中古で巡る“ツノ型ヒストリー” 「歴代ナンバー7」ギアマニアの推しはどれ?
ピン型、マレット、L字にスパイダー…。パターには歴史的名器と呼ばれるヘッド形状がいくつかある。そうした大ヒットモデルは形は変えずに、素材やインサートをアップデートすることで進化を続けている。今回、中古ショップ視点で取り上げるのは、オデッセイの「#7(ナンバーセブン)」。いわゆる“ツノ型”パターの系譜をのぞいてみよう。
ツノ型パターの歴史を紐解く
ツノ型初代と言えるのが、2007年に発売された「ホワイトホット XG #7」。フェース後方に伸びる2本のツノは単なるデザインではなく、高い慣性モーメント(MOI)による方向安定性や、フェース面とターゲットラインを合わせやすいアライメント効果を狙ったものだった。
登場するや否や、プロツアーで使用者が急増。フィル・ミケルソンやルーク・ドナルド(イングランド)、池田勇太、宮里優作らが試合で投入した。大型マレットにして操作性もあり、テーラーメイドの「スパイダー」シリーズのヒットよりも早く、パターの高MOIブームを先取り。2本のツノ幅が絶妙で、しゃがまずにボールを拾えるところも愛されるポイントだった。
2009年の「ホワイトアイス #7」は印象的な白いサイトラインを採用。2013年「VERSA #7」は垂直方向のアライメントを強調したヴァーチカルデザイン、水平方向を強調したホリゾンタルデザインと2種類を展開した。
2020年の「ストロークラボ BLACK BIG SEVEN TU」ではバックストライク形状を取り入れ、最近流行りのトルクレスパターに近い特性を備えた。最新モデルの「Ai-ONE Square 2 Square」、ロングネックでフェースバランスに近づけた「Ai-ONE ジラフビーム」シリーズもナンバーセブンをラインアップしている。
テクノロジーが詰め込まれた最新モデルも
元祖「ホワイトホットXG #7」(2008年)のXGインサートは、前身のホワイトホットインサートよりもしっかり感があり、根強いファンが多い。1万円以下で見つかる。
ここ最近、お買い得感が増しているのが「トライビーム #7」(2023年)で、おなじみの三角形のラケットホーゼルは、クランクネックだがセンターシャフトに近い構えやすさがある。ソールのフェース寄りにウエートが配置され、しっかりとした打感も味わえる逸品。2万円以下で状態の良いものが見つかるだろう。
話題のトルクレスモデル、「Ai-ONE Square 2 Square #7」(2025年)は3万円を切る価格で見つかる。Ai-ONEのインサートは転がりに優れ、ショートすることが多いゴルファーと相性が良い。長いクランクネックが特徴的な「Ai-ONE ジラフビーム #7」(2025年)はミスヒットに強く、ターゲットに構えやすい。4万円以下が相場だ。
“インスパイア系” 他メーカーのツノ型は
アライメントが取りやすく、慣性モーメントも大きくできるナンバーセブンを他社が放っておく訳がない。インスパイアされた他社のツノ型モデルも見てみよう。テーラーメイド「トラスTM1 トラスヒール」(2020年)はナンバーセブンよりコンパクトで、操作性の良さを感じさせる。トラスネックとピュアロールインサートによるしっかりとした打感も魅力だ。1万5000円前後で見つかるだろう。「スパイダー GT MAX トラス TM1」(2023年)は、左右のツノに配置されたウエートにより重心位置を変更できる。3万円以下で手に入れたい。
スコッティキャメロンの「ファントム 7」(2024年)は、ツノの尖り具合がまさにインスパイア系。5万円以下と見られる。
菅沼菜々が使用するピン「タイン C」(2021年)は2万円以下。「タイン 4」という形状も人気があり、プロ使用者も多い。ちなみに、オデッセイ以外のメーカーのツノは間隔が広く、ボールが拾いにくいモデルも多い。
筆者厳選 変わり種のナンバーセブン
筆者の推薦モデルを記しておこう。「ストロークラボ BLACK BIG SEVEN TU」(2020年)はトルクレスパターが人気のいま、再び脚光を浴びてもおかしくない逸品。2万円前後が相場だ。
「VERSA #7 BLACK ヴァーチカル メタルX」(2014年)や「VERSA #7 WHITE ホリゾンタルデザイン」(2013年)は塗装が欠けやすく状態の良いものが見つかりにくいが、アライメントの取りやすさが向上しているのでオススメしたい。ホリゾンタルデザインは、ジェイルバードの“シマシマの元祖”と言える。安い割にうんちくを披露できるのがうれしい。
「オー・ワークス #7 TANK」(2017年)のオー・ワークス(O WORKS)インサートは今もプロに愛され、ヴァーチカルなVERSAアライメント、ヘッドが重いTANK仕様と好機能が盛りだくさん。構えやすく、慣性モーメントも#7の中では最大級。ゆっくりストロークするゴルファーに合うだろう。1万円台前半で見つかる。
ナンバーセブンは市場に長く生き残る定番パターになった。程よいサイズ感、構えやすいアライメント、ミスヒットへの強さで、誰にでも薦めやすい。中古ショップで実際にボールを転がしてみて、インサートやネック形状、打感の違いを感じ、相性の良い一本を見つけてほしい。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。