よしっ!今日から俺も“トルクレス” まずは中古パターから始めてみよう
ツアーで話題沸騰中のトルクレス(ゼロトルク)パター。ストローク中のフェース開閉を抑え、理想的な転がりを目指すという革新的な設計だが、新品価格が高めなのがネック…。そこで今回は少しでも安く手に入れるため、中古市場に注目しながら「トルクレスパターって結局どうなの?」を考えてみた。
「トルクレスパター」ってどんなクラブ?
トルクレスパターの開発意図を調べると、「ストローク中にフェースが開閉しない」というワードが出てくる。実際のところは理論上ゼロにはできない開閉を、可能な限り抑えることを目指している。
フェースの動きをスクエアに保つフェースバランスのパターが市場に出始めたのは1970年代後半のことだ。「ゼブラパター」やピン「B60」等が有名。ヘッドと重心のズレを少なくすることで、開閉がしにくい構造にした。現在も一定の支持を集めて人気がある。
2010年代に入るとフェースの開閉を抑え、なおかつストローク中のトルクをゼロに近づけるパターが登場。シャフトの軸もしくは軸線と重心の距離を近づけ、フェースがストローク方向に向く重量配分にしてゼロトルクを目指したものだ。オデッセイの「トウアップ」、「バックストライク」、イーデルゴルフ「トルクバランスパター」などが代表的。フェースがターゲットを向き続けるパターの追求は今も進行中だ。
試すべきゴルファー像は
トルクレスパターはどんなゴルファーに合うのだろう? 設計意図からすると、フェースをできるだけ真っすぐ動かしたいゴルファーに向いている。以前からフェースバランスやフェースバランスに近いパターを使っている人、センターネックのユーザーと相性が良い。また、動き出すとオートマチックなので、ストローク幅でオートマチックに距離感を作りたい人に良いだろう。
セミアークやアークタイプで、「ヘッドをスムーズに動かせない」と悩んでいるゴルファーにもオススメしたい。ただし、最初のうちはフェース面から離れた位置にシャフトが入っているので、従来のパターに慣れている人には違和感を抱く人が少なからずいるだろう。
一方で、感覚重視のゴルファー、フェースの開閉を積極的に使うプレーヤー、打点位置をコントロールしたい人には向かない。トルクレスパターはテクノロジーを駆使してヒューマンエラーを補うことを目的としている。「パターはフィーリングだ!」という人とは相性が悪い。とはいえ、一度試してみることをオススメしたい。イイお値段なので購入するには断固たる決意を!
中古でもハイエンドなトルクレスは人気
まず人気のLABゴルフのパターだが、フィッティングが前提なので市場にも数が少なく、非常に高価。とはいえ、前のオーナー用にフィッティングされたものが自分に合うかは疑問だ。
昨年発売されたばかりのオデッセイ「Ai-ONE Square 2 Square」は新品でもかなり人気があり、今のところ中古ではレア。買い取られたものが、すぐ売れてしまうのが現状だ。3万円を切る価格で見つかった。
センターシャフトではないが、フェースの前面に複雑な曲線のシャフトを配置して、シャフト軸線が重心位置に来るようにしているアクシスワン 「アクシスワン Rose ブラック」(2019年)はジャスティン・ローズ(イングランド)が長く使用していたモデル。3万円前後で発掘できるだろう。
コスパ最強 1万円前後で狙えるお手頃モデル
手頃なモデルもあるのでチェックしたい。イチオシはオデッセイの「バックストライク」シリーズ(2010年)。ストローク方向にバランスするストロークバランスパターとして登場した。当時はあまりヒットしなかったが、最近まで片山晋呉が使うなど上級者のあいだでも根強い人気がある。7000円前後で手に入りそうだ。
同じくオデッセイの「Toe Up」(2016年)もストロークバランステクノロジーを採用している。バックストライクよりも、見た目で違和感を抱きにくい。こちらも約7000円。マイクロヒンジ・インサートを搭載した「トウアップ アイ」(2018年)は1万円前後が相場だ。
イーデルゴルフ「ブリック ブラック パター」(2016年)は、ヒールとフェース側にウエートを集中させトウアップを実現したパター。トルクレスと言えばそうだが、慣性モーメントは期待できない。1万円台前半から見つかるだろう。どれも第一世代のトルクレスパターだが、お手頃なのでメリットを実感するには充分だろう。
筆者も以前はオデッセイ「バックストライク」を愛用、今は「Ai-ONE Square 2 Square DOUBLE WIDE」を購入し、かなり魅力を感じている。今後ルールで規制される可能性があるのでは…と思うほどだ。
ただ構造上ほとんどのモデルがシャフトのかなり前にフェースがあることでハンドファーストに構える必要があり、最初のうちは違和感を覚えるゴルファーも少なくないだろう。ヘッドがオートマチックに安定して動く反面、慣れるまで距離のコントロールが難しいと感じる人も少なくないはず。なんにせよ、まずは手に取って体感してほしい。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。