ミズノプロ S-3 アイアンを小山内護が試打「全部が一致する気持ちよさ」
ミズノが目指した打感の頂き ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター評価は!?
ミズノプロ S-3 アイアンをジャンボ軍団の飛ばし屋が試打したら…【小山内護】
SOFTNESS(やわらかさ)、SOUND(打音)、SENSITIVITY(打感)――3つの「S」を究極な域まで押し上げたミズノ「ミズノプロ S-3 アイアン」。「S25C」という厳選された軟鉄素材を使用し、響きの長い澄んだ打音を生むことで、これまで以上の“頂”と呼ぶフィーリングの最高峰を目指した。平田憲聖や杉浦悠太らもその打感の虜となっているようだが、果たしてヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人の採点は!? ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター・小山内護が試打評価を行った。
「アイアンの“根本”を再認識 ボールが空中で止まって見える」
―率直な印象は?
「これは正直、私らプロが使う限定クラブです。見た目が格好いいからといって、アマチュアが手を出してはいけないレベル(笑)。逆を言えば、根本的にアイアンはこうでなくてはいけないと思わせてくれる、とにかく高く上がって飛ばせる流行を全く追っていない本格派プロモデル。そもそもボールを飛ばすには自分でトレーニングする以外ない…という、当たり前のことを当たり前に再認識させてくれるモデルです」
―見た目は少しハード…?
「少しというか、かなり。アドレスでヘッドを見ると不安になってしまうほど、プレッシャーを感じます。我々が若い頃に使用していたマッスルバックより若干厚くはなっていますが、それでもトップブレードはシャープで、フェース長もかなりコンパクト。打感が最高なだけに、安心感はもう少し欲しいです。ただ打ってしまえば、その気持ちよさが勝り、見た目云々を一気に吹き飛ばしてくれる。もう少しサイズが大きく、グースが入って私好みのルックスであれば、使いたくなっていたと思います」
―それだけフィーイングは最高?
「はい。打った瞬間、ボールと頭の中で描いたイメージが全て一致します。他モデルでは予想以上に飛んでしまったり、弾きすぎるときが見られるのですが、今作はその感触とボールの強さ、スピード感に誤差がない。ミスだと思えばその通りミスになってくれるので、カバーする役割がない。半面、次打ではああしようこうしようと考える機会を与えてくれます。打感のやわらかさが絶妙なことで、自然とスイングも改善する。いいこと尽くめですが、その分の練習量は必要なので、ターゲットは間違いなくプロorローハンデ向きといえます」
―実際に打った球筋も理想的?
「そうですね。打ち出した瞬間、糸を引いてるようなショットが生まれます。本来7Iのイメージで打った7Iのショットが、そのままの形で出てくれる。高さと速さが現実化し、ゆったりとドローorフェード回転がかかりながら、地面に落ちてくる。空中で止まって見えるほど飛球時間が長く、それを見ているだけでも気持ちがいい。映像では分かりにくいかもしれませんが、実際に打って見て味わえるプレーヤーだけが感じる特権。もちろん性能はツアープロくらいHSと技術が必要ですが、ドーン!と力強く打ち込める人であれば、この球筋は最高で理想的だと思います」
―今回の試打は人工芝でしたが、実際の芝からはどうですかね?
「ソールの抜けが抜群なので、逆に練習場のマットよりも、コースでその性能を発揮できる気がします。ちょっと噛んだなと思ったショットでも、しっかり抜けて芝を鋭く切ってくれるイメージが湧きます。特に着地してから抜けていくまでのフィーリングを重視するプロにとっては、この絶妙な抜け感は病みつきになりそう。深いラフや打ちにくいライほどプレーヤーを助けてくれるアイアンだと思います」
―どのような人向き?
「間違いなく力強く振り切れるパワーがあって、技術も持ち合わせているゴルファー向き。ドライバーのHSでいうと45m/s以上。プロでも45m/s以下なら、ちょっときついかなと思ってしまう次元です。それ以下の人が買ってしまうのは危険。あえてここまで分かりやすく、明確なコンセプトで作っていると思うので、選びやすいモデルだと思います」
打感と操作性で満点◎ 気になるのは寛容性と構えやすさ4.0【総合評価4.5点】
【飛距離】4.5
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:34度(7I)
・使用シャフト:Dynamic Gold 120(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

小山内護(おさない・まもる) プロフィール
1970年6月19日生まれ、東京都出身。日体荏原高校時代にゴルフを始め、卒業と同時にジャンボ軍団入り。豪快なドライバーショットを武器に98年「サントリーオープン」、翌年「日本プロゴルフマッチプレー選手権」を含むツアー通算4勝を飾る。現在シニアツアーに参戦しながら、プライベートゴルフスタジオ「Favorite J-Golf」を運営。