見た目は「昭和」も中身は「令和」 MOIだけに頼らない進化系ドライバー ブリヂストン「BX1 ST/BX2 HT」
アイアンの売り上げが好調なブリヂストンから、この秋新ドライバーが登場する。「BX1 ST」「BX2 HT」「BX1 LS」「BX1★ツアー」の4機種。吉田優利や桑木志帆ら、すでに実戦投入しているツアープロからの評価は高い。今回はそんな注目シリーズから「BX1 ST」「BX2 HT」を紹介したい。その特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能・打感・構えやすさをアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)と、ベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
ギザギザがさらに細かく、粗く進化。ソールをカーボンにしたセミモノコックボディ
【ミタさん】
今回紹介するのはブリヂストンの「BX1 ST」「BX2 HT」です。
【コウタロウ】
最近のブリヂストンは勢いがありますね。
【シオさん】
アイアンが好調だから、ドライバーも期待できます。
【コウタロウ】
フェースミーリングはあのギザギザですか?
【ミタさん】
もちろんです。ブリヂストン独自のバイティングフェースは網目状のミーリングをさらに細かく粗くすることで進化。結果としてスピン量を抑える設計になっています。
【コウタロウ】
他に進化したところは?
【ミタさん】
今作は大幅に構造を変えました。前作はチタンボディとカーボンクラウンを組み合わせたヘッドでしたが、今回はソール側にもカーボン素材を使ったセミモノコックボディにしています。その結果、20グラムの余剰重量を確保することができ、後方部分にチタンウエートを搭載。重心位置を最適化しています。
【コウタロウ】
最近はどのメーカーも大慣性モーメントで「飛んで・曲がらない」性能を追求していますが、ブリヂストンは独自路線ですね。
【ミタさん】
フェース面のミーリングなど、ブリヂストンは「接点の科学」を開発の核にしています。今や代名詞となるプロダクトになりましたよね。
【シオさん】
「BX1 ST」と「BX2 HT」は何が違いますか?
【ミタさん】
「BX1 ST」はヘッド体積を455ccに抑えて、ややシャープな形状にしています。2グラムと8グラムのウエートをフェース側に搭載しているので重心も浅めです。「BX2 HT」はフルサイズの460cc。ウエートは2グラムと8グラムですが、両方ともヘッド後方に搭載しているので重心を深くしています。
顔は独特だけど弾道は安定。中スピン設定でキャリーを稼げる
【コウタロウ】
「BX1 ST」は顔が独特ですね。この形状を見ても、ピンやテーラーメイドの性能を追いかけていないのがわかります。
【シオさん】
フェースが長くて、後方がコンパクトになっているので“タテ長”に見えます。楕円を半分にしたような顔です。
【ミタさん】
「BX1 ST」はスクエアに構えやすい形状を意識した形状になっていて、昔の「ツアーステージ」を彷彿させるヘッドです。
【コウタロウ】
ロフトは9.5度ですが、打ってみるとスピンが入ってくれるので、打球が上がってくれました。
【シオさん】
つかまりも良くて操作性も高い。ドローボールを打ちやすい感じでした。
【ミタさん】
フェースミーリングの感触は?
【コウタロウ】
たしかにフェースに乗った感覚はあります。なので、当たった瞬間にパーンと弾くドライバーではありません。
【ミタさん】
「BX2 HT」はどうでしたか?
【コウタロウ】
顔はスタンダードに近い丸型です。
【シオさん】
こちらもロフトは9.5度ですが、打ち出しは「BX1 ST」より高いし、寛容性もあります。打点が上下左右にバラついたときでも飛距離のロスが少なかったです。
【コウタロウ】
かなり左にヒッカケたと思ったボールも、曲がり幅を抑えてくれてラフで止まってくれそう。打球方向や着弾範囲が揃ってくれる安心感があります。キャリーで飛距離を出してくれるドライバーです。
【ミタさん】
どんなゴルファーにピッタリなドライバーですか?
【コウタロウ】
「BX1 ST」は最近のストレッチバックしたようなドライバーが苦手な人に試してほしい。独特の顔をしていますが、弾道は安定しています。ゴルフ歴が長くて昔の400ccサイズのドライバーを知っている人に使ってほしいドライバーです。
【シオさん】
丸型の「BX2 HT」は形状もオーソドックスなので、どんな人が構えても違和感がない顔。適度にスピンも入って、つかまりは良い部類に入ると思います。ヘッドスピード40m/s前後でもハイドローが打ちやすいでしょう。
【ミタさん】
「BX1 ST」は慣性モーメントを約8000g・cm2に抑えつつ、振りやすさや操作性の良さを追求したドライバー。その上でブリヂストン独自のフェースミーリングによって低スピン化を実現しています。「BX2 HT」は慣性モーメントが約9000 g・cm2のオーソドックスな丸型。それでも極端なシャローバックにはなっていないので、海外メーカーの10Kヘッドと比較するとコンパクトに見えると思います。低スピン系のドライバーではなく、適度なスピンが入るので、やさしく感じるでしょう。
【シオさん】
ギザギザフェースの打感やつかまりの良さなど「慣性モーメント以外のやさしさ」を体感できました。
BX1 STドライバー まとめ
BX2 HTドライバー まとめ
■ 試打したクラブのスペック
ブリヂストン BX1 STドライバー
●ロフト角:9.5度(写真は10.5度) ●シャフト:ベンタス BS6II ●硬さ:S
ブリヂストン BX2 HTドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:ディアマナ BS50II ●硬さ:S(写真はSR)
■ マイクラブ情報
シオさん:スリクソン ZXi ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:ディアマナ BB ●硬さ:S
コウタロウ:コブラ DS-ADAPT LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD DI HM-6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。