春の新作ドライバーをマトリックス図で比較 “低・高”トレンドが顕著に

春の新作ドライバーをマトリックス図で比較 “低・高”トレンドが顕著に
独自に調べた重心位置と慣性モーメント値を元に配置

テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、コブラ…主要海外ブランドが一斉に新モデルを発売し、飛びとやさしさを両立させたラインアップが出そろった。気になるのは、どのメーカーのどのモデルが自分に合っているのか!? そこで今季もYouTubeチャンネル「ミタナラバコウタロウ」の三田貴史フィッターにお願いし、マトリックス図を作成。今春のトレンドと各シリーズの傾向を解説してもらった。

10Kのその先へ「低スピン&高慣性モーメント」がスタンダード化

縦軸はスピン量、横軸は左右の球筋で構成した図を見ると、全体的に真ん中ラインよりやや低めに、横長に分布していることが分かる。

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「今春の特徴は、全メーカーとも低スピン&高慣性モーメントの“低・高”傾向がスタンダード化したところです。直近10年近くで進んできた大きな流れではありますが、特に今春はそれが顕著に表れています」と三田氏。“飛び=低スピン”といまや代名詞的要素となったロースピン性能と、“10K”をはじめとする高慣性モーメントが両立し、飛んで曲がらないドライバーが常態化しているという。

「各社、左右の慣性モーメント値5900g・cm2のルール限界に達したことで、昨年、上下の値を上げる方向に各メーカーがシフトしました。合計値1万=“10K”を超える流れがトレンドとなり、今年に入ってそれが開発の前提となった印象です。もはや流行というよりも、各社そこを踏まえた上でどうする? というスタートラインが“低・高”設計というフェーズに入ったといえるでしょう」

■テーラーメイド「コアが大きな流れを作り、LSはゴリゴリ最強」

では各社それぞれの動きを見ていこう。革新性に富んだモデルを生み出し続けるテーラーメイドは前作同様、慣性モーメント最大のMAX、スタンダードのコア、ロースピンLS、軽量MAX LITEと、前作「Qi10」と同じラインアップをそろえた。

「特に大きな流れを生んでいるのは、慣性モーメント値を大きく上げたコア『Qi35 ドライバー』ではないでしょうか。前作『Qi10 ドライバー』から大きく値を上げて9000g・cm2台と、ほぼ『Qi35 MAX ドライバー』と同レベル。今春の飛んで曲がらない流れに拍車を掛けた存在といっても過言ではないでしょう。また、ロースピンに特化した『Qi35 LS ドライバー』は、3カ所のソールウエート標準装着時(後方13g、前方2カ所にそれぞれ3g)でも低スピンヘッドですが、逆に入れ替えるとより尖ったゴリゴリの性能(図の最下部)に変化します」

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■キャロウェイ「ウエートの様式変更で重心移動が明確化」

AI設計をより微細な部分まで反映させ、スピードと寛容性を両立させたキャロウェイ「ELYTE」シリーズ。それほど高慣性モーメント値はアピールしていない同社だが、「前作より微小ながら慣性モーメント値は上がっています。今季の流れに反し、例外的に重心は全体的に上がっている傾向。ただ、前作より扱いやすく、ニュートラルになった印象を受けます」と三田氏。

「注目ポイントは、最後部のウエートがスライダー式からポート(箱型)式に変わり、重心の移動が明確化した点。スライダー式はどうしてもレール自体の重さがあり、ウエートを移したところで重心の移動が曖昧になってしまいがちですが、ポート式は明確に移せるのでフェードorドローの調整が明確になりました。図では『ELYTE ドライバー』は真ん中に位置していますが、調整次第で左右に移動が可能と捉えてください。たぶん今後『―◆◆◆MAX』『―◆◆◆S』といった追加モデルの発売が予想されるので、年間を通したシリーズの充実度にも期待したいです」

