ナイキ、マスダゴルフ…マニアが手放せない小型ヘッドは?/オグさんのPUTTER偏愛日記#12

オグさんのPUTTER偏愛日記
パターマニアが手放さないモデルとその理由とは…

70~80本くらい持っています

今回は、私の所有するパターの中から、特に気に入っている小型ヘッドの5モデルを紹介します。現在自分が何本持っているのか正確には把握していないのですが、おそらく70~80本ぐらいはあると思います(笑)。パターをいっぱい所有するメリットは、パッティングが飽きないことでしょうか。

パターに関するルールは他のクラブと異なることもあって、様々なヘッドが存在します。その違いを体感するには、やはりコースで使用してみるのが一番。また、調子が悪い時の気分転換もでき、悪い流れを断ち切るのに便利です。

デメリットは、保管場所に困ることでしょうか…。私は一カ所でなく色々なところに保管しているので、目当てのモデルを探すのにいつも苦労します。環境の良い保管スペースが広く確保できればよいのですが、そうもいかず、劣化を考えると環境の良いところに分散して保管する形をとっています。ツアープロの多くもパターをたくさん所有し、その中から1本を選び抜いて戦っています。

パッティングで一番陥りやすいのは、「スムーズなストロークができなくなり何をやっても上手くいかない」と悩んでしまうこと。悩まないためにも複数のパターを使い分けて、「今回上手くいかなかったのは、グリーンに対してパターの選択を間違えたから」と使っていたパターのせいにするのが得策です(もちろん練習は必要ですけどね)。

■メソッドモダンクラシック MOD-90(ナイキ)

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メソッドモダンクラシック MOD-90

もう二度と出ない!?“ハイテクT字”モデル

ナイキが2013年に発売した「メソッドモダンクラシック」シリーズの1本。シリーズには、ブレードタイプ「MOD 30」、L字マレットタイプ「MOD 60」、ベントネックのマレットタイプ「MOD 00」、そしてこのT字タイプ「MOD 90」の4モデルがありました。モデル名の数値は、フェースバランスを0度としたトウハングの角度から取られています。

私は学生時代にT字タイプのパターを愛用していた時期があり、T字にはそれなりの思い入れがあります。その後マレットタイプが主流になっていくと“難しいパター”として扱われ、以後T字の新製品はほとんどなくなっていったのです。そんな中、2010年代の最新技術を使って登場したこのモデルを見て感激し、買ってしまいました。届いてみたら “意外とデカい”と思った印象があります。

ブレード長を長くとってその両端にウエートを搭載することで、厚みがないヘッドでもブレが少なく、“T字としては”ミスに強いです。もちろん、ブレードやマレットと比べると敏感なので、感覚を呼び戻すためにコースや練習でたまに使っています。現在では似たタイプとしてちょっとだけ重心を持たせたセンターシャフトのモデルが、近い性能を持っています。今後こういった“T字”と呼べるモデルはもう出てこないでしょうから、大事に使っていきたいと思っています。

タイプ:T字・オフセットなし
ボディ:303ステンレス、ステンレスウエート
インサート:ポリマー
発売年/入手年:2013年/2014年
所有スペック:33インチ、クラブ重量525g
レア度:★★★★★(5/5)
LOVE度:★★★★☆(4/5)

■TRI-HOT 5K THREE(オデッセイ)

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TRI-HOT 5K THREE

少オフセットのショートスラントブレード

2022年発売、オデッセイのハイテクシリーズの一員です。ネーミングの「5K」は慣性モーメント5000g・cm2の意。発売当時は5つのヘッド全てがブレードタイプ。ネオマレット並みの慣性モーメントをブレード形状で実現させたパターとして大きな話題になりました。ちなみにこの「THREE」は人気がなかったのか、最初にカタログ落ちしてしまいました。

弧を描くようなフランジ形状はピンの「ZING」や「MYDAY」が有名で、ショートスラントネックを組み合わせたブレードモデルによく見られます。もともと私はこういう形状が好みでした。このTRI-HOT 5K THREEは形の美しさもさることながら、ハーフオフセットが好みと完全に一致し、発売当初は我慢していたのですが結局購入しました。シャフトが軽量、かつヘッドとグリップエンドにウエートを搭載したカウンター仕様。ヘッドの挙動をつかみやすく、非常に振りやすいです。

トウハングが大きいので、普段使用しているフェースバランスのセンターシャフトパターの調子が悪くなった時によく登場します。ヘッド挙動が両者で大きく異なるので気分転換にピッタリ。また、私はクロスハンドが基本ですが、クローや順手の握り方をパターを試す時に使います。私が好きな形状やパターはなぜかすぐにカタログ落ちしてしまい、流通本数が少ないようなのでこちらも大事に使っていきたいと思っています。

タイプ:ブレード・ショートスラントネック・ハーフオフセット
ボディ:ステンレススチール、アルミニウム、タングステンウエート
インサート:ホワイトホットインサート
発売年/入手年:2022年/2022年
所有スペック:長さ33インチ、クラブ重量527g(実測)
レア度:★★★☆☆(3/5)
LOVE度:★★★☆☆(3/5)

■スタジオコレクション オリジナル(マスダゴルフ)

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スタジオコレクション オリジナル

リクエストして作ってもらった“超敏感”センターシャフト

マスダゴルフ代表でクラブデザイナーの増田雄二氏によるフルハンドメイドパターが「スタジオコレクション」。打ち合わせを含めほぼすべての工程を増田氏本人が手掛けてくれるので、唯一無二のパターが手に入ります。

