「スパイダー」1本ぐらい持っていてもいいんじゃない? 中古“蜘蛛パター”お買い得ガイド

「スパイダー」1本ぐらい持っていてもいいんじゃない? ギアマニアの中古“蜘蛛パター”お買い得ガイド
ジェイソン・デイの「イッツィービッツィー リミテッドレッド」(左)、ネリー・コルダの「ツアーX」(中)、ロリー・マキロイの「ツアーX」

テーラーメイドの新製品、ゼロトルクパター「スパイダーZT」は7月4日の発売直後に店頭から消えるほどの人気を誇る。スパイダーシリーズは2008年に初代が登場してからブラッシュアップを重ね、世界のトッププロだけでなく、中古市場でも支持されている。その魅力と進化の歴史を紐解いてみたい。

スパイダー誕生の背景と革新

2008年、「ロッサ モンザ スパイダー AGSI+」(初代スパイダーの正式名称)が登場したときの衝撃は計り知れなかった。高い慣性モーメント(MOI)による直進安定性と構えやすさを両立させたクモのような独特な形状は、オデッセイの「2ボール」シリーズ以来の革命と言えた。

ミスヒットを感じさせない転がりの良さと、ラインへの乗せやすさ。さらに可変ウエートによる細かなチューニング性能にも優れ、完成度は「未来のパター」と言えるほどだった。当時としては直進性があまりに高く、筆者などはラインの読みを変える必要性を感じた。

第2期スパイダー時代 ~ツアーでの爆発的人気~

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ジェイソン・デイが現在使う「スパイダー イッツィービッツィー リミテッドレッド」。ヘッド上部は無地

当初は「ロッサシリーズ」の一つとして展開されていたが、初代スパイダーの誕生から7年後に慣性モーメントを少し抑え、ヘッドサイズをコンパクトにすることで「やさしさ」と「操作性」を高次元で両立するモデルが誕生。ツアーでの使用率急増のきっかけとなった。

2011年からスパイダーを愛用してきたジェイソン・デイ(オーストラリア)は、2015年に「ゴースト スパイダー イッチービッチー ブラック プロトタイプ」を使用してメジャー「全米プロ」を制覇。その翌年には「ゴースト スパイダー リミテッドレッド」を使い、世界ランキング1位に輝いた。“赤いスパイダー”は限定モデルだったため、「あの赤は何だ?」と話題に。後に「スパイダー ツアー レッド スモール スラント」として正式に発売され、決してキレイな色ではなかったが、爆発的にヒットした。

さらに2017年にはダスティン・ジョンソンが「スパイダー ツアー ブラック」を使って世界ランク1位に到達。これにより、スパイダーは一気に「勝てるパター」の象徴となり、第2期スパイダー時代が幕を開けた。

第3期スパイダー時代 ~さらに精密に、さらに高級に~

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ロリー・マキロイの「スパイダー ツアーX」。ショートスラントネックが特徴

現在は第3期と言える。ロリー・マキロイ(北アイルランド)はことしの「マスターズ」で「スパイダー ツアーX」のショートスラントネックを使用して悲願のグランドスラムを達成。スコッティ・シェフラーも同モデルのクランクネックモデルを使い続け、世界ランク1位をキープしている。スパイダーはネック形状が豊富なのも魅力だろう。

女子プロでも、ネリー・コルダ岩井明愛古江彩佳など、多くのトップ選手がスパイダーを選んでいる。2025年発売の「スパイダーZT」は、ツアーでも使用者が急増中。すでにブライアン・ハーマンが使用して優勝しており、ゼロトルク人気もあり数量限定ながら瞬く間に売り切れた。第2期と比較して製品精度や仕上げがさらに向上し、高級感が増したのも第3期の特徴だ。

オススメのスパイダー中古ガイド

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お尻を見れば一目瞭然。左がスパイダー形状、右がスパイダーX形状

スパイダーの多種多様なモデルは数え切れないほど多い。初代から続く“元祖スパイダー形状”と、2019年「スパイダーX」以降の“X形状”の2タイプがある。ヘッド後部の形状に違いがあり、元祖はウエート交換ができる後方ウイング構造、X形状はよりシンプルにまとまったシルエットが特徴だ。

まずは元祖スパイダー形状のオススメから。「スパイダー レッド」(2017年)などを推したいが、状態の良いものはかなりレア。2020年にシレッと復活した「スパイダー ツアー ブラック 2020」はコンディション良好だ。

塗装に気をつけて使用したいモデルだが、スパイダーの良さがすべて詰まっている。「スパイダー レッド」や「スパイダー ゴースト ホワイト」は2024年に復刻され直営店のみで販売されている。惚れている人は新品を手に入れよう。

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左下から時計回りにスパイダー ツアーブラック、スパイダーX,スパイダー ツアーX、スパイダー ツアーXトラス

スパイダーX形状だと、やはり「スパイダーX」(2019年)だろう。カッパー、ブルーホワイト、チョークホワイトなど様々なカラーバリエーションがある。中古では1万円前後で買えるが、数が少なくなってきた。

シェフラーが使う「スパイダー ツアーX クランクネック」(2025年)を中古で探して見つからなかった人は少なくないだろう。日本ではトラス形状ネックの人気の高さを見越して「スパイダーツアー X トラス」(2024年)が主力販売されており、トラスネックでないモデルは限定でしか発売されなかった。7月より数量限定で再販されたので新品なら手に入るだろう。トラスネックが好きなら、中古市場では豊富。2万円台後半から見つかる。

「スパイダー」1本ぐらい持っていてもいいんじゃない? ギアマニアの中古“蜘蛛パター”お買い得ガイド
スパイダー人気の隠れた理由である「ピュアロールインサート」

歴代のスパイダーには、「ピュアロール」と言うインサートが採用されている(初代から数年はAGSI+インサート)。打感はやわらかいが、強く打つとしっかりと芯を感じる。この打感も魅力的。多くのツアープロが長年愛用し続ける理由の一つだろう。

究極の直進性を武器に誕生したスパイダーは、ダウンサイジングとともに寛容性と操作性を高め、ピュアロールインサートで打感と距離感も両立してきた。「グリーン上で自信が持てない」「真っ直ぐ構えられない」「距離感が合わない」そんな悩みを持つゴルファーには、まずは中古でスパイダーを試してほしい。(文・田島基晴)

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田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

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