パターは“ちょっと太め"が好み ドライバーとの流れが影響!?【女子プロギア考察#7】

女子プロセッティング考察
女子ツアーでは”ちょっと太め”のパターが流行中

ドライバーでどんなに飛ばしても、パットが入らなければ勝てない。古今東西に通じるゴルフの大原則だ。とにかく結果が求められる女子プロたちは今、どんなパターを使っているのか。“令和の試打職人”の異名をとる石井良介プロが、女子ツアーのトレンドを分析する。

パターのトレンドに敏感な女子プロたち

女子プロセッティング考察
トラスパターで勝利を重ねた稲見萌寧。2022年のニチレイレディスより

パターに関して、女子ツアーではマレット系が多い印象があります。それから、流行りに敏感であるとも思います。例えば、稲見萌寧選手が2020年頃から「トラス」のパターを使ってたくさん勝ったら、みんなが使うようになりました。一時期は“猫も杓子もトラス”状態でしたが、そのころに比べれば減ってきましたね。

広告の後にも続きます
広告の後にも続きます

女子ツアーでは大型ネオマレットの“超大慣性モーメントパター”が減ってきているというか、わりと「ミッドサイズ」のパターを使っている印象があります。

“ちょい盛りサイズ”のヘッドがジワっと

女子プロのパターを見る限り、クラシカルなアンサー型(ブレード型)を使っているプレーヤーって数人じゃないでしょうか。例えば、桑木志帆選手の「PLD アンサー2 プロトタイプ」や阿部未悠選手の「PLDミルド アンサー プロトタイプ」のように。

女子プロセッティング考察
パターをスイッチして2024年に大活躍した桑木志帆はPLD アンサー2のプロトタイプを使用

一方で、渋野日向子選手はオデッセイ「Ai-ONE DOUBLE WIDE DB」という、ヘッドの後方がちょっと長いタイプのブレード型を使い始めたとのこと。直近まで通常のアンサー型と行ったり来たりしていたようですが、以前ピン「アンサー 2D」を使っていたこともあったので、ネックは違えどヘッドの基本形状は踏襲したといえます。

女子プロセッティング考察
渋野の新旧パター。少し幅広のブレードタイプを使い続ける

吉田優利選手もワイドなブレード型のオデッセイ「GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDE」で、その前は「オー・ワークス ブラック #2W」。上田桃子選手もオデッセイ「トライビーム ダブルワイド」がエースでした。このように、ブレード型だけどちょっとマレット的な直進安定性の要素が入った、フェースの開閉を少し抑えて打てるパターが多いですね。

広告の後にも続きます
広告の後にも続きます
女子プロセッティング考察
吉田優利が使うのはワイドなブレード型。ネックが長くヘッド軌道の円弧はゆるやか

畑岡奈紗選手が使うベティナルディ「SS3 センター DASS プロトタイプ」も、決して大型ではないけど小ぶりとも言えない、ハーフマレット型のパターと言えるでしょう。

女子プロセッティング考察
畑岡奈紗はハーフマレットのセンターシャフトを長らく愛用

上記のような実力者たちが選ぶミッドサイズのパターは、近いうちに女子ツアーのメインストリームになっても不思議ではないと思います。※ミッドサイズのパターを使っている選手の割合は59%、大型マレットは27%、ブレード型は14%(編集部調べ)

パター→ドライバーの流れが途切れないように

ミッドサイズがなぜ増えているのか。ポイントは、ドライバーのヘッドが大きくなったことだと思います。ラウンド中、パターの後に打つクラブは7割以上がドライバーです。大型ヘッドのドライバーとのつながりなどを考えると、パターには極端な操作感を求めなくなったことでミッドサイズのパターが増えているのではないでしょうか。

アイアンに置き換えると分かりやすいかもしれません。ドライバーは慣性モーメントが大きく、アイアンは小さい。ドライバーはヘッドを直線的に動かすのに、アイアンはそうではなくなる。この差が大きいと扱う側のアジャストが必要で、ヘッドが少し大きくて重心距離の長いアイアンを好む選手がいるのもこういった理由でしょう。これと同じように、パターでもちょっと“真っすぐ”の要素が入っているミッドサイズヘッドを選びたいのかもしれません。

女子プロセッティング考察
2024年トータルドライビング2位の1W巧者・佐久間朱莉もミッドマレットを使う

とはいえ、ガチっとした大型ネオマレットにすると、自分の感性が生かせないというのもあるでしょう。それまでの経験なども含めて、ブレード型だけど後方が長めのミッドサイズに寄っているのではないかと思います。操作性と直進性のいい塩梅となる“ちょっと太め”のパターが、女子ツアーのトレンドになっているのでしょう。

女子プロセッティング考察
竹田麗央はツノ型を愛用。2025年はネック形状の異なるもの(写真左)にスイッチ

パターを試行錯誤するのも楽しみの一つ

パターもホントに百花繚乱というか、いろいろ良いモデルが市場に多く出ていて、各メーカーの自信作と言えるモデルが店頭に並んでいると思います。個人的には、ウレタンのインサートが入る「Ai-ONE」がけっこう好きなんです。でも、それを使っていると、ときどき金属音が欲しくなるので、ザンダー・シャウフェレのパター(トゥーロン ラスベガス プロトタイプ 7CH)を買いました。かと思えば、スコッティ・シェフラーの「スパイダー ツアーX」を買ってみたり。ボクもいろいろなパターを購入しています。

そういえば、日本の女子ツアーでは「LABゴルフ」のパターが見られません。今はアメリカのツアーで流行っているじゃないですか。それこそ、リッキー・ファウラーとかダスティン・ジョンソンとか。でもその波は、国内女子ツアーにはまだ来ていないようですね。2025年にはLABで活躍する選手が出てくるのか、楽しみです。

女子プロセッティング考察
イエリミ・ノは長尺にしたLABパターで勝利を挙げた

ボクもLABゴルフのパターを1本買ったんですけど、素材が面白くて、ストロークするとボールがフェース面に1回めり込んで凹むんじゃないか、と思うくらい打感が軟らかいんです。速いグリーンではこういうパターが良いのかなと思いました。しっかり打ってもそんなに飛ばないし、だからといって球がネジれずラインに乗りやすいんです。

新機能のパターが出るたびに興味を惹かれる人も多いと思いますが、あまりに多種のパターを使っていると打ち方を失ってしまうので気をつけましょう(笑)。(続く)

この記事の画像をすべて見る

石井良介(いしい・りょうすけ) プロフィール

1981年生まれ、神奈川県出身。PGAティーチングプロの資格を持ち、トラックマンを使った最新理論やデータに基づくレッスンが好評。YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」も大人気。

広告の後にも続きます
広告の後にも続きます
広告の後にも続きます

アクセスランキング

  • 総合
  • ツアー
  • レッスン
  • ギア情報

SPECIALコンテンツPR

こちらもおすすめ

GDOサービス

GDOのサービス