「SIM2>ステルス…」古いほうが高い!ドライバーに見る中古市場の“逆転現象”

「SIM2>ステルス…」古いほうが高い!ドライバーに見る中古市場の“逆転現象”
発売年の古いSIM2(右)のほうがステルス(右)より高値になっている逆転現象

新品クラブが次々と登場する一方、中古市場では古さを感じさせないモデルも高い人気を誇っている。登場から長い時間が経過しても、性能が最新作に劣るとは限らず、同一ブランドで、発売年度と取引価格が“逆転”してしまったシリーズも少なくない。年齢を重ねても、衰え知らずの若々しいドライバーを紹介しよう。

テーラーメイドは「SIM2>ステルス」

2021年に発売されたテーラーメイドの「SIM2」シリーズは、翌年の「ステルス」シリーズよりも高値を維持している。鳴り物入りで登場したカーボンフェース搭載の「ステルス」は、コロナ禍のゴルフブームも追い風となり大ヒットしたが、あまりに急激な変化に馴染めなかったゴルファーも少なからずいた。

その前作「SIM2」シリーズが再評価されたのも必然と言え、「テーラーメイド最後のチタンフェース」を称賛する声は多い。「SIM2」「SIM2 MAX」は構造が非常に凝っており、飛距離性能も高い。チタン特有の打感も相まって、中古市場ではあまり価格が下がっていないのが実情だ。一方のステルスは、後続モデルが出るたびに値が落ちている…。

「SIM2>ステルス…」古いほうが高い!ドライバーに見る中古市場の“逆転現象”
コリン・モリカワが長年替えなかったSIMドライバー

ピンは「G410」か「G425」か

ピンの「G410」シリーズの約1年半後、2020年に登場した「G425」シリーズは、ミスへの強さや安定感で高評価を得たモデル。しかし、「打感と打音はG410のほうが良い」という声が多くあった。根拠はさておき、「フェースの弾きはG410の方が良い、G410の方が飛ぶ」という意見も一定数、存在する。

契約プロの金谷拓実が今季途中まで「G410 PLUS」を使用し続けていたことも、その人気を後押ししている。筆者自身は「G410の方が飛ぶ」とまでは思わない。しかしながら、クラブにはストーリーがある。愛され続ける理由が、そこにあるのだ。

2023年 東建ホームメイトカップ 事前 金谷拓実
金谷拓実が長年使ってきたG410 PLUS ドライバー

ピンの上記2モデルをしのぐほどの人気を博すのが、さらに前作となる「G400」シリーズである。2018年発売の「G400 MAX」は、男子プロ・大槻智春が長く使用し続けたことでも知られる。最大級の慣性モーメントと投影面積による安心感を誇る。

純正シャフト装着モデルが今なお3万円前後で取引されており、後続モデルの登場後もじわじわと価格を上げている。筆者が手放したことを後悔しているドライバーのひとつである。

2024年 BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 事前 大槻智春
大槻智春のエース「G400MAX」

同じく2017年発売の「G400 LSテック」も価格が落ちにくい。445ccのコンパクトヘッドに、低スピンで飛距離性能の高さが光る。2万円台後半で流通している。歴代LSTの中でも、最も“尖った”設計と飛びを体感できると、筆者は感じている。ただし、G400シリーズの可変スリーブは、ピンの現行モデルと互換性がない点に注意してほしい。

性能とストーリーで選ばれる古き良きドライバー

中古価格は必ずしも高くないが、性能とストーリーで長年支持されている名機もある。筆者が推すモデルたちを紹介しよう。まずはテーラーメイド「M2」(2017年)。いまだに手放せないというシニアプロやアマチュア上級者がいる。

“初代”「M2」(2016年)の人気も高かったが、2代目はフェースの弾きと食いつきが絶妙に共存する。ヘッドに安定感がありながら、操作性も高い。飛距離性能が飛び抜けて良いわけではなくても、その振りやすさから多くのゴルファーを魅了し続けている。後続の「M4」や「M6」との価格差が少ない点も、根強い人気の証しと言える。2代目M2のフェアウェイウッドの評判もイイ。

テーラーメイド「グローレ」(2012年)も、シニア選手に愛されている。チタン鍛造フェースによる柔らかい打感と、高いつかまり性能が特徴の一本だ。状態の良い個体は希少。鍛造フェースゆえに破損のリスクがあり、可変スリーブも現行モデルと互換性がない。それにもかかわらず、後継の「グローレF」(2014年)、「グローレ F2」(2016年)と価格はほぼ同等で推移。

「SIM2>ステルス…」古いほうが高い!ドライバーに見る中古市場の“逆転現象”
左上から時計回りにエピックフラッシュサブゼロ、M2、M4、グローレF

キャロウェイで価格がなかなか落ちないモデルのひとつが「エピックフラッシュ サブゼロ」(2019年)だ。国内女子ツアーでは「ウエート外しカスタム」が飛ぶと話題になった。一発の飛距離性能は非常に高い。筆者も「これは飛んだな」と思えたモデルである。飛距離にこだわるゴルファーにとっては、今でも十分重宝する。

ゴルフクラブの世界において、「新製品=最高」とは限らない。むしろ、性能と完成度の高さによって、長く愛されるモデルが存在する。中古市場では、そうした“年功序列破り”の名機に出会える。コスパが良いとは言い切れなくても、「なぜそのクラブを選んだのか」と、語れるストーリーがある。(文・田島基晴)

この記事の画像をすべて見る

田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

広告の後にも続きます

アクセスランキング

  • 総合
  • ツアー
  • レッスン
  • ギア情報

SPECIALコンテンツPR

特集記事PR

こちらもおすすめ

GDOサービス

GDOのサービス