4代目Tシリーズ「『T100』も『T250』も“ピークハイト”が明らかに高い」 世界最先端のプロコーチが見た進化とは

8月22日に発売されたタイトリストの「Tシリーズアイアン」。すでに実戦投入している国内外ツアープロからの信頼も厚い4代目は、その完成度の高さから早くもアマチュアの間でも注目の的となっている。その進化ポイントはどこにあるのか?幡地隆寛や永峰咲希らを教える目澤秀憲プロコーチが、新アイアンの性能をじっくりと語った。
■目澤コーチが4代目を「T100」にした理由とは
――見た目も機能も一新されて登場した「Tシリーズ」アイアンですが、実際に打ってみてどこに「進化」を感じましたか
旧モデルのときは「T150」をエースアイアンとして使っていました。飛びすぎを心配しないでしっかり打ち込んでいけるように、ロフトを少しだけ寝かせて使っていたんですが、安定してボールスピード(初速)が出て、球の高さも一定で使いやすかったですね。見た目(顔)の好みで言うと「T100」を使いたかったんですが、少しだけ「難しそう」と感じたのが「T150」をエースにした理由でした。

ですが、新しい「Tシリーズ」の場合は、4モデルとも見た目の洗練度が上がっているので、そういう視覚情報からくる使いにくさを感じる人はまずいないのではないでしょうか。実際、新しい「T100」はそのままで(ロフト調整などの必要なく)、旧「T150」で打ちたかった球が打てるようになっていて、シンプルに「やさしくなった」と感じます。
――単純に「T100」はプロが最も使用しているからといって「難しい」というわけではないということですね
その通りです。タイトリストは「フィッティング」を重視していますが、ハンディキャップ18くらいの人でも、実際に打ってみるとショートアイアンは「T100」が合っているというケースは多いと思います。同じように、上級者だから「T250」、「T350」は「合わない」ということもありません。どんなクラブがやさしいのかはゴルファーひとりひとり違うので、「決めつけ」はやめて、まずはフィッティングを受けてみることをおすすめします。
■進化した「Tシリーズ」の特徴(1)
――新しい「Tシリーズ」の、モデルごとの印象をそれぞれ教えてもらえますか。「T100」と「T150」はいずれもフォージドタイプで、「T100」は薄めのトップラインと最小限のオフセットが特徴のモデル、「T150」はそれより少し大きめのヘッドと、さらなるスピードと高弾道が特徴のモデルです。どちらも、フェース下部に高比重タングステンが分割配置されていて、理想的な重心設計、安定した弾道が持ち味ですが
<打感がやわらかい「T100」、球が強い「T150」>

「T100」については、先ほど「やさしくなった」と言いましたが、具体的にどういうことかというとピークハイト(弾道の最高到達点)が高くなったんですね。高く上がると飛ばないんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、そうではなくて、性能として高く上がるクラブほどロフトを立てて打ち込んでいけるからやさしいんです。
これは、少し専門的に言うと「スピンロフト」を大きくできるということで、ロフトを立てて打っている(=強く前に飛ぶ推進力を得られる)にもかかわらず、スピン量が確保されて、もともと持っている球の上がりやすさとの相乗効果で「止まりやすい」ということになります。

それに「T100」は、打感がやわらかくて、ボールがフェースにくっついている時間が長いです。「T150」の見た目に関して言うと、「T100」と比べてみても、とくにショートアイアンはほとんど違いがわからないくらいに洗練されています。それでも打ってみると明らかに球が強いですし、ピークハイトも高いです。旧モデルと比べると、ミスヒットに対してより寛容になっている印象ですね。とくにロングアイアンはやさしいです。