登場から4半世紀「2ボール」人気はなぜ不滅? 中古狙い目をマニアがこっそり伝授
パターを選ぶにあたり、ゴルファーが一度は考えるのがオデッセイの「2ボールパター」。独特のビジュアルと高い機能を兼ね備えたシリーズは、2001年の登場以来、ツアープロからアマチュアゴルファーまで幅広く支持され続けている。流通量が多いため、中古ショップでも在庫が豊富で、人気モデルがお手頃価格でゲットできることも。今こそチェックしよう。
2ボールパター誕生秘話 「ペルツパター」って知ってる?
2ボールパターはヘッド上に2つの白い円を配置し、目標に対して直感的に真っすぐ構えられるデザインが特徴。この発想には、1990年代前半に登場した「ペルツパター」と呼ばれたモデルが影響している。ショートゲーム、パッティングの専門家であったデーブ・ペルツ氏が考案したパターは、ボール形状を模した半球体をヘッド上に3つ配置し、アライメントを補助する設計だった。
ターゲットに向けて構えやすく好評だったが、形状が「過剰なストローク補助機能」とみなされルールで規制された。オデッセイは2ボールパターの開発にあたり、この先行アイデアに関連する特許問題を回避するため、ペルツ氏と特許使用に関する合意を結んだとされている。
2ボールパターはペルツパターのコンセプトを受け継ぎつつ、ルール規制に対応したデザインと性能への高さで大成功を収めた。日本では2003年に国内女子ツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でアマチュア優勝を飾った宮里藍が長く愛用したことで、一躍注目され、人気が急上昇した。
意外な選択肢「2ボールブレード」
2001年の発売当初の2ボールパターは、マレット形状で、ダブルベントシャフトとセンターシャフトモデルしかなかった。2003年に追加された「2ボールブレード」がヒット。ブレード形状にクランクネックという「ピン型+2ボールアライメント」の合わせ技で、マレットの安定性と、ブレードの繊細な操作性との“いいとこ取り”を狙った。
以降も2ボールは様々なヘッド形状で登場。両わきにツノが生えているような「2ボール ファング」や「2ボール F7」、周りがリング状になっている「2ボールSRT」、「EXO 2ボール」、テーラーメイドのスパイダーシリーズによく似たヘッドに搭載した「2ボール TEN」…。ヘッドやネック、インサートの違いを含めると、オデッセイ(キャロウェイ)もすべてを把握しているのか…?と心配になるほどだ。
ところで、2ボールではなく“3ボール”の変わり種「ホワイトスチールトライボールSRT」(2007年)というモデルもある。4月の国内シニアツアー「ノジマチャンピオンカップ」で片山晋呉が使用。物持ちの良さに驚く。
20年以上も受け継がれるデザイン
それでは、中古でおススメの2ボールパターを紹介しよう。まずは元祖「ホワイトホット2ボール」(2001年)。25年近く経過しているので、状態によって極端に価格が違う。コンディションが良いものだと2万円を超えるが、5000円前後から見つかるだろう。
時は流れ、2024年に発売されたAi設計フェースを持つ最新2ボール「Ai-ONE TRI-BEAM 2-BALL」はトライアングル形状のラケットネック装着モデル。3万円以下が相場だ。ダブルベントシャフトモデルもほぼ同じ価格。
「2ボールTEN」(2021年)、「2ボールELEVEN」(2022年)にも様々なネックのタイプがある。TENは重心深度が深くミスヒットに強い。ELEVENは重心深度を浅くしてダイレクトな打感と操作性を狙ったモデル。どちらも1万円台後半で手に入る。
ギアマニア推薦 超レアな2ボール
希少なモデルとして挙がるのが、「エクソー2ボール」(2018年)。あらゆる素材をぜい沢に組み合わせ、削り出しと機械加工を駆使して作られた逸品だ。ネットオークションやフリマサイトでは4万円から7万円の値が付いている。
「バック・ストライク 2ボール」(2010年)、「トウ・アップ・アイ 2ボールブレード」(2018年)は今、話題のゼロトルク要素があるモデル。どちらもレアだが人気はそれほど高くない。1万円前後で見つかるだろう。
2ボールブレードのコレクターである筆者が、なかなか巡り合えないのが「ブラック・シリーズ ツアーデザイン 2ボール ブレード」(2010年)である。軟鉄の打感にこだわり、インサートがない削り出しボディ。ダングステンのフランジが付いていて低・深重心設計を実現した。ノーインサートの2ボールブレードは「ストロークラボ 2ボール ブレード」など他にもあるのだが、打感の良さはブラック・シリーズに遠く及ばない。実は以前、所有していたのだが、今となって手放したことを後悔している。
2ボールパターは単に“見た目がおもしろいクラブ”ではない。科学的根拠に基づいた視覚補助と、進化を続ける性能により、ツアープロからアマチュアまで幅広く愛されてきた。中古市場においても選択肢が豊富で、自分に合うモデルが見つけやすい点は特筆に値する。ぜひ試していただきたい。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。