縦ジマ派?横ジマ派?みんな大好き「ジェイルバード」を徹底研究/オグさんのPUTTER偏愛日記 #7

オグさんのPUTTER偏愛日記
ジェイルバードは縞々の向きもネック形状も多様

今回はオデッセイの人気モデル「ジェイルバード(JAILBIRD)」の5モデルを揃え、違いを詳しく研究していきたいと思います。

ジェイルバードは2014年に「ヴァーサ」シリーズの1モデルとして誕生しました。濃紺と白のストライプ模様によってヘッドの向きをわかりやすくしており、このシマ模様が牢屋の格子のように見えることからJAILBIRD(囚人)と名付けられました。当時は大きく注目されることはありませんでしたが、2023年にリッキー・ファウラーの優勝ギア(ロケットモーゲージクラシック)として一躍大きな話題に。ならば最新技術を搭載して復活させようと、オデッセイがラインアップに加えたのです。

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ジェイルバードは比較的大きめの投影面積を持ちながら、平べったく、ヘッドの後方は薄く、重心は低く浅いです。この平べったさが低く長いストロークイメージにつながり、個人的にはパンチの入りづらい良いデザインだなと感じます。

最新のジェイルバードは「Ai-ONE」シリーズにラインアップされており、様々なバリエーションが用意されています。今回は、ネック/デザイン違いで代表的な5モデルを比較します。

■Ai-ONE JAILBIRD MINI CH

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ブレードタイプっぽく打てるつかまりの良さが◎

縦ジマ×クランクネック


Ai-ONE JAILBIRD MINI CH パターは適度な操作性を持つジェイルバードに、クランクネックを組み合わせたモデルです。クランクネック搭載モデルのほとんどはフェースがシャフト1本分後方に下がるフルオフセットで、右へのミスがしにくいです。また、適度なトウハング(重心角)によりヘッドの開閉がしやすく、操作性が良好でつかまるマレットに仕上がっています。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → 左軸
ボール位置センター or 左寄り → センター

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フェースオフセットが大きいのでボールをセンターに置きやすいです。ハンドファーストに構え、左軸でストロークすると非常に安定したパッティングが期待できます。

各モデルがそれぞれどういう人に合うかの目安を記しましたので、下記記事を参考にご覧ください。
パットの型は2つ 「センター軸or左肩軸」 あなたは?

<打ってみた>
右へのミスのしにくさとつかまりの良さを生かしてボールをセンターに置き、ハンドファーストの構えを維持しながらストロークするととても安定しました。反対に、ボールを左寄りに置いたりセンター軸でストロークしたりしようとすると、出球が左に行くことがありました。

■Ai-ONE JAILBIRD MINI S

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大型マレットの操作性を最大限に向上

縦ジマ×ショートスラントネック

Ai-ONE JAILBIRD MINI S パターは、ショートスラントネックを組み合わせたジェイルバード。クランクネックよりもオフセットの少ないハーフオフセット、そしてトウハングも大きいです。クランクネックよりもつかまりが小さいのでストローク中にヘッドが開閉しようとする力が大きく、操作性がより高いのが特徴です。右よりも左へのミスを嫌がるゴルファーにオススメです。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → センター
ボール位置センター or 左寄り → 左寄り

ハーフオフセットなのでボール位置はどちらでもいいのですが、つかまり性能はあまり高くないのでやや左寄りのほうがマッチしやすいでしょう。ストロークもどちらでも使えますが、ヘッドの開閉の動きとマッチしやすいセンター軸のほうが安定感は出しやすいです。

<打ってみた>
ヘッドが自然と開閉しようとするため、この動きに逆らわないようにゆったりストロークすると、非常に安定しました。自分のテンポで打っても操作はしっかりとできますが、ブレードタイプのようにクイックには動きません。少しゆったりとしたテンポを心がけると扱いやすく感じるはずです。

■Ai-ONE TRI-BEAM JAILBIRD MINI CH

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右へのミスが起きにくい“ちょっとズレ”のセンター

縦ジマ×ラケットホーゼル

Ai-ONE TRI-BEAM(トライビーム)JAILBIRD MINI CS パターは、幅広いネックで打点ズレのミスを大きく軽減するラケットホーゼルを搭載。センターシャフトの仲間には入りますが、わずかに重心距離が残されています。また、クランクネックのようにフルオフセットで、右へのミスが起きにくいです。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → センター
ボール位置センター or 左寄り → センター

ストローク中にヘッドはほとんど開閉しようとしないため、吊るように構えて振り子のようなストロークをイメージすると安定しやすいです。芯を少々外してもラケットホーゼルが助けてくれます。ボール位置は、フルオフセットしているのでセンターがマッチします。

<打ってみた>
ジェイルバードをオートマチックに使いたいならこのネックがベストです。アップライト気味に構えてシンメトリーにストロークするとパッティングが安定します。個人的には左寄りにボールを置きたいのですが、そうするとつかまりの良さが仇となり、左へのミスになりやすかったです。

“横ジマ”デザインが新登場

前述した通り、縦のシマ模様だからジェイルバード(囚人)なのですが、最新モデルには横ジマ仕様も存在します。ジェイルバードが誕生した際に所属(?)していたヴァーサシリーズは、カラーリングによるアライメントをうたっており、縦ジマ模様の「ヴァーチカルアライメント」と横ジマ模様の「ホリゾンタルアライメント」の2タイプが用意されていました。その時の横ジマ模様を最新のジェイルバードは搭載しているのです。横ジマ模様のモデルは白いラインがボールと同じ幅になっており、ストローク中の残像が残りやすいです。縦か横か、構えやすさやよいストロークイメージの湧くほうを選びましょう。

■Ai-ONE JAILBIRD MINI VERSA90 DB

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扱いやすさと操作性が両立!

