「持ち球はスライスっす」7度のアウトサイドインをフェードに変えるには?《レッスン最前線LIVEルポ》#1悩み解析
「科学のチカラ」でスコアアップ!ベストスコア「74」を誇るお笑い芸人サブロクそうすけさんが、さらなるスキル向上を求め、最先端のスイング分析を取り入れたゴルフスクールの門を叩いた。ときおり飛び出すドライバーのひどいOBに悩むそうすけさんだが、頑固なスライスは果たして直るのだろうか。(第1回 悩み解析編/全4回)
●第2回 プロと比較分析偏
●第3回 実践レッスン編
●第4回 実践レッスン編その2
【悩み】大スライスと左に出てそのまま左に行く球を減らしたい
「持ち球はスライスで、左に出て右に返ってくればいいのですが、ときおり、左真っすぐか右への大スライスが出るのが悩みです」(そうすけ)
目指すは左に打ち出して右に戻す球―いわゆるフェードボール―を高確率で打てるようになりたい。まずはそうすけさんのスイングを分析。ドライバーと7番アイアンを打ってもらい、石黒良コーチが最新の解析システム「OptiMotion(オプティモーション)」で分析を行った。
「ドライバーのクラブパス(インパクト前後のヘッド軌道)は-7.2度(下図黄枠)。マイナスの数字は目標よりもヘッドが左に抜けていくことを示しています。つまり7.2度のアウトサイドイン。ここを本来は-2度くらいにもっていきたいですね」(石黒)
「今のワタシは、めっちゃカット軌道ってことですかっ?」(そうすけ)
「はい」(石黒)
「じゃあ、今のくだりはカットで!」(そうすけ)
「…それは無理かと」(石黒)
クラブパスが-2度に近付けば、フェードボールが安定して打てるのではないかと石黒コーチは分析する。
「クラブパスが変わるとボールの曲がり方が変化するので、スライスやフックで悩んでいる人はそのパスを修正すると球筋が改善します。そうすけさんは肩の回転に問題があり、ターゲットに対して7.2度左に振り抜くかなり強いアウトサイドイン軌道です。打ちたい球筋にもよりますが、だいたい-3~4度の範囲に収まるようにしていきたいですね」(石黒)
そうすけさんのインパクトデータを見ると、アウトサイドイン軌道で左に打ち出すスライス弾道を打っていることが分かる。フェース上部に当たっているためスピン量は意外と多くない。
「肩が問題ですか。肩はよかったんですよね、野球のピッチャーだったんで。」(そうすけ)
「…投げる肩とはまた使い方が違うんです」(石黒)
スライサーだけど左にも行くのはなぜ?
「右にも左にも行くのはフェーストゥパス(上図青枠)が関係しています。フェーストゥパスとはクラブパスに対してフェースがどこを向いているかを表す数字です。ツアーアベレージは4度のインサイドアウトで、フェーストゥパスが2度クローズ。これで軽いプッシュドロー(右に出て少し左に戻ってくる球筋)が出ます。フェードの場合はこの逆で、4度アウトサイドインでフェーストゥパスは2度オープンくらいを目指しても良いです。過度なアウトサイドインやインサイドアウト軌道だとフェーストゥパスが不安定になりやすいです。そうすけさんの場合はクラブパス-7.2度に対して、フェースが2.2度クローズのため、インパクト時のフェースの向きと軌道の差が大きく、ボールが左に出るフック、右に出るスライスなど球が散る可能性をはらんでいます」(石黒)
続けてアイアンのスイングの分析が始まった
続いて石黒さんは7番アイアンのスイングの分析を始めた。アイアンは比較的得意だとそうすけさんは言う。
「現況のクラブパスは-5度。きついアウトサイドイン軌道はアイアンでトウヒットが多くなる傾向があるので、アイアンでは-3度を目指しましょう。一番のお悩みがドライバーショットだったため、今回はドライバーから測定しました。ただ、スイングはアイアンで修正したほうが効率が良いので、アイアンスイングも計測しました。数値の傾向は変わらないことが多いのですが、アイアンでスイング改善するうえではアイアンのデータも確認してもらうことは大事だと考えています」(石黒)
一連のデータ計測を終え、ドローを打ちたいとは思っていないと言うそうすけさんの希望も踏まえ、石黒コーチは結論付けた。
「不安定なスライスを安定したフェードに変えていきましょう。まずは強いアウトサイドイン軌道を改善していきたいですね。スライスは意図せず右に曲がるミスショット、フェードは意図的に少しだけ右に曲げるショットだと思ってください。軌道をコントロールするために、次に何をすべきか改善点をあぶり出していきましょう」(石黒)
「ハゲを改善するとか言わないでくださいよ!」(そうすけ)
「……」(石黒)
次回はオプティモーションを使って、そうすけさんのスイングをツアープロと比較する。(続く)
写真:有原裕晶

サブロクそうすけ プロフィール
お笑い芸人で愛媛県観光大使。フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」内「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」第8回優勝。帝京高校野球部出身で、2016年に40歳で愛媛マンダリンパイレーツに入団し9試合に登板、防御率1.98を記録する(前年のトライアウトで合格し入団)。当時の球速は最速140km/h。野球関係者や芸能界に幅広くゴルフ友達を持ち、ベストスコアは74。

石黒 良(いしぐろ りょう) プロフィール
8歳からゴルフを始め15歳で渡米。大学までに数々の大会に出場し、卒業後はアメリカでツアーキャディーやマネージャー業の職務を果たし帰国。現在はゴルフテックのTQ(Teaching Quality)として、USから発信される情報を日本で展開しながらコーチ育成に携わる。PGAティーチングプロ資格を保有。