このパターは2021年に増田さんに作ってもらったもの。本連載をお読み下さっている方はお分かりだと思いますが、私のパターの好みはかなり偏っておりまして、理想とする市販のパターに巡り合ったことがなかったのです。そこで増田さんにお願いし、作ってもらうことにしました。

リクエストしたのは3点で、センターシャフト、オフセットなし、ヘッド重量370gであること。後は増田さんにお任せしました。写真だと分かりにくいのですが、割と小ぶりなサイズで重量370gをほぼ叶えていただき、重さの感じられる理想のセンターシャフトに仕上げてもらいました。160gと重めのスチールシャフトを組み合わせ、敏感なヘッドながら繊細なタッチも出せる大満足の1本となりました。

これは私の理想の形なので、もちろんエースパターです。グリーンの状態や私の調子によってお休みすることはありますが、絶対に手放すことはありません。私のパッティングの“戻るべき場所”、基準と言えるパターです。

タイプ:センターシャフト・オフセットなし・ブレード型
ボディ:303ステンレス
発売年/入手年:2011年/2011年
所有スペック:長さ33インチ、クラブ重量562g(実測)
レア度:★★★★★(5/5)
LOVE度:★★★★★(5/5)

■ケーデンスTR B65(ピン)

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ケーデンスTR B65

10年も前にあった!クランクネックのフェースバランス

2015年発売の「ケーデンス」は、素材や重さの異なる2種類のインサート(青と黒)に、多彩なヘッドタイプを用意していシリーズです。ヘッドのみならずネックにも他にないような形状があり、個人的には非常に好感を抱いていました。本製品は、フランジをやや大きく設計したところ、アルファベットの「B」に似ていたので「B65」となりました。Bが付くピンのヘッドはいくつかあって、名器と名高い「B60」が有名ですが、この「B65」はネックをやや中央寄りに溶接し、ちょっと長めにすることでフェースバランスに仕上げています。

特徴的なのは、クランクネック仕様でありながら溶接位置がややオフセットされている点。クランクネックとしては非常に珍しいハーフオフセットになっており。フルオフセットでは引っかけやすい私でも使えるのが魅力です。この希少性に惹かれて購入したというのが本音ですね。使うタイミングは決まって、右へのミスが多い時。どうにもボールがつかまらない時の練習時に引っ張り出して使います。このパターで左に打ち出せるようになってきたら調整がうまくいっている証左。私にとっては薬のような1本として、突然の不調に備えて常備しています。

タイプ:クランクネック・ハーフオフセット・小型マレット
ボディ:17-4ステンレススチール
インサート:6061アルミインサート(青TR)、304ステンレスインサート(黒TR)
発売年/入手年:2015年/2016年
所有スペック:長さ33インチ、クラブ重量563g(実測)
レア度:★★★★☆(4/5)
LOVE度:★★★☆☆(3/5)

■ケーデンスTR TOMCAT-C(ピン)

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重めのブレード型センターシャフトは珍しい


上記B65と同じケーデンスシリーズに属するモデルです。ブレードタイプで重めのセンターシャフトは当時の市場にほとんどなかったため購入。私が同じシリーズで複数モデルを買ったのは非常に珍しいことでした。

当時はブレードタイプのセンターシャフトを愛用していて、グリーンや調子に合わせて使い分けられるパターを探していました。ところがセンターシャフトのブレードタイプは数が少なく、なかなか見つからない。そんな中で出合ったのがこのモデルでした。条件を満たしているだけでなく、ブレードタイプとしては“異例”ともいえる378gのヘッド重量。これはもう即決でした。その後は速いグリーンなどで頼れる一本としてかなり活躍してくれました。

表側が銀色っぽくなっているのは、使用を重ねるうちに傷ついた塗装が気になり、自分でヤスリで磨いたからです。手をかけたことでさらに愛着が湧き、長くスーパーサブとして活躍してくれました。現在はほぼ同重量の上記マスダがエースパターとなり出番はほとんどありませんが、今でも大事に手元に置いています。

タイプ:センターシャフト・オフセットなし・小型マレット
ボディ:17-4ステンレススチール
インサート:6061アルミインサート(青TR)、304ステンレスインサート(黒TR)
発売年/入手年:2015年/2015年 とか
所有スペック:長さ33インチ、クラブ重量575g(実測)
レア度:★★☆☆☆(2/5)
LOVE度:★★★☆☆(3/5)

良い結果を出してくれたパターは手放さないのが吉!

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以前手に入れたパターを時折打って、当時の感覚を取り戻そうとしています

今回ご紹介したパターは、どれも一度はコースで良い結果を出してくれています。こうしたパターは、手放してしまうと必ず後悔します。なぜなら、その時の感覚を思い出そうとしても、手元にないとそれが叶わないから。私自身、過去にそうしたパターを何本か手放してしまい、今でも同じモデルを探しています。特に私のように特殊な好みを持つゴルファーにとっては、似たモデルを見つけるだけでも一苦労。だからこそ、手に入れたパターはなるべく手放さないようにしています。

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小倉勇人(おぐら・はやと) プロフィール

ゴルフショップ「ゴルフフィールズ ユニオン」店長。クラフトマン、クラブフィッター、さらに雑誌やウェブ記事の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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