあげるのはヘッドサイズが最も大きく、飛距離性能を追求した「T350」。近年ではロングアイアンに「T350」を取り入れるツアープロも増えてきている、注目度の高い1本だ。製品の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。打感、構えやすさ、飛び性能をアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
フェースはL型鍛造!オールスチールで歴代「300シリーズ」よりシャープ
【ミタさん】
今回紹介するのはタイトリストの「T350」です。「Tシリーズ」で最も寛容性が高いアイアンです。
【シオさん】
私は「T300」を使っていたことがあるので、馴染みがあります。ただ、歴代の「T300」、「T350」と比較するとシンプルでスッキリしたアイアンになりましたね。
【ミタさん】
今回の「Tシリーズ」はコンボセットが組みやすいように、「T350」もオールスチール構造にして打感や形状の流れを他の「Tシリーズ」に揃えています。
【シオさん】
高い飛距離性能は継承しているんですよね?
【ミタさん】
もちろんです。フェースには新開発した鍛造L型フェースを採用したことによって、ボールスピードが向上しました。ただし、7番アイアンのロフトは29度で極端なストロングロフトにはなっていません。
【コウタロウ】
他メーカーの飛び系アイアンは7番で26度とかですよね。ロフトは控えめですね。ヘッドサイズも飛び系アイアンとしてはスマートな印象ですが、慣性モーメントは大きいんですか?
【ミタさん】
ヘッド内部は中空構造になっていますし、タイトリストだけの特許技術としてヘッド内部のトウ側、ヒール側の両方にタングステンを搭載できる技術があるので、見た目以上に慣性モーメントは大きくなっています。
【シオさん】
その特許技術は効いてますね。
【コウタロウ】
L型フェースにして中空構造になった上で、“タイトリストらしい打感”に仕上がっているのかは気になりますね。
プロがイケるレベルの打感。打ち出し、最高到達点は歴代最高
【ミタさん】
「T300」ユーザーだったシオさんですが、打った印象はどうでしたか?
【シオさん】
やっぱり「Tシリーズ」で一番飛距離が出ますし、ミスヒットにも強い。でも、一番驚いたのはボールの高さ。打ち出しが高くて、最高到達点も昔の「T300」より上がっていました。あの高さが出て、飛距離が出るのはすごいですね。
【ミタさん】
「T150」と比較するとボールスピードは2m/sくらい上がっています。
【シオさん】
インパクト直後のスピード感が違いますし、つかまりもいい。私のヘッドスピード(40m/s)でも、7番アイアンで160ヤードを狙えるのはうれしい。つかまりも良くて、球筋はストレートドローでした。
【ミタさん】
打感が気になっていたコウタロウはどうでしたか?
【コウタロウ】
たしかに弾き感はありますけど、フェースに一度乗ってから弾いてくれる。ただの飛び系じゃなくて、タイトリストらしい柔らかさを残した打感になっています。この乗る感覚があるからツアー選手も「T350」を使うのではないでしょうか。個人的には「T150」の打感より“鉄の感触”が強くて好きです。
【ミタさん】
着弾地点も安定していましたね。
【コウタロウ】
タテ距離も揃いますし、ミスヒットしたときの左右の曲がり幅は他の「Tシリーズ」と比較しても明らかに小さい。
【ミタさん】
どんなゴルファーにオススメですか?
【シオさん】
まずは私のようなシニアゴルファー。飛距離が欲しいけど、打感やデザインにもこだわりがあるベテランゴルファーに「T350」はピッタリだと思います。特に、今年の「T350」は歴代シリーズで一番カッコイイ。
【コウタロウ】
シニアゴルファーやアベレージゴルファーがメインターゲットだと思いますけど、競技ゴルファーでも4番、5番アイアンを「T350」にするのはオススメです。セミストロングロフト設定ですけど打球が上がってくれるので、ロングアイアンでもグリーンを狙える弾道をイメージできると思います。長いパー4のセカンドショットが楽になると思います。
【ミタさん】
「Tシリーズ」の中では最もロフトが立っていて、ヘッドサイズが大きい「T350」ですが、ただの飛び系アイアンではなくて、弾道の高さ、打感の良さ、寛容性も兼ね備えている総合力の高いアイアン。アベレージゴルファーでも使えますし、ゴルフ歴が長めのベテランゴルファーのツボも抑えられていると思います。飛び系アイアンに興味はあるけど、高さが出なくて諦めた人に試してほしいモデルです。
【コウタロウ】
ただの「飛び系」と言っては失礼なアイアン。グリーンに止められるようにしっかり考えられています。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
タイトリスト T350アイアン
●ロフト角:29度(7I)●シャフト:N.S.PRO 880 AMC ●硬さ:S
■ マイクラブ情報
シオさん:ブリヂストン ツアーB X-CB アイアン
●シャフト:N.S PRO MODUS3 TOUR 120 ●硬さ:S
コウタロウ:ミズノ S-3 アイアン
●シャフト:Dynamic Gold MID TOUR ISSUE ●硬さ:S200

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。