“エクスクルーシブ”なモデルをギアマニアがリサーチ あの数量限定モデルも中古なら…
ギア好きは「数量限定」という響きだけで、新商品につい手を出しがちだ。巷には世に出た瞬間に姿を消すような幻のモデルが実は次々と登場している。新品で買えなければ、中古ショップを探すべし。希少クラブを探す旅に出かけよう。
「数量限定モデル」とは何か?
ギアを愛するゴルファーは限定というワードに実に弱い。限定品には、一般的な市販品との違いがいくつかある。ここでは以下の4種類に分けて説明しよう。
(1)市販品に非常に近いデザイン&構造だが、性能(形状、重心位置)が違う
(2)性能自体は変わりないが、仕上げ(色や表面処理)が違う
(3)市販品だが、販売店や販売方法が限定される
(4)ツアーでプロに支給されるモデル(市場で流通しないもの)
そもそも市販されることがない(4)については今回、除外とする。市場に流れること自体が悪質だからだ。実際には偽物である可能性も高い。
数が限定される(3)はやはり人気が高い。およそ30年前は日本のメーカーからもプロの名前を冠したクラブがリリースされたが、近年はよほどのトップ選手でないと売れない。タイガー・ウッズ(TW)の名前が配されたテーラーメイド「P7TW」(2019年)は、スコッティ・シェフラーも使用するガチなブレードアイアン。フリマサイトでは14万円の値段がついているものを発見した。
中嶋常幸モデルの「TN-87」はミズノから1988年に発売された。2015年には300セット限定で復刻モデルを発売。こちらもガチなブレードアイアンで、かなり手強かった記憶がある。どちらもオリジナルだと3万円前後、復刻モデルだと12万円前後でインターネットオークション、フリマサイトで見つかった。
ツアーモデル?キャロウェイの限定品が熱い
(1)の代表格が、数少ない販売店と自社のオンライサイトだけで販売されるキャロウェイ エクスクルーシブ。憧れのツアー限定モデルを、発売時期をずらして販売している。「パラダイム」や「パラダイムAiスモーク」、最新モデル「ELYTE」シリーズ等で展開されている上級者モデル「トリプルダイヤモンド」のツアーバージョンを限定で販売した。
「パラダイム トリプルダイヤモンド S」(2023年)はヘッドサイズが420ccと小さく、操作性の高いモデル。5万円台後半で見つかる可能性がある。2024年モデル「パラダイム Aiスモーク」にも「トリプルダイヤモンド S」(2024年)がある。「パラダイムAi スモーク トリプルダイヤモンド MAX」(2024年)は、トリプルダイヤ+MAX÷2という寛容性をプラスしたモデルも追加された。どちらも9万円台でフリマ、オークションサイトで見つかるだろう。
ELYTEシリーズには、「トリプルダイヤモンドT」、「トリプルダイヤモンド TD」というモデルも追加されている。お手頃なのは「パラダイムTOUR」(2023年)。こちらはトリプルダイヤモンドよりも球も上がりやすく扱いやすい。4万円台前半から見つかるだろう。
見た目は大切!コレなら誰とも被らない
見た目や打感を特別にした限定モデルが(2)だろう。オリジナリティを主張できるモデルを紹介する。テーラーメイドのドライバーにはヘッドのパーツの色を選べるシステムが存在した。「Qi10」「Qi35」では「デザイナーシリーズ」を展開。特にすべてブラックにしたモデルに人気がある。ヘッドカバーまで限定となっている。中古市場では希少で高値で取引されている。
アイアンにも限定色が存在する。マニア心をくすぐるのがタイトリスト「Tシリーズ」のブラックモデル。2017年発売の「718 AP2」のUSモデルから存在したが、2020年「T100S」「T200」から日本でも投入された。
2023年には「T100」「T100S」「T200」、2025年に「T100」「T150」「T200」「T350」に4種類のブラックモデルが発売されている。ただ通常のクロムメッキと比べ耐久性が劣るため、使い込むと下地が見えるようになる覚悟が必要。
ミズノにもブルーIP仕上げの「ミズノプロ 221 Limited Blue Edition」というモデルがある。こちらのIP仕上げも同様に劣化。それを“味”と感じるマニアにはオススメしたい。中古市場では見かけることがほとんどない。メッキと違って被膜処理なので、打感は柔らかいと感じる人が多いと思われる。US仕様には銅メッキ仕上げの「MP-20 Copper Limited Edition」というモデルもある。ぜひとも打ってみたい。
中古でも割高な限定品の付加価値を、お金に換算するのは非常に難しい。限定という魔法の言葉に人は大いに悩まされる。しかし、出会いのチャンスは一瞬だ。判断を迷うと誰かに奪われてしまう。冷静になってジャッジしよう。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。