■ピン「重心ラインの影響!? 低スピン性能がアップ」

ピン「G440」シリーズは、広告で使用されている『ピンがブレた!?』のキャッチフレーズでも分かるように、従来の高慣性モーメントヘッドのブレにくさに加え、飛び性能の進化を主張。特に「飛び重心」というインパクト時のエネルギーを最大化させるラインに重心を近づけたことで、飛距離性能を向上させたという。

「同社は以前から低重心設計を推進してきましたが、今作はより低く設計した構造となりました。前作『G430』よりどのモデルも低くなり、各モデルの特徴を大きく打ち出した印象です。MAXモデルで比較すると、『G440 MAX ドライバー』は『G430 MAX ドライバー』より重心が下がり、フェードバイアスも強まっています。もちろん高慣性モーメントは維持していますが、より操作しやすく飛ばせる性能に。逆を言えば『G430 MAX』がフィットしていた人には、若干スピンが少なく高さが出にくいと感じられるかもしれません」

■コブラ「もはや何でもあり!? 33段階調整で自由度爆上がり」

コブラ「DSアダプト」は、弾道調整システム「フューチャーフィット33ホーゼル」を搭載し、合計33通りの弾道調整が可能となった革新的シリーズ。ロフトとライ角を「+」「-」方向に2度ずつ調節でき、好みの球筋と打ち出しが実現しやすくなった。

「前作から変わらず初速スピードと低スピン性能を発揮しながら、新たなホーゼル調整で圧倒的に自由度が上がり、図で断定的に配置できないほど広がりました。標準設定で判断すると、重心を高めず低スピン仕様は継続。あとは調整してどうぞお好きなように… といったところでしょうか(笑)。『DS アダプト X ドライバー』と『DS アダプト LS ドライバー』はロフト角で重心位置を変えられ、『DS アダプト MAX-K ドライバー』は寛容性が高くミスヒットに強い設計。『DS アダプト MAX-D ドライバー』は最軽量で、つかまりのいいドロー弾道を実現するモデルとなっています」

■タイトリスト「ピンに継ぐ重心の下がり率」

タイトリストは昨年発売の「GT2」「GT3」「GT4」に加え、軽量モデル「GT1 ドライバー」がリリース。スイングスピードを最大限に引き出し、より高い打ち出し角とボール初速の向上を狙っている。

「『GT1』は軽量モデルの中でもスピン量は多めで、図の最上部になっていますが、それでも前作『TSR1 ドライバー』より重心は下がって、低スピン&高弾道の球が打ちやすくなっています。同シリーズ他の3機種も含めると、全体的に重心の下がり率はピン『G440』シリーズの次に大きいといえます。ただ、トレンドに沿っていないのは、慣性モーメントを特に高めている傾向にはないところ。あえて振りやすさを重視し、独自の路線を進んでいます」

もはやロフト12~13度でもいい!? カチャカチャ活用をおすすめ

ツアーモデルでも飛びとやさしさを両立した性能が増加している流れを、さらに主流化させた今春のドライバー市場。「スライスに悩むアベレージゴルファーには有利に働く設計が増えた一方、ドローを持ち球とするゴルファーは、スピン量を厳重にチェックしてもらいたい」と、三田氏は最後にアドバイスを送る。

「20年前のヘッドと比べ、確実に1~2度のアップは必要といえるでしょう。10.5度を使っていた人は、12~13度の選択も視野に入れていいと思います。それほど低スピン性能は進んでいるので、できるだけ打ち出し角が得られるように調整機能を利用することがポイントです」

テクノロジーの進化により、急速に変化を遂げた最新ドライバー。カチャカチャ機能を積極的に活用し、スピン量が適正になるように調整していただきたい。

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三田貴史 プロフィール

GDOのYouTube公式チャンネルにて、ゴルフトークバラエティ「ミタナラバコウタロウ」のアニキ役として出演中。様々なフィッティング理論を習得し、「GOLFTEC」公認クラブフィッターも兼任。スイングとギアの両面から最適ギアをアプローチするフィッティングを得意とする。

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