ELYTE MAX FAST ドライバーを筒康博が試打「広がる軽量ニーズを反映」
日本人向けにフィットさせたELYTE ご意見番クラブフィッターの評価は!?
ELYTE MAX FAST ドライバーをご意見番クラブフィッターが試打したら…【筒康博】
弾道を補正するポイントを前作比10倍に増加させた「Ai 10x FACE」によって、飛びとやさしさを両立したキャロウェイ「ELYTE」シリーズ。軽量モデル「ELYTE MAX FAST ドライバー」は、アジア人のスイングデータのみをAIに活用し、日本人のスイング特性によりフィットさせるプロダクトとなっている。そんな振りやすさを増したモデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「2つの調整機能が追加 同社内での選択肢がぐっと広がった」
―率直な印象は?
「大きく変わったところで、評価できる部分は2点あります。ひとつは、可変スリーブが搭載されて調整幅が増したこと。もうひとつは、ソール最後部の可変ウエートポート(箱型)で、つかまり具合を明確に操りやすくなったこと。これまでの『MAX FAST』は軽量で打ちやすいメリットばかりがフィーチャーされてきましたが、調整機能を新たに追加したことで、このカテゴリーを求めるゴルファーニーズを反映していると感じました」
―このカテゴリーのゴルファーニーズ…?
「はい、最近の軽量モデルユーザーの幅が広がったということです。以前は、軽量=パワーがなく飛ばない、上がらない、つかまらない人のみを対象としてきましたが、ロフトやライ角、重心位置やシャフトのバランスといった細かい調整が可能となり、より自分好みにフィットさせたい人にもアプローチできるようになりました。これまで実現できなかった『―MAX FAST』に重いシャフトや、現在使用中のシャフトを付け替えることも可能に。同社内でのドライバー選びの選択肢がぐっと広がった分、どれにしようか悩む人が急増しそうです」
―兄弟モデル「ELYTE X ドライバー」と悩む人は多そう?
「そうですね。おそらく同ロフト角&同じシャフトで打ち比べたときに、スピン量の差に表れる気がします。若干ですが、数字でいうと300rpmくらい『―X』のほうが少なく感じる。コースに出たときに、「キャリーが足りないor満足」、「弾道が高いor低い」の好みで選ぶといいでしょう。最終的にはヘッドとシャフトとの組み合わせで、スピン量も弾道も決まってくると思うのですが、ヘッド単体で兄弟モデルと比較できることで、『―MAX FAST』の存在感自体が上がったといえると思います」
―同時期発売のテーラーメイド「Qi35 MAX LITE ドライバー」と比べると?
「テーラーメイドもキャロウェイも、軽量モデル同士だけではなく、全体的にボールが上がりやすくなったと思います。両社とも、私のパワーではスピン量が少な過ぎてドロップしてしまうのではないかと思っていたモデルでも、意外と適度な高さと力強い弾道で飛ばせる。そういう点で『MAX FAST』も『MAX LITE』も、シリーズ内での立ち位置として、それほど個性が前に出ているとは言い切れない。他社ともそうですが、兄弟モデルとの比較も必要になり、これまで以上にモデル選びで悩む人は増えそうです」
―純正シャフト(LIN-Q GREEN 40 for Callaway)の振り心地は?
「これまでも『MAX FAST』シリーズのシャフトは、ヘッドとのバランスがいいなと思っていましたが、今作も相性抜群で振りやすく感じます。軽量モデルを使いたいゴルファーは決して力を抑えて打っているわけではなく、一生懸命振りたい人のほうがむしろ多い中で、単にやわらかければいいわけではなく、カルカタ(軽硬)の要素がちょっと欲しい。ボールが曲がらない範囲でギリギリまで振り切って、しっかり遠くへ飛ばしたい。だからこそ、シャフトには軽快さだけではなく、振り心地のシッカリ感も求めたい。そんな要望に応えてくれるのが、この『LIN-Q』の剛性感のような気がしました」
―どのような人向き?
「同社は他社と違い、高慣性モーメントを大々的にアピールせず、AIフェースの進化を主にPRしていますが、その点ではヘッドのブレにくさをあまり重視していない人。高慣性モーメントヘッドが苦手なゴルファー向き。現在のトレンドにいまいち乗り切れていない人には、もしかしたら同社のドライバーから試打を始めたほうが、好みの性能にたどり着く可能性は高いかもしれません。新機能が追加されたタイミングで、これまで使ったことがない人も一度は手に取ってみてはいかがでしょうか」
クラブの完成度を評価! 悩めるところが楽しいところ【総合評価4.8点】
【飛距離】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】5.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:LIN-Q GREEN 40 for Callaway(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。