鍋谷太一プロが明かす「ヨネックス」と契約した“真の理由”

飛躍が期待される若手プレーヤーの一人、鍋谷太一プロが今季からヨネックスと用具使用契約を結んだ。契約前から同社のアイアンを使用しており、2022年の初シード、23年の初優勝はともに「EZONE CB301フォージドアイアン」が大きく貢献した。さらに今季は開幕から「EZONE GT Type-S」ドライバーを使用し、新たに「EZONE GT MAX」も投入予定。2勝目へ向けて武器は整いつつある。
■「ゴルフ人生の分岐点」となったヨネックスのアイアン

鍋谷は今年、プロ14年目。6月19日が29歳の誕生日だ。高校1年生でプロ転向したこともあり、すでに人生のほぼ半分をプロゴルファーとして過ごしてきた。そして、そのプロキャリアの半分はどのメーカーともクラブ契約を結ばないフリーの立場だった。
「2018年からフリーの選手がガッと増えて、自分もその流れに乗った感じです。シードを持っていたわけではないので、どちらでもあまり変わらないし、いろんなクラブを試せますからね」
そんななかで出合ったのが「EZONE CB301フォージドアイアン」。なかなかクラブを替えられないタイプの鍋谷がすぐにスイッチを決めた。
「その前のアイアンは4~5年使っていて、他のクラブをテストしてもなかなか、代わるものが見つからなかったんですけど、このアイアンは初めて打った時にいいな、これなら行けると思いました。使い始めた年にシードを取って、次の年に初優勝もできたので、間違いなくゴルフ人生の分岐点になったクラブのひとつです」
2023年11月の「カシオワールドオープン」でのツアー初勝利は、小ぶりすぎず、ちょうどいいサイズ感という顔にほれ込んだアイアンが貢献したものだった。
■クラブ契約フリーからヨネックスと契約 そのワケは

さらに昨年秋からはヨネックスのドライバーのテストも開始。これがフィットしたことが契約の大きな決め手となった。
「正直言うと、最初はあまりうまくいってなかったんです。トウに重さを感じてフェースが開く感じがありました。でも、そのことをヨネックスの方に伝えて、年末に持ってきてもらったドライバーはそれが一切なく、“これだ!”って感じでした。その日から前のドライバーは1球も打ってないし、今どこにあるのかも分かりません(笑)」
実は鍋谷には以前からクラブメーカーと契約したいという気持ちがあったという。そのきっかけは憧れのプロの優勝シーンを見たことだった。
「2019年の『日本プロ』で石川遼さんが久々の優勝を飾ったじゃないですか。そのとき、真っ先に契約メーカーの方とハグしたんですよ。本当の家族とは違うけど、選手と契約メーカーのスタッフはそれに近い関係だと思うんです。ええなぁって思って、自分にはどのメーカーが似合うかなって勝手に妄想してました」
ヨネックスはもちろん妄想の中でもしっくり来ていたメーカー。ロゴが入った帽子を被った自身の姿を思い浮かべながら「結構いいかもと思ってました」と明かした。
■EZONE GTシリーズをセルフ解説

EZONE GTシリーズには3機種のドライバーがラインアップされており、鍋谷が使用する「Type-S」はシャープな見た目でオーソドックスなモデル。「顔も良くて、飛距離も出るんですけど、自分は方向性を大事にしているので、ドローでも、フェードでも、思った通りにコントロールできるというのが一番大きいですね」。進化したカーボンクラウンに加え、ソールのフェース寄りに配された『ストライクスピードカーボン』が飛距離と安定性をもたらしている。
現在は高慣性モーメントの「EZONE GT MAX」もテスト中で、実戦投入の可能性が高いという。「MAXは方向性重視のモデルだと思っているので、使いたいクラブ。(投影面積が)大きなヘッドですけど、座りが良くてポンと置くだけで真っすぐ構えられるのでプレッシャーがかかる場面を想定するとすごくいいですね。安心感があって叩けるからか、なんなら飛距離も出るんですよね」

打感については「弾き感のある」Type-S、「軟らかいけど軟らか過ぎない」MAXと表現。「どちらもいいクラブで特にMAXはドライバーに悩みを抱えるすべてのゴルファーにすすめられる。自分が活躍することで多くの方に使ってもらうきっかけになったらいいなと思っています」。自身は今後、どちらのモデルを使用するべきか、ぜいたくな悩みを抱えている。