【申ジエ救済問題を再現】左打ちで救済を受けて右で打つのはアリなの?/ルールQ&A番外編
今回は「ルールQ&A」連載の番外編。「アクサレディスゴルフトーナメント」(~3/29)の最終日、優勝争いをしていた申ジエが18番ホールでとった救済措置が話題になった。競技委員立ち合いのもと、「左打ちで救済を受けて右打ちで打った」が、この措置に疑問を思った人は多いだろう。果たしてルールはどういった解釈だったのか。イラストで再現してみた。*今回はQ&Aではありません
左打ちで救済を受けて右で打った場合のルーリングは?
状況を改めて説明しよう。
ボールは急な下り斜面に止まっていた。足が滑ってスタンスが取れず、いつもの右打ちでは打てない。そこで左打ちでスタンスを取ると、足がカート道にかかった。動かせない障害物の救済を受け、1クラブレングス以内にドロップ。当初より斜面が緩やかなライになり、右打ちで打てるようになったので、最終的に右で打った。この一連の処置はルール上問題なかったのか?
ルール上問題はないが…
【ルール解説】
急斜面に止まった申プロのボールは右打ちではまったく打てない状況でした。競技委員立ち合いの元、左打ちならフェアウェイに打ち出せるという「合理的な判断」で、左打ちでスタンスを取りました。その際に足がカート道路にかかったので、「動かせない障害物からの救済」を受けられることになりました。
救済後にいつもの右打ちで打てる状況であれば、右で打ってもルール上は問題ありません。今回のケースのポイントは、「左打ちの選択が『明らかに不合理でない』と判断を受けた」ことです。斜面に止まった当初のライが、右では打てない状況だったことが、「左打ちで打つことが不合理でない」との判断になりました。
右で打てる状況であるのに、「悪いライから逃れるために左で打とうとする」ケースだった場合は、左打ちで打つことが「不合理」と判断され、左打ちで救済を受けるはできませんでした。(詳説16.1a(3))(イラスト&ルール解説/小山混)
<オフシャル規則>
詳説16.1a(3)/1- 異常なストローク方法で障害物が障害となるときにも救済を受けることができる場合がある
プレーヤーは与えられた状況に対応するため、場合によっては自分の球をプレーするときに異常なスイング、スタンス、あるいはプレーの方向を選ばなければならないことがある。その異常なストロークがその与えられた状況において明らかに不合理ではない場合、そのプレーヤーは規則16.1に基づいて罰なしの救済を受けることが認められる。 例えば、ジェネラルエリアで、右利きのプレーヤーの球がホールの左側の境界物の近くにあったので、そのプレーヤーはホールに向けてプレーするために左打ちのスイングを行わなければならなかった。その左打ちのスイングを行うとき、動かせない障害物がそのプレーヤーのスタンスの障害となっていた。この状況において、左打ちのスイングを用いることは明らかに不合理ではないので、そのプレーヤーはその動かせない障害物からの救済が認められる。
詳説16.1a(3)/2- プレーヤーは状態からの救済を受けるために明らかに不合理なストロークを用いることはできない
プレーヤーは異常なコース状態からの救済を受けるために明らかに不合理なストロークを用いることはできない。そのプレーヤーのストロークが与えられた状況に明らかに不合理な場合、規則16.1に基づく救済は認められず、そのプレーヤーはその球をあるがままにプレーするか、アンプレヤブルの球の救済を受けなければならない。 例えば、ジェネラルエリアで、右利きのプレーヤーの球が悪いライに止まった。近くにあった動かせない障害物はそのプレーヤーの通常の右打ちのストロークには障害とならないが、左打ちのストロークには障害となっていた。そのプレーヤーは次のストロークを左打ちで行うつもりであることを述べ、そうした左打ちのストロークではその動かせない障害物が障害となるので、規則16.1bの救済が認められると考えていた。 しかしながら、そのプレーヤーが左打ちのストロークを用いる唯一の理由は救済を受けて悪いライから逃れるためであり、その左打ちのストロークは明らかに不合理であるので、そのプレーヤーは規則16.1bに基づき救済を受けることは認められない(規則16.1a(3))。 同じ原則が、明らかに不合理なスタンス、プレーの方向、あるいはクラブ選択を用いることにも適用される。
小山混 プロフィール
イラストレーター、ゴルフルール研究家。東京生まれ。立教大学卒。新聞・雑誌・Webで複雑なゴルフルールをやさしく解説。ゴルフは鹿沼CCの月例競技会にエントリー。HDCPは17。著書に『はじめてのゴルフルール』『New! いちばんたのしいレクリエーションゲーム』(主婦の友社)、『英語とゴルフ一石二鳥』(ゴルフダイジェスト社)がある。