僕らにも使える「LS」はあるのか ギアマニアが考える飼い慣らせそうな“じゃじゃ馬”厳選3本
近頃のドライバーは「MAX」と付く商品がやたらと増えてきたが、「LS」にも同じように多数のモデルが存在する。LSとはLow Spinの略称で、その名の通り低スピンをうたっている。今回は“飛ばし屋・御用達”のLSドライバーについて、中古目線でじっくり解説しよう。
LSはホントに飛ぶのか?
ボールスピード(ボール初速)、打ち出し角、バックスピン量(スピン量)は飛距離を生み出す3要素と言われている。それぞれが適正な数値であれば、球は良く飛ぶ。ボール初速はもちろん速いにこしたことはないが、打ち出し角とスピン量に関しては、高すぎても、低すぎてもデメリットが多いので要注意。スピン量は少なすぎると、ドロップしてキャリーの飛距離が落ちやすい。スピンの軸が傾きやすく、チーピンなど予想外の球にもつながる。多すぎるスピン量は減らしたほうが飛ぶが、過度な低スピンはリスクがあることも覚えておこう。
メーカーが低スピンモデルを設計する際、重心位置を低くすること(低重心)に注力しているという。低重心だと、重心の位置よりも高い場所でボールをとらえやすく、ギア効果が働いてスピン量が減る。もう一つは重心位置を浅く(浅重心)、フェース寄りにしている。スイング中ヘッドのお尻(フェースの反対側)が下方向に垂れにくく、インパクトロフトがつきにくい。つまり小さいロフトで当たりやすいのでスピン量は減る傾向になる。ただ、重心位置が浅いとヘッドの動きはブレやすくなるから、その点は注意が必要だ。
元祖LSを生んだのは
昔から通常モデルとロースピンモデルが併売されるケースはあったが、“LS“の名を冠した初期の代表作は2015年のピン「G30 LS TEC」。かつて、やさしい「G」、低スピンで操作性の良い「i」という2つのシリーズが存在した同社のモデルはその後、G30からGシリーズに1本化。 「G LS TEC」(2016年)、「G400 LS TEC」(2017年)を経て、「G410 LST」(2019年)が生まれた。
ちなみに、プロギアにはズバリ「LS」という商品が2021年から存在する。こちらはハードヒッター御用達というわけでなく、ヘッドスピード40m/s以下のゴルファーが低スピンでやさしく飛ばせるドライバーだ。初代は1万円台後半から、2023年モデルは2万円台後半から見つかる。
“やさしめ”のLSもきっとある
LSモデルの中にもレベル差があるのだが、プロギア「LS」以外の扱いやすい(比較的やさしい)ドライバーとして、キャロウェイ「エピックMAX LS」(2021年)を推薦する。フェースがシャフト軸線からあまり前に出ていない分、ボールをつかまえやすい。1万円台後半で見つかる。
ダンロップ「スリクソンZX5 Mk II LS」(2022年)は松山英樹が使用中。昨年11月まで現行モデルだった割にお買い得で、3万円台前半から見つかるだろう。つかまりも悪くなく、意外と扱いやすい。
コブラのLSはなかなかハード
筆者が手に負えなかったLSドライバーがコブラ「エアロジェット LS」(2023年)だ。中古価格は2万円台とコスパが良さそうだが、低重心に加え強烈な浅重心。抜群の操作性は打ち手の技術を試す。「コブラ KING LTDx LS」(2022年)、「ダークスピード LS」(2024年)はさらに浅重心で手強かった。究極のLSモデルを選びたいなら、まずはコブラをお試しあれ。
テーラーメイド「Qi10 LS」(2024年)もなかなかのモノ。筆者が昨年、ロフト9度のドライバーを借りてラウンドしたところ、一年で最も飛んだクラブになった。5万円台前半とまだまだ高価。ちなみにその後、ビビって10.5度を購入したのだが、9度を買い直したいと思っている。
筆者厳選のLS
筆者のマイ名器の1つ目が冒頭に紹介したピン「G400LS TEC」(2017年)。重心距離と重心深度のバランスが良く扱いやすい。まだ人気があり、2万円台前半。ヘッドサイズが445ccとわずかに小ぶりで、短尺にしても使いやすい。
2つ目はキャロウェイ「ローグSTトリプルダイヤLS」(2022年)。こちらもヘッドの投影面積が小さくコンパクトに見える。適度な慣性モーメント、浅すぎない重心深度が魅力。価格も3万円を切ってきた。「G410 LST」はこれまでに2回、買い直した。「G410 PLUS」の扱いやすさはそのままに低スピンにしたモデル。2万円台前半が相場。もう一度、買ってしまうかもしれない。
大切なことなので繰り返す。低スピンドライバーは飛ぶイメージがあるが、それも各ゴルファーが適切なスピン量で打ってこそだ。また、海外ブランドのLSは総じてヘッド重量が200gを超える。重いため、非力な人には向かない。とは言え、筆者がコースで「コレは飛ぶ!」と感じたモデルは総じてLSである。飛距離のロマンを追求したい人は中古でLSに挑戦するのもアリだろう。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。