斜面のボールが動き出して池に入りそう!クラブで止めたら罰?/ルールQ&A

斜面のボールが動き出して池に入りそう!クラブで止めたら罰?/ルールQ&A

斜面に止まっていたボールが自然に動き出し、転がって池に落ちてしまいそうだったのでクラブで止めた。ボールは赤線の手前で止まったが、同組プレーヤーから「クラブで止めるのは100%違反でしょ!」とクレーム。この後の処置は?

池に絡むルールの問題

■1
動いているボールを止めるのは違反。ただし、池に入って紛失する恐れがある場合は止めても罰はない。クラブをどけて止まったところからそのままプレー。

■2
動いているボールを止めるのは違反。ただし、池に入って紛失する恐れがある場合は止めると1罰打。斜面の元の地点にリプレース。

■3
動いているボールを止めるのは違反で2罰打。クラブで止めなければ入っていたであろうペナルティエリアの救済を受ける。

斜面のボールが動き出して池に入りそう!クラブで止めたら罰?/ルールQ&A

ボールなくすの嫌だから仕方ないでしょ?

◇◇◇◇

正解は「3」

ゴルフは、誰が打ったボールでも、自然に動き出したボールでも、(結果はともかく)そのまま見守り、止まったところからプレーとなります。今回は、ジェネラルエリアに止まっていたボールが自然に動き出し、池に落ちることを恐れたプレーヤーが思わずクラブで止めたわけですが、「動いているボールに影響を及ぼす故意の行動」で一般の罰(2罰打)を受けます(規則11.2b)。

故意に止めたボールは、そのままプレーすることはできません。そして次の救済を受けます。

(1) ボールがグリーン以外のコース上に止まっていた場合。そのボールが止められていなければ、自然に止まっていたであろう地点(分からなければ推測して)を基点として、1クラブレングス以内の救済エリアにドロップします (規則11.2c)。この場合、 基点と同じコースエリアで、基点よりホールに近づいてはなりません。

ただし設問のケースでは、自然に止まっていたであろう地点が推測でペナルティエリアの「池ポチャ」になるため、(1)は適用されず、プレーヤーはペナルティエリアの救済を受けることになります。すなわち、さらに1罰打を受けボールがそのペナルティエリアの縁を最後に横切ったと推定した箇所に基づいて規則17.1dのペナルティエリアからの救済を受けることになります(規則11.2c(例外))。(ルール解説&イラスト/小山混)

ーーーーーーーーー
<ゴルフ規則>(抜粋)
規則11ー動いている球が偶然に人、動物、物に当たる;動いている球に影響を及ぼす故意の行動。
この規則はインプレーの球が動いている場合(ストローク後であるかどうかにかかわらず)はいつでも適用する。
規則11.2ー動いている球の方向を人が故意に変える、または止める
規則11.2bー罰をプレーヤーに適用する場合
・プレーヤーが動いている球の方向を故意に変えたり、止めた場合、そのプレーヤーは一般の罰を受ける。
・このことは、その球がプレーヤー自身の球であろうと、相手により、またはストロークプレーの別のプレーヤーによりプレーされた球であろうと、同じである。

規則11.2cー方向を故意に変えたり、止めた球をプレーしなければならない場所
プレーヤーの動いている球の方向を人が故意に変えたり、止めたことが「分かっている、または事実上確実」な場合、その球はあるがままにプレーしてはならない。その代わり、そのプレーヤーは次の救済を受けなければならない:
(1) パッティンググリーン以外の場所から行ったストローク。その球の方向が変えられたり、止められていなければ、その球が止まっていたと推定する箇所に基づいてプレーヤーは救済を受けなければならない:
・球がパッティンググリーン以外のコース上に止まっていたと推定する場合。プレーヤーは元の球か別の球を次の救済エリアにドロップしなければならない (規則 14.3参照 ):
・基点:球が止まっていたと推定する箇所。
・基点から計測する救済エリアのサイズ: 1クラブレングス。しかし、次の制限がある:
・救済エリアの場所に関する制限:
・基点と同じコースエリアでなければならない。
・基点よりホールに近づいてはならない。
例外―ペナルティエリアに止まったと推定された球:球の推定した箇所がペナルティエリアである場合、プレーヤーはこの規則に基づいて救済を受けることは要求されず、 代わりに、プレーヤーは球がそのペナルティエリアの縁を最後に横切ったと推定した箇所に基づいて規則17.1dのペナルティエリアからの救済を直接受けることができる。
規則11.2c(1)に違反して誤所からプレーしたことに対する罰:規則14.7aに基づく一般の罰。

規則17.1dーペナルティエリアの球に対する救済
プレーヤーの球がペナルティエリアにある場合(見つかっていなくてもペナルティエリアにあることが分かっている、または事実上確実な場合を含む)、プレーヤーには次の救済の選択肢がある。それぞれ1罰打で:
(1) ストロークと距離の救済。プレーヤーは直前のストロークを行った場所から元の球か別の球をプレーすることができる(規則14.6参照)。
(2) 後方線上の救済。プレーヤーは元の球か別の球(規則14.3参照)を、元の球がそのペナルティエリアの縁を最後に横切った地点とホールを結ぶ線上で、そのペナルティエリアの外にドロップすることができる(球をドロップすることができる後方の距離に制限はない)。ドロップしたときにその球が最初に地面に触れた線上の箇所が救済エリアを定め、その救済エリアはその地点からどの方向にも1クラブレングスとなる。しかし、次の制限がある。
・救済エリアの場所に関する制限:
・元の球がペナルティエリアの縁を最後に横切ったと推定した地点よりホールに近づいてはならない。
・同じペナルティエリア以外であれば、どのコースエリアでもよい。しかし、
ドロップしたときに球が最初に触れたのと同じコースエリアでなければならない。

出典/(公財)日本ゴルフ協会発行2023ゴルフ規則より

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小山混 プロフィール

イラストレーター、ゴルフルール研究家。東京生まれ。立教大学卒。新聞・雑誌・Webで複雑なゴルフルールをやさしく解説。ゴルフは鹿沼CCの月例競技会にエントリー。HDCPは17。著書に『はじめてのゴルフルール』『New! いちばんたのしいレクリエーションゲーム』(主婦の友社)、『英語とゴルフ一石二鳥』(ゴルフダイジェスト社)がある。

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