なぜみんな「DG」にハマるのか!?「ダイナミックゴールド」の中毒性に中古目線で迫る

なぜみんな「DG」にハマるのか!?「ダイナミックゴールド」の中毒性に中古目線で迫る

トゥルーテンパーの「Dynamic Gold(DG=ダイナミックゴールド)」は40年以上にわたって、アイアン用スチールシャフトの王道ブランドに君臨している。軽量スチールやカーボンシャフトが進化した今でも、なぜ多くのゴルファーがDGを手放せないのか。今回は、誕生から現代までの歩みを紐解き、中古ショップからDGの魔性的魅力を改めて整理してみたい。

ツアープロが信じたシャフト

最初に説明しておきたいのは1942年に製造された「ダイナミック」というシャフトの存在だ。トゥルーテンパー社がスチールシャフトの開発に着手したのは1920年代。当時はまだヒッコリーシャフトが全盛で、スチールシャフトは耐久性、飛距離性能に優れていたが、重量が重く、特性がかなり違った。R&Aで使用を認められたのは1930年。ヒッコリーシャフトを操った“球聖”ボビー・ジョーンズは、スチールに移行するタイミングで競技を退いた。

ダイナミックによってスチールシャフト特有の“ステップ”が生まれ、シャフトに“フレックス”という概念が生まれた。筆者がゴルフを始めた頃は、多くの歴史的名機にダイナミックシャフトが装着されていた。

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馴染みあるシャフトバンド。このデザインのDGはすでに販売終了している。

ダイナミックゴールド」(DG)が発売されたのは1980年。精度が高く、フレックスも重さもバリエーションが多く、高精度のスチールシャフトとしてツアープロの信頼を獲得した。当時はスチールシャフトの選択肢がほとんどなく、一般ゴルファーにも広く浸透した。

1999年に日本シャフト から「NS-PRO950GH」が発売されるまで、アマチュアもDGを使うしかなかったのが実情だった。男性のオールドゴルファーは、ほとんどがDGでゴルフを覚えた世代。「プレシジョンFM」や「プレシジョンライフル」といった手元がしっかりしたモデルもあったが、DG独特のフィーリングが染み付いている分、替えられない。

逆転の発想?誤差で製品管理

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お馴染みのラベル

かつてのDGは、今の基準から見れば驚くほどアナログな製造工程だった。設計を変えるのではなく、製造後に出る誤差をもとに重量帯を分類していた。同じフレックスでできあがったものを重量別に分け、100、200、300、400、500といったサブフレックスを設けた。例えば「Sシャフトを作ったけどちょっと軽いからS200ね」という具合。この偶発的な “個体差”が、むしろDG特有の味わいとなり、シャフトに個性を与えていたのも事実だ。

ツアープロは多くのシャフトから厳選されたものを選んで使っていた。のちに「ツアーイシュー」として発売。時代とともに製造精度は飛躍的に向上し、現在では重量公差・振動数・トルクの管理が厳格化され、ロット内の誤差が極めて少なくなった。

DG神話の真相

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現在のDG。軽量の105、95、85もテイストを引き継いでいるので試して欲しい

「DGじゃないと打てない」と言う人は少なくない。筆者は中古ショップの店頭で、「歳を取ったのでDGから卒業したい」と軽量スチール装着モデルに替える人を何人も見てきたが、すぐにDGに戻っていくゴルファーが多い。

どうして替えられない? 何に替えたらいい? 東京・大蔵ゴルフスタジオのフィッター金子国泰氏は「はっきり言ってDGはかなり個性的なシャフトです。それにハマると代わりがありません。重量感があり、手元のしなりを感じられ、独特の粘り感がある。言い方は悪いですが“緩さ”が魅力なんです」と話す。

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ヨネックス レキシス スチールコア TypeH はDGテイストがある(大蔵ゴルフスタジオ金子国泰氏)

「年齢を重ねても、(DGに慣れたゴルファーには)DGで行けるところまで行ってもらう。短い番手だけウェッジの流れでDGを残す手もある。ダイナミックゴールド95、85など割と近いものを試す場合もある。『ヨネックス スチールコア』など、粘る感じの重めのカーボンシャフトも増えており、そちらを試してもらう価値があると思います。ただし、替えるとなると、DGの慣れを消す期間がある程度必要です」

“DGなかなか替えられない問題“はフィッター泣かせのようだ。多くの人は可能性を感じながら慣れる期間に耐えられず、昔の恋人に戻りたくなる。

中古市場で見るDGの存在感

中古市場をのぞくと、DG装着モデルの多さに驚くはずだ。多くのメーカーのアスリート向けアイアンの標準シャフトに選ばれている。S200、S300が中心だが、アスリートモデルにはタイガー・ウッズとおそろいのX100などのリシャフトモノにも出会えるだろう。

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ダイナミックゴールドツアーイシューX100

ツアーイシュー搭載モデルは少なく、状態の良いものは高値で取引される傾向にある。「DG装着=本格派」というブランドイメージは、今なお市場価値を支える大きな要素である。

「シャフトって進化していないよね? だってダイナミックゴールドって1980年だよ?」と思われたそこのアナタ。DGは実はコッソリ進化している。

筆者もDGのR400に育てられた世代だ。久しぶりに打つとバッド側の細さと独特なしなり感に唸る。「いつでも帰っておいで」と語りかけられているようだ。DGの魔界から抜けられない人は体とスイングを鍛えて、“生涯DG宣言”して欲しい。(文・田島基晴)

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田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

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