女子プロに人気「スコッツデール」 マニアは“C”にピンときた!/オグさんのパター偏愛日記#10

オグさんのPUTTER偏愛日記
ピンの「スコッツデール」シリーズをじっくりと

今回は、ピンの「SCOTTSDALE(スコッツデール)」シリーズです。ことし3月に発売され、女子ツアーで一定の人気があり、利用者の優勝は複数回を記録。パターの売り上げにはツアープロの使用率が大きく影響しますが、本シリーズは女子プロの使用で話題になる前から月間販売ランキング1位を記録するという、ちょっと異例の売れ方をしているのです。

スコッツデールシリーズの特徴は、なんといってもインサート。「ペバックス」という素材にピン独自の配合をすることで、ソフトな打感ながらしっかりした打音と転がりの良さを両立させています。このペバックス、ピンは何度かパターのインサートに採用してきていますが、今回のスコッツデールにおいては、あるデータを元に改良が加えられています。そのデータとは、アマチュアは打感のやわらかいパターを欲しており、プロに比べてショートのミスが圧倒的に多いということ。この二要素を満たすべく今回のペバックスインサートは開発されました。

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打音と感触と出球の勢いによりアマチュアのショートを抑制するというインサート

やわらかい感触と良い転がりは、本来相反するものです。感触と異なる結果は距離感などにとってあまり良いことではありません。しかしスコッツデールに搭載されているペバックスインサートは、やわらかい打感を実現させながら、インパクトの衝撃に合わせた打音をしっかり響かせることで、その感覚と結果のギャップを大きく軽減させています。転がりが良いのにソフトな打感で距離感も出しやすい。これがスコッツデールの最大のポイントだと思います。

ヘッドは9タイプを用意。形状も多彩ですが、本稿では3モデルに絞ってご紹介します。それらは、私が特に推したいモデルと、現在市販されているパターの中でありそうでないものです。かくいう私も1本購入。購入理由は、紹介の中で述べるとします。

■スコッツデール プライム タイン C

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ツノ型+センターシャフトは玄人好み!?

構えやすく直感で打てるセンターシャフト

いわゆる“ツノ型”のセンターシャフトです。マレットタイプでありながら重心は浅め、ブレードっぽく打てるけれど構えやすいという人気の形状。私が購入したのはこのモデルです。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → センター軸
ボール位置センター or 左寄り → 左寄り

各モデルがそれぞれどういう人に合うかの目安を記しましたので、下記記事を参考にご覧ください。
パットの型は2つ 「センター軸or左肩軸」 あなたは?

<打ってみた>
センターシャフトなどオフセットがないヘッドは、効き目が左の人にマッチしやすいです。ボールを左寄りにセットすると利き目の真下になり、フェースに角度がつかないため歪んで見えにくい。つまり、正確にセットアップしやすいわけです。転がりが良く、芯を少々外しても転がりの差が出にくいペバックスインサートのおかげで芯で打つことにナーバスにならずに済むので、リラックスしてパッティングできます。

<買いました>
もともとセンターシャフト、中でも重心が浅めのものが好きなのですが、このモデルはそこに構えやすさを持ち合わせ、完成度が非常に高いと思います。もちろんペバックスインサートのおかげで転がりもバッチリ。ピンのパターは注文時に、ライ角や長さなどを細かく指定できます。私は基本設定よりもフラットにし、長さは33インチ、そしてグリップをチェンジしました。私のパッティングスタイルはハンドダウンが強く前傾も深いので、それに合わせたものです。非常に気に入っており、転がりが良い長所を生かし、重めのグリーン時に使用しています。

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赤丸で囲まれたオレンジのドットはピン独自のカラーコードで表されたライ角です。それを見ればどのように調整されているのかが一目瞭然で、オレンジは標準から2度フラット。グリップは単純に好みです(笑)。同社は純正でも豊富なグリップをラインアップしているのでいつも迷います

パターのライ角は、打ち方とマッチしていないと押し出しや引っ掛けのミスの原因になります。構えた時にトウ側が浮いてしまうとアップライト過ぎで、引っ掛けのミスの原因になりやすく、反対にヒール側が浮いてしまうとフラット過ぎで、押し出しの原因になりやすくなります。この現象を反対に利用して、引っ掛けや押し出しのミスを軽減する対策を取ることもできます。