横ジマ×ベントネック


Ai-ONE JAILBIRD MINI VERSA90 DB パターはシャフトを曲げたベントネックを採用したモデルです。ネックがないぶん重心を低くでき、シャフトの曲げ方によってトウハングの設定を自由に作れます。本モデルはシャフトを2度曲げたダブルベントで、フェースが真上を向くフェースバランス。フェースはフルオフセットで、振り子のようにオートマチックに振るストロークとマッチしやすいです。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → センター
ボール位置センター or 左寄り → センター

ラケットホーゼルモデルと似たフェースバランス+フルオフセットで、振り感は異なりますが扱い方はほぼ同じです。首の後ろあたりを支点とした線対称の振り子ストロークがマッチします

<打ってみた>
ラケットホーゼル搭載モデルとよく似ていますが、振ると結構差があります。こちらのほうが重々しく動くというか、慣性モーメントが高く感じました。どちらも芯を外してもヘッドがブレにくいですが、ラケットホーゼル搭載モデルはそれなりに敏感に動かせます。対してベントネックモデルは挙動も重々しい感じ。このあたりは好みで選びましょう。

■Ai-ONE JAILBIRD MINI VERSA90 CH

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縦ジマが好きか横ジマが好きか…?

横ジマ×クランクネック

このAi-ONE JAILBIRD MINI VERSA90 CH パターとAi-ONE JAILBIRD MINI CHとの違いは、シマ模様が縦か横かと、サイトラインが3つのドットなのか線状か、だけです。

<合う人>
センター軸 or 左軸 → 左
ボール位置センター or 左寄り → センター

フルオフセットのクランクネックも同じなので、ボールセンターでハンドファーストに構え、左軸ストロークがおすすめです。

<打ってみた>
性能的には、縦ジマ模様モデルとの差は感じられませんでした。個人的に好きなのは縦ジマで、フェースと平行のラインが多いほうが構えやすいと感じるからです。ブレードタイプが好きな方は、フェースとボディが作る縦のラインが縦ジマ模様に似て見えるためで、ジェイルバードも縦ジマが合う可能性が大きいです。一般的に大型マレットパターは横ジマ模様が多いです。ジェイルバードの横ジマ模様は、構えやすさはもちろん、色のコントラストによって中央の白いエリアがストローク中に残像として目に残ります。この残像によりラインに沿ってストロークしやすいというメリットがありますね。打つことよりも振ることに意識が行くので、方向ばかり気にしてショートしちゃう、パンチが入っちゃう、なんて人にはよい効果があると思います。

ネック形状で転がりに違いが出た!

今回は弾道計測器トラックマンを持ち込んで、それぞれのジェイルバードにどんな違いが出るのかを測ってみました。「スキッド距離」とは簡単に表現すれば、ボールが完全な順回転になる前に浮いたり跳ねたりしている状態でどのくらい進んでいるかを表す数値です。「ロール速度」は、ボールが順回転を始めた時点の速度。「スピードドロップ」は、ロール速度に対するインパクト直後のボールスピードに対する速度の低下した比率。「距離」は実際に転がった距離。そして「ロール%」は、トータルの距離に対してボールが回転した距離の割合を示しています。

パッティングは、スキッド距離ができるだけ短く、ロールしている距離が長いほうがよいとされています。また、スキッドとロールの距離の割合が一定であることが、再現性の高いパッティングを目指すうえで重要なポイントです。

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ネック形状の異なる4モデルを比較

ヘッドもインサートも全て同じですので、性能差はほぼありません。違いが出ているとすれば、私の打ち方とマッチするかどうかです。転がりの良さを表すロール率が高いのは、ショートスラントネックとベントネック。個人的にオフセットが少ないモデルが好みなので、ショートスラントは打ち方とマッチしたのでしょう。ベントネックは普段使用しているセンターシャフトパターと特性が近かったからでしょうか。ラケットホーゼル搭載モデルは普段使っているパターに似ているかなと思ったのですが、振り心地はちょっと違いがありました。ミスへの強さは感じましたが、私の打ち方とはマッチしなかったようです。

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同じジェイルバードでもネックや模様の違いで転がりも変わりました


具体的な数値を見ると、最も数値が揃っているのがラケットホーゼル搭載モデル。多少芯を外しても転がりが変わっていません。ラケットホーゼルの効果を証明したデータですね。反対に、ロール速度やボールスピードにばらつきが出たのがクランクネック搭載モデル。私が苦手なネックということもあり、左に飛ばさないように無意識にアジャストしてしまったのかもしれません。こういうデータは、パターの機能的な部分はもちろん、好き嫌いによる無意識な動きも可視化されてしまうようで、ちょっと怖いです…。

ジェイルバードは、構えやすくて扱いやすいマレットとしてしばらく高い人気を維持するでしょう。バリエーションがこれだけ豊富ですから、ご自分にピッタリのモデルを見つけてくださいね!(S2Sのジェイルバードはあるのですが、普通のセンターシャフトが出てほしいな~)

取材協力:AR GOLF JAPAN
写真:小林司

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小倉勇人(おぐら・はやと) プロフィール

ゴルフショップ「ゴルフフィールズ ユニオン」店長。クラフトマン、クラブフィッター、さらに雑誌やウェブ記事の編集・執筆業も行う、歌って踊れるゴルフライター。好きなクラブはパター、左利き/右打ち。愛称は「オグさん」。

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