「低スピン=飛ぶ」の落とし穴 “キャリー不足でおじぎ”のあなたへ ギアマニア中古ドライバー4選
ドライバーの飛距離アップのキーワードとなった「低スピン」。多くのクラブメーカーが低スピンモデルをリリースし、ゴルファーを後押ししてくれているように見える。しかし実際には、「キャリーが伸びない、ドロップしてしまう」と悩むケースも少なくない。今回はいつの間にかスピン不足に陥った人のための中古ドライバー選びを提案する。
低スピンだから良いわけではありません
近年のドライバーは、こぞって「低スピン性能」を追求している。高初速・低スピンで打ち出せば、空気抵抗に負けない伸びのある弾道になり、ランも稼げる。これは確かに一理ある。だが「低スピン=飛ぶ」と信じて疑わず、落とし穴にハマるゴルファーも多い。
特にヘッドスピードが速くないアマチュアや、芯を外しやすいゴルファーは要注意。スピン量が足りずに球が上がらず、“おじぎ”するような弾道で、キャリー不足に陥ることが少なくない。飛ばない原因が「スピン量過多」ではなく、「スピン量不足」だったというケースが近年、急増中だ。
スピン量不足のサイン
スピン量が足りないと起こる現象がいくつかある。次のような症状に心当たりはないだろうか。「弾道が低くキャリーが出ない」「打球が途中で急に失速するように見える」「風に弱く、打球が押し戻されてしまう」「フォローなのに飛距離が伸びない」。これらはすべて、スピン量が不足しているサインだ。
追い風にも関わらず飛距離が出ない場合は、スピン量が必要な可能性が極めて高い。また、ヘッドの軌道がインサイドアウトでドロー系のゴルファーはこの現象に陥りやすい。
スピン量の適正・不足の目安
スピン量はヘッドスピードやボールスピード、打ち出し角によって適正値が変わる。あくまで目安だが、以下の「適正スピン」と「スピン不足」の境界線を参考にして欲しい。
ヘッドスピード(m/s)/適正スピン量(rpm)/スピン量不足
~38/2600~3200/2500以下
38~42/2400~2900/2200以下
42~46/2200~2700/2000以下
46~50/2000~2500/1800以下
50~/1800~2200/1600以下
「ドライバーショットの適正スピン量は約2000回転」と思っているアマチュアは多い。男子ツアープロのヘッドスピードではそうだろうが、一般的なゴルファーには足りない。プロはスピン量をコントロールする技術を持っていることをお忘れなく。自分のヘッドスピード(m/s)の55~60倍のrpmが基準と考えよう。
スピン量不足のゴルファーが買ってはいけないドライバー
スピン量が足りないアマチュアはまず、ツアープロ(特に男子)に人気のドライバーを避けよう。「ツアー」や「LS(ロースピン)」とったモデルがそれだ。ドライバーヘッドのスペックでスピン量に最も影響するのがロフト角。9度、9.5度といった小さいものは避けるべし。
低重心化と浅重心も要注意。ただし、残念ながらほとんどのメーカーはクラブの重心位置を公開していない。フェース寄りにウエート配置されているモデルは、重心が浅くなり低スピン傾向が高いのだが、内部構造なども考慮する必要があり、残念ながら見た目では判断できないのが正直なところだ。
スピン量をアップさせてくれるドライバーはコレだ
慣性モーメントが大きいモデルはスピン量が多くなる傾向がある。その中でもドロー、フック系のゴルファーでも安心なモデルを選んでみた。テーラーメイド「Qi10 MAX」(2024年)は12度というロフト角の大きいスペックも用意されており、中古価格で4万円前後から見つかる。
プロギア「RS MAX」(2024年)はギリギリの反発性能と適度な慣性モーメントが魅力。3万円台後半が相場だ。ヤマハ「RMX VD/X」(2023年)、キャロウェイ「パラダイム」(2023年)はどちらも高慣性モーメントで適度にスピンが入る。2万円台前半からというコスパの良さも魅力だ。
スピン量(バックスピン)が増えると、サイドスピン(正確にはスピン軸の傾きを理解しやすいような数値化した数字)は減り、曲がりにくくなるという恩恵もある。平均飛距離がアップする効果も期待できるだろう。スピン量が少ないかも?と感じたら、まずは可変スリーブを使ってロフト角を大きくしてみること。それでも補えないようであれば、あなたにとって最適なスピン量を実現するドライバーを探してみては。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。