そろそろ6番アイアンしんどくない? 30度前後もアリ「ハイロフトUT」中古導入ガイド
近年はアイアンのストロングロフト化が進み、以前よりもロングアイアンはおろかミドルアイアンも打つのが難しくなる傾向がある。そこで5番アイアン、6番アイアンの代わりになるのが、ロフト角が大きい(ハイロフト)ユーティリティ(以下UT)だ。球が上がりやすく、ミスにも強い。イマドキのアイアンとUT事情を中古市場からの視点で解説する。
ハイロフトUTが増えている事情
ゴルフ歴が長い人なら覚えているだろう。ひと昔前、アイアンの試打クラブは「5番」が定番だった。それがいつの頃からか「7番」に。これはアイアンがストロングロフト化(同じ番手でもロフト角が小さくなる)したからだ。昨今の「飛び系アイアン」の流行も、この傾向に拍車をかけている。
約20年前に34度が標準的だった7番のロフト角は、今や30度前後。5番は23度前後、6番は26度前後と、かつての3番、4番と同等。かなり難しい番手になってしまった。
女子プロも半分以上の選手が「5番アイアン」を抜いた
ツアープロのキャディバッグをのぞいてみても、ロングアイアンは最近めっきり少なくなった。2024年の国内女子ツアーでは4番アイアンを入れている選手は3%だけ。5番から入れる選手が42%、6番からは35%。7番からというプロは17%、8番からの選手も3%いた(編集部調べ)。
これに伴い、アイアンの代わりになるハイロフトのUTが当たり前のように導入されている。永久シード選手の片山晋呉に至っては8番アイアンを抜くことも。33度のUTのロフトをさらに寝かせて使っている。かなりのメリットを感じてのことだろう。傾向としては、ハイロフトのUTはアイアン型ではなくウッド型が選ばれる。どうせやさしくするなら、最大限に恩恵を受けたほうが効率的という意図が推測される。
ハイロフトUT導入ガイド
ここでもクラブの寛容性メリットを最大限に生かすべくウッド型UTを推奨する。アイアンと同じロフト角でも、UTの方がシャフトが長いため球が上がりやすく、飛距離も出る。5番アイアンの代わりには、6番と同じロフト角のUTを選ぼう。できるだけアイアンセットに近い重量帯のシャフトを選ぶと違和感がない。できれば、ライ角なども合わせやすく、シャフト交換も容易な可変スリーブ装着モデルがオススメだ。
ちなみに筆者は、5番アイアンの代わりに27度UT、6番アイアンの代わりに30度UTを選択。シャフトは80g台の重めのカーボンタイプを選んでいる。
意外と苦労する…中古ハイロフトUT探し
とはいえ、ハイロフトUTの人気が出始めたのはここ数年。中古モデルを探すのにはちょっと苦労する。選ぶ際には、自分が持っているロフト角の小さいモデルと、ヘッドもシャフトも合わせたい。アドレス時に違和感が生まれにくくなるからだ。
ピン「G430 ハイブリッド」(2022年)は26度、30度のハイロフトが見つけやすい。34度までラインアップされているので7番も抜いてしまう選択肢もある。可変スリーブで純正シャフトの選択肢も多いが、3万円台前半とまだまだ高値で安定しているのがツラいところ。コスパ的には「G410 ユーティリティ」(2019年)、「G425 ハイブリッド」(2020年)のハイロフトがあればオススメだ。
テーラーメイドも近年ハイロフトに対応し、「ステルス2 HDレスキュー」(2023年)は、27度、31度等がある。2万円以下で見つかるだろう。ただし、可変スリーブではなく純正シャフトが60g台と軽いのでアイアンとの繋がりが気になる。
タイトリストも積極的にハイロフトを展開している。「TSR1 ユーティリティメタル」(2023年)は26度、29度がラインアップされ、大きめのヘッドでミスに強い。スリーブも可変式だ。3万円前後が相場。
キャスコ「UFO SpeedSole by POWER TORNADO ユーティリティ」(2022年)は、アイアンが苦手なゴルファーに推奨したいUT。15度、18度、以降4度刻みで46度まであり、ハイロフトモデルも充実している。価格も1万円台中盤とお求めやすい。
ハイロフトUTが浸透するのはまだこれから。今の段階では中古市場には少ないのだが、ロフト角の小さなUTは中古で選び、ハイロフトモデルは新品で購入する選択肢もある。アイアンセットのようにUTをセット化するとショットの成功率も上がる。
ハイロフトUTにもデメリットはある。ヘッドスピードが速い場合は、ボールが上がりすぎて風の影響を強く受ける。また、構えにくいという声もある。しかしながら、ミドルアイアンの出番が増え、パーオンに苦しむようになったアナタにはぜひとも試してほしい。(文・田島基晴)