試してみませんか?アイアンの「ブレンディング」―“弾道”で考える新時代―
新登場したタイトリストの「Tシリーズアイアン」。すでに実戦投入している国内外ツアープロからの信頼も厚い4代目の性能を、目澤秀憲プロコーチが3回にわたって検証。3回目はアイアンセットを複数モデルで考える「ブレンディング」について深掘りする。
■見た目の連続性がもたらす安心感
――タイトリスト「Tシリーズ」は、バッグの中で複数のモデルを併用して使う、いわゆる「ブレンディング」がしやすいとのことでしたが、それはなぜでしょうか
まずはやっぱり「見た目」の連続性ですね。たとえば、「T100」と「T150」だと、「T150」のほうがヘッドが大きいはずですが、ポンと2本同時に渡されたらどっちがどっちか判別できないくらい、どちらも洗練度が高いです。
「T250」と「T350」はヘッド構造自体が違うので、さすがに見た目でわかりますが、これまでの“飛び系”アイアンにありがちな、トップブレードの厚さからくる「ぼってり感」はありません。なので、アイアンセットの中に1、2本だけ入れたとしてもほとんど違和感なく使えると思います。
実際、(PGAツアーメンバーの)ウィル・ザラトリス(米国)は3番アイアンだけ「T350」を入れていますしね。
――ザラトリスの他に、ジャスティン・トーマス(米国)もかなり前からアイアンをブレンドして使っています
PGAツアーの選手が率先してブレンディングを実践することで、「それでいいんだ」というマインドセットが、アマチュアの中にも確実に生まれてきています。
ただし、そこで大事になってくるのがやはり「フィッティング」です。単純にクラブの見た目だけ、スペックだけでブレンドしてしまうと、期待した結果が得られない可能性が高いです。
■失敗を避けるカギはフィッティング
――たとえば、ロフトピッチ(番手間のロフト差)を揃えたとしても、飛距離がそれに応じた階段状にならないこともあると
そうですね。多くのアマチュアが思っているように、ロフトが立っていれば飛ぶ、ロフトが寝ていれば飛ばないというような単純な話ではないんですね。
ロフトが寝ていたとしても、スイングの最下点をボールより前に持っていける人は、それだけロフトを立ててインパクトできますから飛距離も出ますし、ピークハイト(弾道の最高到達点)やスピン量も確保できます。
――「最下点を前に持っていく」というのは、それだけ重心を左に移して打つということですね。それで結果的にハンドファーストでダウンブローになる
そうです。アマチュアはそこまで左に踏み込めない人が多いですから、ロフトでピークハイトを確保するのが基本になります。
よくある失敗としては、アイアンの飛距離不足に悩んでいる人の中で、元々ピークハイトが低い人がロフトの立ったものを選んでしまうと、ますます球が上がらなくなるというケースがあります。
アイアンフィッティングにおいてロフトは「キング」(最重要事項)ですから、打ち方と弾道の両面からプロのフィッターの目で選んでもらうことが重要だと思います。























