「EYE2」のDNAは連綿と受け継がれ… ピンの“ものづくりの哲学”を中古アイアンで巡る

「EYE2」のDNAは連綿と受け継がれ… ピンの“ものづくりの哲学”を中古アイアンで巡る
「PING EYE2」に始まったアイアンのDNAは今も受け継がれている

ピン社のクラブと言えば、オールドゴルファーはパター、今どきのプレーヤーだとやさしく飛ばせるドライバーのイメージが先行するだろう。しかし、同社の真髄はそれだけでは語れない。アイアンづくりにもアマチュアからツアープロまで幅広い層に受け入れられる独自の思想がある。すでに中古ショップにしかない名品を掘り下げよう。

ピンのアイアンに流れる思想

ピンのアイアンを語る上で外せないのが、「やさしさを徹底的に追求した設計思想」である。ソール幅が広く、バウンス角がしっかりあるヘッドは、芝を滑りやすく、ダフりにも強い。

独自の「カラーコードシステム」も大きな特徴で、ゴルファーの体格やスイング特性に応じて選べるライ角を11種類も用意。純正シャフトの充実度も群を抜いている。素材はスチールにカーボン、重量帯も幅広くそろえており、自分に合った一本を見つけやすい。量産モデルにここまで細かい対応システムを持ち込んだ同社は、フィッティング文化を日本に根付かせた立役者と言っていい。

「EYE2」のDNAは連綿と受け継がれ… ピンの“ものづくりの哲学”を中古アイアンで巡る
ブルーのライ角は1度アップライト

ピンのアイアンで忘れてはならないのが「EYE2」の存在だろう。発売された1980年代のクラブとしては異例のワイドソールと大きなスイートスポットを備え、圧倒的なやさしさをも誇った。現在にも続く設計思想のベースとなった独特の形状は、今見ても個性が際立つ。中古市場では根強い人気を誇り、“永遠の名器”と評されるモデルだ。

鋳造でできたヘッドを研磨する際、コストの低いバレル仕上げを施したり、シャフトとのつなぎ目にセル(一般的に黒色のソケット)を装着しなかったりという斬新なアイデアにも後押しされ、EYE2は無骨なイメージを宿すようになった。

腕前に応じたラインアップ

新製品レポート ピン S55 アイアン
上級者もこぞって使った「S55」アイアン

ピンのアイアンは大きく分けて、やさしさ重視の「Gシリーズ」、完成度の高さが評判のアスリート向けモデル「S55」(2013年)や「ブループリント」(2019年)、その間の「iシリーズ」に整理できる。「i210」(2018年)は名機のひとつで、現在でも愛用者が多い。

ゴルフをやさしく楽しみたい人にはやはりGシリーズがおススメ。「G425」(2020年)はヘッドサイズも大きく、ソール幅も広い。慣性モーメントも大きく、形状も洗練されている。まだまだ人気があり、6本セットで5万円台後半と年式と比較すると割高と言えるだろう

ピンのマニアにはぜひとも無骨なバレル仕上げのアイアンを選んで欲しい。現在では希少性も高くなった。「G25」(2013年)も推薦したいが、「G30」(2014年)は今どきのアイアンと同じロフト設定(7番で30.5度)が魅力。オフセット(グース)は少々強めで、相場は6本セットで3万円以下だ。

「iシリーズ」を選ぶべき人は

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ビクトル・ホブランが未だ使う「i210」

やさしさにアスリートっぽさを加えるなら「i200」(2017年)はどうだろう。「i210」、「i230」(2023年)はまだ中古価格が少々お高い。i200は性能が後継モデルに極端に劣るわけではない。6本セットで3万円台後半という価格は魅力だ。

中空構造の「i500」(2018年)、「i525」(2022年)等は発売当時、「ストロングロフトでピンらしくない」と言われていたが、7番で29度というロフト設定は今では珍しくない。とはいえ、ギアマニア的にはキャビティアイアンを普及させたピンが中空というのはちょっと…という抵抗がある。

男子プロも愛用者の多いアスリートモデル

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ホアキン・ニーマンは「ブループリントS」がお気に入り

上級者らしいのはやはり「ブループリント」だろう。ピン初のブレードアイアンとして話題となった。ブレードとしてはミスに強い部類に入る。「やさしさを追求してきたピンがブレード?」と、裏切られた感を抱いた筆者も打ってみた結果、今度は良い意味で裏切られた。いつかは手に入れようと日々、中古価格をチェックしている。最近は6本セットで5万円を切るものもある。そろそろチャンスかもしれない。

地面にマットが敷いてある練習場では、ソールのバウンスの抵抗力が強く伝わるためヘッドの抜けが悪く感じることがある。EYE2に代表されるピンのアイアンは、芝のドライビングレンジで打つことが少なく、打感を大切にする日本のゴルファーには良さが分かりにくかった。

しかしコースで使えば、多くのアマチュアやプロが支持する理由が分かる。ライ角フィッティング、豊富な純正シャフト、やさしさと操作性を両立したラインアップすべてが“ピンらしさ”の表れである。その強みを最大限に生かすためには、しっかりフィッティングをして新品をゲットしてほしいのが正直なところ。中古品を買う際には慎重に選んで、ピンの設計思想を堪能してほしい。(文・田島基晴)

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田島基晴 プロフィール

1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。

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