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手の位置や前傾度合いは各人で異なります。パターに合わせるのではなく、自分の気持ち良い構えや手の位置を探してみてください

左の写真が68度のライ角(私が購入したもの)に合わせたアドレス、右が72度のライ角(スタッフ私物)に合わせたアドレスです。シャフトの角度や手の位置が結構異なるのがわかりますね。狙ったところに打ち出せないとお悩みであれば、一度ライ角をチェックしてみてください。

■スコッツデール アンサー4

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アンサーと言えばピン、ピンと言えばアンサー!4はスラントネックを装着したタイプ

大きめのアンサーは操作性良好!

アンサー4はショートスラントネックのアンサー。美しく構えやすいヘッドに操作性の良いネックの組み合わせは、クランクネックのアンサーとともにピンが代々ラインアップしてきた伝統の1本。ですが、今回のスコッツデール アンサー4はひと味違います。アンサー型ヘッドは、操作性は良いが打点のミスに弱いと言われがちなのですが、本モデルは美しい形状のままヘッドを大型化し、ミスへの寛容性を高めています。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → どちらでも
ボール位置センター or 左寄り → どちらでも

<打ってみた>
目標に合わせやすいブレード形状ですが、今回はトップブレードとボディを異なるカラーにすることでコントラストがつき、さらに構えやすくなっています。ひと回り大きいヘッドは鈍重さもなく操作できるのですが、打点が明らかにズレた時でも転がりの差が少なく、方向も狂いにくい。この辺はペバックスインサートの効果もあると感じます。最近は“幅広ブレード”が一定の人気を得ており、今回のスコッツデールにもラインアップはあります。ですが、見た目のバランスや美しさは、アンサー4に軍配が上がると思います。

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右手の感覚を生かしやすいので順手にマッチします

ネックがハーフオフセットなので、ボール位置はどちらでもマッチします。クラブに任せてオートマチックにストロークするのであれば、他のモデルの方がやさしいと感じる場合もあると思います。ですが、総じて幅広いゴルファーにおすすめできる完成度の高いパターです。

■スコッツデール CRAZ-E

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一風変わった形状はピンが長年育んできたもの

意外と少ない“オフセットなし”マレット

CRAZ-E(クレイジー)は2004年の「G2i」シリーズが初出の、ピンを代表する大型マレット。ボディの中央がくりぬかれて外周に重さを配した形状で、慣性モーメントが高くミスに強いモデルとして各シリーズにたびたび登場しています。こういった大型マレットは、ダブルベンドシャフトでオフセットがしっかりついているモデルが多いのですが、このクレイジーは、オフセットなしのベンドシャフトを装着している珍しい仕様です。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → センター軸
ボール位置センター or 左寄り → 左寄り

<打ってみた>
クレイジーの美点をひと言で言うと、引っ掛けにくいこと。オフセットがないぶんつかまり過ぎのミスや手が動かなかった時に左に飛びにくいのが特徴です。それでいて、大型マレットらしい重々しい挙動でオートマチックなストロークがしやすい。この独特の形状は実に構えやすく、「もう少し売れてもいいのになぁ…」と常々思っています。

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オートマチックに振りやすくミスに強い、そして左のミスが起きにくい。中上級者に好まれる仕上がり

今回はカウンターバランスの中尺モデルもあるので、パターにお悩みの方にぜひとも触ってもらいたい1本です。

「アマを助ける」はプロにも効いた

スコッツデールシリーズは、アマチュアの意見を真摯に受け入れて作られたパターです。だからこそ、ツアープロが使う前にアマチュアに支持されたのでしょう。ツアーでも結果を出しているのが、アマチュアだけでなくツアープロにも有効な性能を有していることを証明しています。今回は3モデルに絞りましたがラインアップは多彩なので、色々なモデルを触ってみてください。特徴あるインサートの性能を生かし、それぞれの個性が生きるモデルばかりですよ。

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佐久間朱莉はスコッツデール「DS72」で初優勝含む3勝をマーク(2025年8月13日現在)
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小倉勇人(おぐら・はやと) プロフィール

ゴルフショップ「ゴルフフィールズ ユニオン」店長。クラフトマン、クラブフィッター、さらに雑誌やウェブ記事の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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