プレー線上のボールマークを直すのはペナルティ?/ルールQ&A
ピン手前1mに着弾した球は、バックスピンで1mほど戻った。ホールとボールの間にできたボールマークを直したところ、同組プレーヤーから「プレー線上はノータッチでは?」と言われたが、こんな場合はどうなる?
プレー線上のルールの問題
■1
プレー線上でもボールマークの修復は問題ない。無罰。
■2
プレー線上のボールマークを修復すると1罰打。
■3
プレー線上のボールマークを修復すると2罰打。
グリーン上のピッチマークはどこでも直していいんじゃないの?ダメ?
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正解は「1」
■1
プレー線上でもボールマークの修復は問題ない。無罰。
【解説】
プレーの線とは「これからボールを打ちたい、転がしたいと思い描くライン」のこと。以前は、グリーン上のプレーの線は一部の例外を除き、意図的に歩いたり踏んだりすることはできませんでしたが、2019年のルール改正で厳しい規則が緩和されました。
ボールがグリーン上にあるなしにかかわらず、(1)グリーン上の砂とバラバラの土を取り除く、(2)ボールマークをはじめ、靴を引きずったスパイクマークや旗竿を引きずった傷跡などの損傷を、プレーの線を意識することなく、(自分の手や足、クラブやグリーンフォークなどを使って)プレー前に罰なしで修復できるようになりました(規則13.1c)。これらの傷の修復中にボールが動いても罰はなく、元の地点にリプレースします。
ただし、修復と称してホールへの道を作るなどグリーンを改善した場合は一般の罰(2罰打)が科せられます(規則8.1a)。(ルール解説&イラスト/小山混)
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<ゴルフ規則>(抜粋)
規則13.1c パッティンググリーン上で認められる改善
ラウンド中や、規則5.7aに基づくプレーの中断中は、球がパッティンググリー ン上にあるかどうかにかかわらず、プレーヤーはパッティンググリーン上で次の2つの行動をとることができる:
(1) 砂やバラバラの土を取り除くこと。パッティンググリーン上の砂とバラバラ の土は罰なしに取り除くことができる。
(2) 損傷の修理。プレーヤーはできるだけ元の状態にパッティンググリーンを復元するための合理的な行動をとることによって罰なしにパッティンググリー ン上の損傷を修理することができる。
しかし、次の要件を満たす場合に限る:
・手、足、他の体の一部、または通常のボールマーク修理器具、ティ、クラブ、通常の用具の中で類似するものによって修理する。
・不当にプレーを遅らせることなく修理する(規則5.6a参照)。
しかし、プレーヤーがパッティンググリーンを元の状態に復元するために合理的な範囲を超える行動(例えば、ホールへの道を作る、または認められない物を使用する)をとることによってパッティンググリーンを改善した場合、そのプレーヤーは規則8.1aの違反に対して一般の罰を受ける。
「パッティンググリーン上の損傷」は人(そのプレーヤーを含む)や外的影響 によって生じるあらゆる損傷を意味する。例えば:
・ボールマーク、靴による損傷(例えば、スパイクマーク)、そして用具や旗竿が原因となる擦り傷や窪み。
・古いホールの埋め跡、芝の張り替え跡、張芝の継ぎ目、メンテナンス器具や車両による擦り傷や窪み。
・動物の足跡、蹄の窪み。・くい込んでいる物(例えば、石、どんぐり、ひょう、ティ)や、それらによる窪み。
しかし、「パッティンググリーン上の損傷」には次の結果として生じる損傷 や状態は含まれない:
・パッティンググリーン全体の状態を管理するための通常の作業(エアレー ションの穴、バーチカル・モゥイングによる溝)。
・散水、雨、その他自然の力。
・自然な表面の欠陥(例えば、雑草、地肌が露出した区域、病気または生長がまばらな区域)。
・ホールの自然な摩耗。
規則8.1a 認められていない行動 プレーヤーはストロークに影響を及ぼす状態が改善されてしまう場合には次の行動をとってはならない
(3) 次のことを含め、地面を変える:
・穴、窪み、起伏のある面を作ったり、なくす。
定義【プレーの線】プレーヤーがストローク後に自分の球にとらせたい線で、その線には地面の上方と、その線の両側に合理的な距離を持つその線上の範囲を含む。
出典/(公財)日本ゴルフ協会発行2023ゴルフ規則より

小山混 プロフィール
イラストレーター、ゴルフルール研究家。東京生まれ。立教大学卒。新聞・雑誌・Webで複雑なゴルフルールをやさしく解説。ゴルフは鹿沼CCの月例競技会にエントリー。HDCPは17。著書に『はじめてのゴルフルール』『New! いちばんたのしいレクリエーションゲーム』(主婦の友社)、『英語とゴルフ一石二鳥』(ゴルフダイジェスト社)がある。