ELYTE X ドライバーを筒康博が試打「実は隠れたコアモデル」
石川遼も選んだドローバイアス設計 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
ELYTE X ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】
AIを駆使し、コントロールポイントを前作比10倍の2万5000個にして補正精度をより上げたキャロウェイ「ELYTE」シリーズ。ドローバイアスモデル「ELYTE X ドライバー」は、やさしさ重視というイメージが強かったが、先週の「ニュージーランドオープン」にて石川遼のバッグに入っていたことで、中上級者からの関心も集まっている。そんなプロにも選ばれるつかまりのいいモデルを、HSの異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「安心感だけではない! ボリュームゾーン対象の真ん中候補」
―率直な印象は?
「初代『パラダイム』シリーズ以降、同社はフェース上部とクラウン部で色味のコントラストがはっきり分かれていましたが、そこが今作は特に気にならない。全体的に構えやすく感じられました。グレーから黒に近いカラーリングに変わったことで、大きな投影面積でも違和感なく構えられます。安心感と精悍さのバランスが取れた印象を受けます」
―シリーズの関係性でいうと?
「ドローバイアス設計でつかまりのいいモデルですが、そのうえで力強さが増している気がしました。私のように弾道が低めで、スピン量が多くないゴルファーからすると、コアモデル『ELYTE ドライバー』よりシリーズの真ん中に位置している存在に感じます。私よりもう少しHSが速い人からすると、コアか『ELYTE ―◆◆◆ ドライバー』になると思うのですが、40m/s前後の一般的な速さからすると、やさしさに力強さがプラスした理想に近い性能。HSのボリュームゾーンを対象としているため、シリーズの真ん中はコアではなく『―X』ではないかと思いました」
―コア「ELYTE」との違いは?
「使用シャフトが同じだったこともあり、正直、大きな違いは感じませんでした。若干コアのほうが中弾道で、低スピンな強い球質が出る印象。一方『―X』は高めの打ち出しで中スピン。同じ打点でも、ほんの少し弾道が高く上がりやすいイメージです。ただ、どちらも力強さがあり、大きな差があるとは言えません。顔の違いは前作同様、『―X』は後方に伸びた形状で、ヒール側のボリュームが少し大きめ。ですが、これもそこが気になって構えにくく感じるほどの特徴ではなく、コアと同じレベルで操作性も感じられる。安心感を得られつつ、決して大き過ぎない程よいサイズ感は好印象に映りました」
―他社のやさしいとされるモデルと比べると?
「“やさしい”というと、その半面“飛ばない”といったネガティブな要素を思い浮かべる人は多いですが、今作は例外的に初速+低スピン性能が高い気がします。やさしい要素は感じますが、同じ…、いやそれ以上に力強さを感じます。また、最後部の可変ウエートを見ると、ニュートラルの他にドローポジションが用意されていて、ニュートラルでもうまく打てるけれど、ちょっとつかまらない、スピンが足らない、上がり切らないといった人向け用にもう1ポートが用意されている感覚。他社の高慣性モーメントなMAXモデルとは少し分けて考えたほうがいいかもしれません」
―ヘッド以外で気になる箇所は?
「前作で気になったのは、バックラインの存在が大きかったグリップで、今作はそこが改善されて、太さと硬さがすごくしっくりくる印象を受けました。グリップ全体が少し太くなったというか、やわらかくなったというか、握り心地が気持ちよくなっています。シャフトとヘッドとの一体感も、より感じられる。ラバー製ですが、現在アイオノマー系を使っている人でも、違和感なく気持ちいいと感じる感触です。このままカスタムする必要がないと思わせてくれる純正アイテムです」
―どのような人向き?
「やさしいクラブは使いたいけれど、飛び性能は失いたくない人。特に『X』というネーミングのイメージだけで食わず嫌いになっている人は損をするでしょう。ちょっと今までのドローバイアス設計とは違う印象を受けると思います。ぜひ同社ファンの方は、コアと今作を比較しながら試打してほしいです」
プロが使うのも納得の力強さ 全項目4.5以上【総合評価4.6点】
【飛距離】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:VENTUS GREEN 50 for Callaway(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。